赤い薔薇ソースの伝説

制作 : Laura Esquivel  西村 英一郎 
  • 世界文化社
3.51
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本棚登録 : 76
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418935055

作品紹介・あらすじ

台所で生み落とされ、台所の匂いに包まれて成長した美しい娘ティタ。台所は彼女の聖域。伝統の鎖から解放される唯一の場所だった…。革命の嵐が吹き荒れるメキシコの農場を舞台に、不思議な力に守られながら、禁じられた愛に身をこがす女の数奇な運命を描く。

感想・レビュー・書評

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  • ・鍋に五個分の卵黄と、四個分の卵と砂糖を入れる、よくかき混ぜ材料がとろっとして来たら卵二個を加える。さらにかきまぜ、再び粘りが出てきたらまた卵を二個加え、これを卵がなくなるまで繰り返す。

    ・とげで指を刺さないように薔薇の花びらを注意して取る。花びらが血で汚れると食べ物の味が変わるだけでなく、危険な化学変化を起こしてしまうからである。

    ・七面鳥を殺して二日したら、汚れを落とし、塩を入れてゆでる。
    七面鳥の肉の味を引き出すには、餌に注意しなければならない。

    ・酢を火にかけ、前もって種を取っておいた唐辛子を加える。沸騰したら日から降し、唐辛子が柔らかくなるように鍋に蓋をしておく。


    台所で産まれたティタはその生涯の大半を台所で過ごした。
    その家で最後に生まれた娘は母親が死ぬまで面倒を見ねばならない。
    ティタはずっと結婚もせず母親エレーナと、家を継ぐ姉ロサウラの家族の世話で過ごさねばならない事が決まっていた。
    ティタの恋人ペドロは、ティタへのプロポーズが許可されず、代わりに長女のロサウラの婿になる。それが唯一ペドロとティタが側にいる手段だった。

    ティタは、母エレーナからの束縛、同じ家に暮す今は姉の夫になった恋人ペドロとの愛、すべてを料理に注ぎ込む。

    ティタの作る料理は食べた人の心に入り込む。
    哀しみの篭ったトルタを食べると深い郷愁に襲われ、
    愛の夢を宿した薔薇ソースの鶉料理を食べると胸に官能の炎が燃える…。

    ★★★
    死んだ人が生きている人の前に存在したり、胎児の涙が溢れたり、マジックレアリズム手法。
    女性が書いているためか実に読みやすかった。

  • 台所で産み落とされ、台所で育った美しい娘ティタ。
    農場の三人娘の末で、やがて料理を一手に引き受けることになります。

    丁寧に時間をかけて作るメキシコの伝統料理はどれも美味しそう〜
    各章のタイトルがその時の行事などにちなんでティタの作る料理の名前になっています。
    作り手の心を反映する手料理は時には魔法的な力を帯びて、人の運命をも動かしていくのです。そういえば、刻んで香料と煮込むのはちょっと呪術的でもありますね…

    15歳になったティタに恋人が出来ますが、末娘は未婚のまま母親の面倒を見るのが一家のしきたりだったために、恋人ペドロと引き裂かれてしまいます。
    ティタの長姉との縁談を、ティタの傍で暮らすために受け入れるペドロ。
    母親との葛藤、次姉の出奔、長姉の生んだ幼子への愛、革命の影響もあって、予想外に波乱の展開が待ち受けます。
    恋する心は止めようがなく、生きること自体も止めようがなく動いていくものなのか…?
    苦しみだけでなく、どこかユーモラスな味もあり、あたたかい情熱溢れる不思議な物語です。
    料理すること、食べること、は命を作ることなのですね。

  • メキシコ人著者の小説を初めて読みましたが、国から連想する陽気さ、明るさとは違う空気をもったとても魅力的な物語でした。
    社会、というにはあまりにも小さなサイズの閉ざされた血縁関係の中生きる女性、ティタは心内に色々なものを飲み込み、それを料理を通して形にしていきます。声に出さない彼女の代わりに、彼女の作る料理は人を純粋な欲望に立ち返らせる力や感情を感染させる力を伴って食べた人々に変化をもたらしてゆきます。「鶉の薔薇ソースかけ」なんて艶のある料理名!和食の発想にないセクシーさですねー
    作って、食べる。わずかこれだけの行為の中にこれほど効用を見つけてしまう著者もすごいと思った。

  • 台所生まれの台所育ちの女性・ティタの愛の物語。

    不思議な魔力(に見えるだけで、実際はなんてことない現象だろうけど)をもったティタの料理の数々にまつわるエピソードは、なかなか面白いものもあった。
    話の柱であるティタを取り巻く恋愛物語は話の運びがトラディショナルで、つまらなくはないが特に面白いとも思わなかった。もう一つのテーマ、伝統による女性の抑圧とそこからの解放についても、よくあるテーマをよくある運びで取り上げていて、こちらも目新しさはない。
    料理の経験が乏しいので、肝心の台所仕事の姿もそこまで思い描けず。

    とはいえ主人公ティタのキャラクターはなかなか魅力的。
    でも結婚相手に選んだペドロが全然魅力的に見えないせいで、何とも腑に落ちない結末。
    というか、登場人物をあまりにも意識的に好人物と嫌なヤツに描き分けているのが、話を単調にしてしまってるのかも。

  • 原題は『Como agua para chocolate(英題:Like Water for Chocolate)』。Laura Esquivelによる1989年発表作品。

  • ガルシア・マルケスの
    不思議が日常に織り込まれている作品を
    彷彿とさせる作品。

    12ヶ月をお料理のレシピで区切っているのは
    洒落ているし、未知の味に興味がわきました。

    ペドロには、最初から最後まで
    共感できずでした。

  • (映画化作品)全十二章で、十二の月、十二の伝統的な料理とともに主人公の女性ティタの運命が語られる。

  • メキシコで女性に人気の大衆小説。
    台所で生み落とされ、台所で料理のにおいに包まれて成長した美しい娘ティタの物語。
    月になぞらえた12章それぞれにメキシコ料理の名前がつけられていて、丁寧に料理する手順も説明しています。不思議な力を持つ料理たち。本当においしそうで、メキシコ料理が今すぐ食べたくなりました。あのモーレでさえ・・・。

    15歳のティタは、ペドロに恋をして結婚を夢見るが、末娘は未婚のままで母親が死ぬまで面倒をみなくてはいけないというしきたりから、ペドロとの仲を母親に引き裂かれてしまう(鬼のような母!)。ペドロは、ティタの傍にいたいがために、ティタの姉と結婚を決める。ティタに厳しくあたる母、同じ家にいながら母の監視におびえ近づけないペドロとティタ、甥へと芽生えた愛と死。そして母からの脱走。となかなか波乱に満ちたティタの人生。ティタに安心感を与える医者との結婚よりも、なんだかフラフラしてはっきりしないペドロと最後は結ばれてよかったんだか、なんなんだか。

    末娘は、母親が死ぬまで母親の面倒をみるために結婚もできないなんて初めて聞いた。メキシコのどの辺のしきたりなんだろう。この小説はメキシコ革命の時期(1910~1917)が時代背景としているそうだけど、その時代のメキシコの風俗が興味深かった。
    突然裸で出奔したティタのもう一人の姉の人生が面白いと思った。三姉妹の中では唯一自由に生きている。

    1月 クリスマスのトルタ
    2月 杏子のウエディング・ケーキ
    3月 薔薇の花びらをあしらった鶉
    4月 胡麻とアーモンド入りの七面鳥のモーレ
    5月 北の地方のチョリッソ
    6月 燐寸の作りかた
    7月 牛の尻尾のシチュー
    8月 チャンパンドンゴ
    9月 ココアとロスカ・デ・レイエス
    10月 クリームとトリッハス
    11月 いんげん豆のテスココ風チリソース煮
    12月 チレ・エン・ノガーダ

    Como agua para chocolate

  • 台所で生み落とされ、台所の匂いに包まれて成長した美しい娘ティタ。台所は彼女の聖域。伝統の鎖から解放される唯一の場所だった…。革命の嵐が吹き荒れるメキシコの農場を舞台に、不思議な力に守られながら、禁じられた愛に身をこがす女の数奇な運命を描く。

  • 台所で生み落とされ、台所の匂いに包まれて成長した美しい娘ティタ。
    台所は彼女の聖域。伝統の鎖から解放される唯一の場所だった…。
    革命の嵐が吹き荒れるメキシコの農場を舞台に、不思議な力に守られ
    ながら、禁じられた愛に身をこがす女の数奇な運命を描く

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