マンガ世界の文学 (1)赤と黒

  • 世界文化社
3.69
  • (3)
  • (6)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 42
感想 : 13
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・マンガ (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784418952076

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 偉大なナポレオン 彼こそが英雄だ
    人は「生まれ」じゃない 「階級」じゃない
    ナポレオンはそれを示してくれた
    彼の時代なら僕だって 彼のようになれた
    軍服の「赤」でのし上がれないなら、僧侶の「黒」でのし上がってやるーーー

    難しそうな話をまずは漫画で。
    貧しい青年ジュリアンの野望と恋愛、そして王政復古期の社会を批判的に描いたのはなんとなく分かった。
    貴族との恋の駆け引きの場面が多かったかな。里中満智子さんの絵だから、少しのページでも恋愛の描写は美しく儚く伝わって来た。
    しかしジュリアン23歳、若くして自身の人生に答えを出すなんて…(;_;)

  • #2552-94-314

  • 「赤と黒 マンガ世界文学1」スタンダール原作・里中満智子著、世界文化社、1995.12.01
    270p ¥1,300 C0379 (2019.07.26読了)(2019.07.25借入)
    「パルムの僧院」スタンダール著、を読んだついでに、ずいぶん昔に読んだ『赤と黒』の内容を手っ取り早く確認しようと、マンガ版を借りてきました。
    主人公のジュリアン・ソレルは、ナポレオンにあこがれていますので、『パルㇺの僧院』と似たような設定ですね。
    「恵まれない階級の男が自分の意志と情熱と努力で頂点に立った 能力のあるものが上に立つ―これこそ正しい世界のあり方だ」
    「人は「生まれ」じゃない「階級」じゃない ナポレオンはそれを示してくれた」(7頁)
    残念ながらナポレオンの時代は終わり、貴族の時代に戻ってしまった。軍人でのし上がることはできなくなったけれど、僧侶の道はまだ残されている。
    『赤と黒』の赤は軍服、黒は僧侶の服を意味しています。
    教会の司祭にラテン語を教わったジュリアン・ソレルは、19歳でその能力を買われ、町長のレナールさんの子供たちの家庭教師となった。ジュリアンの父は、製材所をやっていた。
    レナールさんの子供は3人。「軍人、裁判官、聖職者にさせるつもりです」(26頁)
    ジュリアン、レナール夫人、の心理描写が、ちょっとうるさい感じです。ジュリアンは、小間使いのエリザとの結婚話は断っています。野心があるので。
    ジュリアンは、レナール夫人(ルイーズ)が自分に好意を抱いているように思われたので、あれこれ試した後、夫人の寝室に忍び込みベッドを共にすることができました。二人は恋におちました。
    二人の様子を見て、エリザは、教会の司祭に告白します。そのことが、レナール町長のライバル、ヴァルノの耳に入り、町のうわさになってしまいます。
    ジュリアンは、ジュリアンの先生であるシェラン司祭のすすめで、家庭教師を辞めて神学校へと進むことにしました。
    神学校でのジュリアンは、優秀な成績だったが、師事した校長が、少数派の派閥に属していたため、校長が、学校を辞めてパリに行くのに従って、パリにでることになった。
    パリでは、ラ・モール侯爵の秘書のような仕事を任された。「図書館で侯爵様の代わりに手紙の返事を書くこと」(131頁)
    パリの社交界での振る舞いを教わったジュリアンは、決闘までしてしまいます。腕の怪我で済みましたが。決闘相手の、ボーヴァジー氏には、気に入られてしまいました。
    ラ・モール侯爵の娘のマチルドは、ジュリアンに興味を抱きちょっかいを出してきました。ジュリアンはそれに応じたのですが。マチルドは気まぐれなので、駆け引きがたいへんです。
    ジュリアンは恋の駆け引きに勝ち、マチルドと結婚することになりました。ラ・モール侯爵の配慮により、ジュリアンは、従男爵になりました。土地の贈与と年収一万フランも約束されました。(217頁)さらに、ストラスブールの軽騎連隊に中尉として入隊することも命ぜられました。
    ジュリアンは、レナール夫人からの告発によりマチルド嬢との結婚はご破算になりました。ジュリアンは、レナール夫人を銃殺し投獄されます。銃殺したつもりが、一命はとりとめた、とのことです。
    マチルドは、ジュリアンを助けようと裁判を有利にしようと動きます。
    裁判で、ジュリアンは貴族社会への挑戦を宣言し、有罪を望み望み通り、死刑の判決を受けます。公訴はせず、死刑となりました。23歳でした。
    軍人になることも僧侶になることもありませんでした。

    【目次】
    第一章 プロローグ
    第二章 レナール家
    第三章 レナール夫人
    第四章 スキャンダル
    第五章 ブザンソン神学校
    第六章 ラ・モール侯爵家
    第七章 マチルド
    第八章 激情
    第九章 被告人ジュリアン
    第十章 エピローグ
    あとがき
    参考文献

    ☆関連図書(既読)
    「パルムの僧院(上)」スタンダール著・大岡昇平訳、新潮文庫、1951.02.15
    「パルムの僧院(下)」スタンダール著・大岡昇平訳、新潮文庫、1951.03.15
    「赤と黒 上」スタンダール著・小林正訳、新潮文庫、1957.02.25
    「赤と黒 下」スタンダール著・小林正訳、新潮文庫、1958.05.20
    (2019年8月8日・記)
    (本の表紙より)
    赤は軍服、黒は僧衣―恋を踏み台に野望に生きる、才気と美貌の青年ジュリアン・ソレル。彼の複雑な恋愛心理を描く、里中満智子入魂の力作!!

  • 2010/4/17  借りる、 その夜 一気に読み終わる。

    世界の名作 「赤と黒」 たぶん読んだだろうが、忘れている。
    『マンガ世界の文学』 里中満智子のマンガで、名作を味わおう!

    内容 :
    主人公は、生まれは貧しいが 美貌と才気の持ち主ジュリアン・ソレル。
    ナポレオンを敬愛するが、時代はもはや「赤」の軍服で成り上がる時代ではない。
    だから「黒」の僧侶の道を行き、教会でのし上がろうとする。
    ジュリアンが恋愛を踏み台にして、野望に生きようとするさまが、わかりやすく描かれている。

  • グッドウィン「イスタンブールの毒蛇」で女后(ヴァリデ)がヤシムに、最後に、うちに帰ったら、スタンダールの「赤と黒」を読んで欲しいの、と言ってたことから興味を持ち、まず原作に当たるも冗長で投げ出し、漫画版にたどり着く。名もなき家の貧しい育ちのジュリアン・ソレルが、ひとかどの人物になり権力を握りたいという野心をドライブし、満たされなかった愛されるということも踏み台にして、のし上がろうとするが、姦計に落ち、罪に落とされ、逃れる道もあったのに、これが自分の道と23歳で生涯を終えるストーリー。ヴァリデが言いたかったのは、野心に振り回されて最後には命を落としたルフェーヴルを、ソレルに重ね合わせたかったのだろうか。もっとも、ソレルが垣間見せたある種の高潔さはルフェーヴルには見当たらなかったが。以下備忘録的に/俺には知性と意欲とこの美貌だけだ。/軍服の「赤」でのし上がれないなら僧侶の「黒」でのし上がってやる/おれの野心はおれの信念だ。/人生においての成功を願ってきたおれの努力は神の名のもとでは単純でいやしい野心にすぎない/退屈の空しさを知っているのが貴族の条件だ 彼みたいな勉強の虫は一生退屈しないのだろう/このおれが赤でも黒でもなく青い服を着て貴族のように振る舞うとは/

  • 面白すぎて一気読みしてしまった!!ジュリアンの凛々しい生き方、マチルドの「逆境」に対する渇望、貴族の人間関係の生々しさ、めくるめく話の展開と人々の想いの交錯に圧倒されてしまった。感情移入させやすく再構成し、読みやすく整理した里中さんの手腕も素晴らしい。これは原作を読みたい。

  • 私が就職したばかりの頃によく話した男性が、
    「大学生の時コーチのバイトをしていて、教え子の母親と恋に落ちた。
    旦那さんの留守中に逢瀬を重ねた。
    彼女は恋愛経験なく早く結婚した人だった。
    当時の自分は『赤と黒』のジュリアンになったような気持ちだった」
    と語っていたので、この本のことがずーっ気になっていたのですが、
    このたびようやく漫画を発見しまして(こら。)読むことができました。

    里中満智子さんの解説によると、大幅にカットはされているようですが、人物の描写がとても面白かったです。
    また、このころを扱った歴史の本はずいぶん読みましたが、こういう一般の人たちの様子っていうのはよくわからなくて、内戦ばかりしているイメージだったけど、意外と普通に生活しているんだなと。
    二転三転している時代でしたから。
    うーむ。こういう小説は読んでおいたほうがいいですね。
    サマセット・モームによる「世界の十代小説」にとりあげられているそうです。

    ところで上に書いた男性のことですが、実は当時できちゃった結婚したばかりでした。
    そんなところもジュリアンと共通していたんだなあと今回知りました。

  • スタンダールさんの『赤と黒』を里中満智子さんがザクっと1冊のまんがにまとめた本。

    美貌と知性で貴族社会に入り込みのし上がっていこうとするジュリアン・ソレルくんが、家庭教師先の奥さんや貴族の娘さんなどを手に入れて、結局は女で失敗してしまう物語。

    でも、最後はプライドから最初の人妻さんを殺そうとして捕まり、彼女がやっぱり自分にゾッコンであることを知って、燃えるような恋ができた自分の人生は悪いものではなかったと納得して死刑になる。

    中二病のまま驀進して23歳で亡くなるわけだけど、ナポレオンのように軍人としての赤い服を着てのし上がるわけでも、宗教界の黒服を着てのし上がるわけでもなく、なんだか人を愛し愛され幸せでしたってお話でした。

    それって貴族じゃなくても、軍人じゃなくても、聖職者じゃなくても、普通に生きていれば、そのシチュエーションなりの恋愛ってできたと思うんだけど…。

    すっごく狭い世界で生きているようだし、まぁ本人がそれでいいのならいいんだけどね…。

  • スタンダールの『赤と黒』は、いつか読まなければと思いつつ、なかなか手を出せていなかったのだが、今回は、(体調も悪いことを言い訳に)漫画でお手軽に筋を追う。
    原作は長大で、それぞれ登場人物が人生を「らせん状」に登っていくところを、里中満智子氏は、ジュリアン・ソレルの心の機微に焦点を絞って、あえて、彼の悲劇のストーリーに関係ない登場人物や場面は大幅カットしている。
    でも、「らせん」を直線の「はしご」に置きかえて漫画化したことで、主人公の価値観がクローズアップされ、人生に意味を見いだそうとあがき続けた青年の切なさがよく伝わってきた。
    漫画の良い読み手でない私でも、一気に読めた。絵も綺麗だった。

  • まあまあ面白かったけど、原作を読んでみたいという感じではない。主人公がどうも見栄だけで動いているような感じだし、結末部分はどうも展開に困ってやっつけたんじゃないかっていうような印象を受ける。

全13件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

スタンダール(本名アンリ―・ヘール)は、フランス革命からはじまるフランスの歴史的な激動時代を生き抜いた、フランスの代表的な作家。著書に「赤と黒」「パルムの僧院」「恋愛論」など。

「2016年 『ディズニープリンセス 「恋愛論」 Disney Princess Theory of Love』 で使われていた紹介文から引用しています。」

スタンダールの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×