会計破綻: 会計プロフェッションの背信

  • 税務経理協会
3.25
  • (1)
  • (1)
  • (5)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 22
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (466ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784419042868

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ★P19「しかし、会計事務所が、うちはクライアントに最高のサービスを提供している、と言うのはどういう意味だろう?それは彼らが、監査人としてもはや公平な存在ではありえないほど、クライアント側に立っているというということにほかならない」
    P113 監査人を監査するのはわれわれの良心
    P118 実際は長期にわたる業務の結果である利益を、期間に得られた結果であることによって、真実を絶えず破壊するプロセス
    (証券法は)投資家を単に惑わせるだけだ⇔情報をタイムリーに開示すれば、インサイダーが情報優位の立場を利用して利益を得るのが難しくなる(財務会計の理論と実証P133)
    P124 SECが、会計から会計士の専門的判断を排除しようとするのではないかと懸念
    P173 コンチネンタル・ヴェンディング事件の現代的意義
    もし会計事務所が何かを知っていたとしても、世間に”じゃあどうしてもっと早くそれを何とかしなかったんだ”と言われることを恐れて、行動を起こすことを躊躇するんです
    P174 <訴訟を免れ得なくなった監査人>
    クライアントF/SGAAPに従ってる訴訟免れ得なくなった
    監査=不正摘発とまったく無関係といわれていた時代は終わりを告げた
    もしコンチネンタル~の不正行為探り出す責任が監査人にないなら、F/Sの監査そのものの意味がなくなってしまう(エンロンのときのように)

    P190「AICPAの考えでは、監査人の義務は、単に「一般に認められた会計原則(GAAS)を遵守しているかどうかを判断すること」だった」「どういう場合に、会計士は財務諸表に影響を与える不正を導き出さなければならないのか?拡大された役割の範囲は、今なお議論の対象になっている」
    P194「倒産が監査上の間違いとは結局何の関係もないとしても、大手事務所が単純な監査ミスを犯していることで、原告側弁護士にとって企業倒産を会計事務所のせいにする格好の材料を与えることになった。単純なミスが多かったのは、急成長に浮かれていた1960年代に契約した新規クライアントすべてを監査するだけの、力量あるパートナーが不足していたからだった」
    P196 「独禁法と会計士業界」「ロジャー・ハーマンソンの証言」P198「専門職に安値をつけはじめると、他の何かを失ってしまいます」
    P199「誰も、嬉々として、というわけじゃないと思いますよ。それは、ある意味でプロ志向の弱体化でしたからね」プロって何なんやろう…⁇ 監査報酬安い コンサルのせいで監査おざなりなったとか批判するくせに、競争はしろという ムチャじゃね⁇日本も同様⁇価格は規制機関が決めてしまうべきなのか⁇
    監査人のチェンジについて調べよう
    ★P202「クライアントの会計ミスは見逃せ」→でないとサンプリング増える→見積もりより監査報酬多く請求せんならんといけんくなる(→来年監査法人変えられてしまう)
    P204ピート・マーウィックのフランチャイズ化←そんなん可能なん⁈
    P212 AICPA「監査以外のサービスを提供することによって、実際に監査人の独立性が損なわれるという証拠はない」
    P215Equity Funding社 ピートは「不正の疑いについて」というメモまで残しているが、ずっと無限定適正意見出してた
    P216 根本的な問題→基準が悪い
    P217 カプニック「SECは、経営上の不正、中間財務諸表、未来の業績予測の分野において、会計士の責任範囲を広げようとしている」 フォー・シーズンズ養護施設事件
    P221「会計基準を決めたのは監査人自身だという話に戻ったものです」←日本はちがうんじゃ⁇
    ★P226良い会計士の定義「自らのことよりも、クライアントの利益と、クライアントにとって何が正しいかを一番に考えている」社会一般の、あるいはクライアントの株主の利益には言及していないのだ。会計事務所とクライアントの間の関係は、クライアントへのサービスを超えることができないという状況。企業経営を監視することではなく、企業経営を助け、守ることであると信じていた
    ★P230「独立性を確実なものにするのに一番良い方法は、経営陣から、監査人を雇う権限と、そしてもっとも大事なのは、監査人を辞めさせる権限を剥奪すること」 強制ローテーション制度①別の事務所がすぐに自分の仕事に目を通すことを、監査人自身が知っていること②他の事務所にクライアント渡すと分かっていることによって、監査人が経営陣への忠誠心を持ちにくくなること
    P237 コンサルティングだけでなく、報酬競争も監査の質の低下を招いた(いくら請求するかはプロポーザルで決まってしまってる)
    P248投資銀行業務⁇ 貯蓄貸付組合⁇
    ★P250銀行監査の難しさ 監査人たちは銀行融資が本質的に抱えているリスクをあまり理解していないことが分かった 在庫と呼べるようなものがない 国中を回って、企業の一つ一つを自分の目で確かめでもしない限り、銀行の融資ポートフォリオのリスクを適切に評価するのは不可能だった 規制緩和→先端分野に進出→監査人も知識拡げなければならなかった
    P256 デキが良くないと分かっている監査人を、会計事務所があっさりとクビにしなかった理由→一つには、検察側の証人の切り札になってしまう
    P269 コンサルティングが、市場のニーズを満たしていたことである。技術上の難問や、グローバルな競争、四半期毎の目標達成へのプレッシャーなどが、ますます企業の前に立ちはだかるようになっていた。
    ★P271 J. Ronen 監査人が監査を捨てた理由は、1980s後半から90sにかけてF/Sがますます監査不可能なものになったからでもある。F/Sにあまりにもわけの分からない要素が入り込むことを許したFASBにも責任の一端 将来プロジェクトからのCFは、検証も監査も不可能です。F/Sの大部分が、監査不能になってしまったのです
    P298 企業に所有されている会計事務所
    P327 すべてがコンサルのせいだというわけじゃないんです。監査に問題があった、その点が忘れられていたと思いますね
    P440 会計事務所の構造的問題として、代替的営業構造がある。これは、会計事務所が大企業の傘下に入ることによって、資金不足を解消しようとする試みだ
    P441 彼らに必要なのは適切な動悸だけです
    P443 不正が目に入らないのは、それを見つけようとしていないからだ
    P446 リスク・アプローチの弱点は、何百万ドルという大きさにまでいかないと、なかなか間違いに気付かないということ

  • 会計の歴史から紐解き、アメリカの会計の歴史を記載しています。
    ページ数が多く、訳書でもあることからちょっと読むのに時間がかかりました。国際会計基準の経緯をみても、アメリカは自国の会計が一番という自負が見受けられましたが、実際のところ、「監査」というものはとても難しいものなのだと思わされます。
    実際、監査にかかるコストと会計監査人が行なう作業の釣り合いがとれていないところに問題があるように思います。

  • 会計の歴史ドキュメンタリー。
    原文はもっと皮肉混じりなんじゃないか、と、その辺が訳にうまく表れてないような、そんな印象を受けました。

  • (手持ち)
    太古の「カイケイ」からA社崩壊、昨今の動きまで、業界裏話系なのであっさり読めましたが、結構考えさせられました。
    時代を作っていく立場ではなく、後追いで、要請されて役割が変わるものの弱さで、そこのギャップを見誤ったとき、数々の不祥事が起きてきたのだろうと。で、歴史は多分繰り返すんですよね。。。と。

全4件中 1 - 4件を表示

友岡賛の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×