最近の粉飾: その実態と発見法

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  • 税務経理協会
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  • Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784419050597

感想・レビュー・書評

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  • 公認会計士が、帳簿とニュース報道等だけで、粉飾額やその内容等を推測するという内容
    財務諸表を単なる利益や財務の確認だけではなく、いかに読み取り、活用していくかといういい実例になっている

    ただ、内容はやや高度で、勘定科目はもちろん、法人税等調整額の意義やキャッシュフローの意味(ヘタすると作り方)がわからないと理解不能な点が多いかも
    プレジデントオンラインで「(粉飾の)その実態を知り“他山の石”としてほしい。カネボウやライブドアなどの不正手口をケーススタディーとして取り上げ、具体的な粉飾の調査手法を明かしている。数多くの取引先を抱えているビジネスマンなら、興味深く読めるはずだ。」と紹介されていたが、、普通のビジネスマンの場合は理解するのはなかなか大変だと思います。

    【なるほどな点】
    ・(粉飾の修正として過去にさかのぼっての修正ではなく、一時的に特別損失を増加させ処理してしまうことについて)過去に遡って損益の修正を行っていれば、債務超過に陥っていた期間のあったことが推察されるし、配当可能利益がないのに配当を実施していた違法配当の事実などが明らかになる可能性があり、(中略)監査法人などの過去のずさんな監査が表面化するので、監査法人側でも、会社側の不適切な後始末のやり方を黙認したことが疑われる。(P9)
    ・粉飾発見の手続きは、財務数値や財務諸比率における異常の探索から始まる。(P21)
    ・粉飾が必要な企業では、業績の悪化により増資による資金調達が困難になっているのが普通なので、損失資金はもっぱら借入金により調達することが予想される。(P30)
    ・粉飾は、資産の水増しか負債の隠蔽を伴う。(P34)
    ・人間には出世欲があり、人よりは良い成績を上げたいという本能がある以上、どのような会社にでも局地型粉飾は起こりうると考えられる。(P243)
    ・持ち株会社化により、公開が義務付けられる財務情報の内容が希薄化することになる。(P251)
    ・粉飾の修正のために、風説被害などを口実に損失を創りだして期間損失を増やしていたことが疑われる。(P263)
    ・粉飾により倒産を免れていたい企業では、業績や財政状態をよく見せかけているので、倒産までは(継続企業の)注記などしていないと推察される。(P292)
    ・(業績や財務状態の厳しい会社において)経営者が業績向上のため社内で叱咤激励する場合には、従業員が粉飾に走る危険のあることを念頭に置いて、粉飾が経営者の意図でないことを社内に周知させる必要がある。特に、管理部門については、業績が悪化すると、経費削減のために人員削減などの軽量化を図ることになるのが普通だが、これが結局、多いなる損失につながることを理解する必要がある。(P304)
    ・営業上の多少の混乱があっても、適時に適切な人事ローテーションを励行することの大切さを認識する必要がある。(P304)
    ・厳格な監査によっても発見できない粉飾だから、財務分析で異常を発見するのは極めて困難である。(P305)
    ・得意先は代金を支払ってくれて、初めてお客様になるのだから、相手が代金を支払ってくれる資力があるか、資金繰りに詰まっていないかなどに注意しながら、相手の言動を観察する必要がある。(P306)

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著者プロフィール

公認会計士

「2020年 『忖度と国際化時代の粉飾』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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