晴れときどき涙雨 高田郁のできるまで

  • 創美社 (2012年7月26日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784420310604

作品紹介・あらすじ

『みをつくし料理帖』の高田 郁、初のエッセイ集!!
注目の時代小説家・高田 郁が漫画原作者・川富士立夏時代に漫画雑誌「オフィスユー」に執筆した貴重なエッセイと書き下ろし長編エッセイで構成。『みをつくし料理帖』シリーズの原点!!

感想・レビュー・書評

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  • なんて真面目な人なんだ‥!
    真摯な姿勢と少なからぬ大変な経験に、「高田郁のできるまで」の確かな説得力があります。

    漫画原作者・川富士立夏として、平成17年から4年半にわたって女性漫画誌「オフィスユー」に連載されていたエッセイに書下ろしを加えたもの。
    法学部卒で最初は司法試験を受けていたが、落ち続けたという。
    塾の先生をしていた頃、塾が倒産した時の話。
    そして、阪神大震災。
    食べ物もない頃に、かっての教え子がパンと牛乳を持って、駅で待っていてくれた。

    1993年に漫画原作者としてデビュー。
    漫画原作を書くための色々な取材で出会った人々。
    時代小説を書き始めたが、すぐには芽が出ない。
    家族に起きた出来事もいろいろ。微笑ましいエピソードも。
    父が10年前に使った車椅子を、母のために組み立てることに。
    中学の頃に遭ったいじめ。
    交通事故の後遺症に悩んだり。

    こんなに苦労していては、軽いエッセイを書いてる暇もないですね~。
    (大阪のオバチャンの話とか、ちょっとはあります)
    ありありと描かれるため、読んでいるほうも心動かされます。
    丁寧に向き合い、一つ一つをその身内で昇華していく過程があったのでしょう。
    苦難のときにこそ前向きな心がきらりと光り、手を差し伸べてくれる人の心の温かさがどれほど染み入るか‥
    知っている人なんだなと深く納得しました。

  • とても誠実な印象で、「ああ、『みをつくし料理帖』の作者さん!」と納得できてしまう、やわらかな言葉づかいが魅力的。
    同じ女性として見習いたい姿勢を、垣間見れたような気がする。
    早く読みたい!
    (創美社のサイトでためし読みができるので、思わず読んじゃった。)

  • 関西のラジオ番組で、時々高田さんのメールが紹介されていて、その締めくくりの言葉は「それでは江戸時代に帰りま〜す」 
    初めて聞いた時はフッと笑ってしまいました。
    出演された時は声も話し方も可愛らしく、言葉に関する知識はもちろん豊富で、いつか「みをつくし料理帖」を読みたいと思いました。巻数の多さで後回しになっていますが。

    図書館でこのエッセイを見つけた時、やった!と思いました。外出先で読んでいたのですが、胸が苦しくなったり熱くなったり、はたまた笑いが込み上げたりで、こらえるのが大変でした。

    丁寧に綴られる文章は読んでいてとても心地よく、覚えておきたい言葉も沢山ありました。
    借りてる間、何度もページをめくる事になりそうです。

  • 久しぶりに読後感の心底気持ちいい本を読んだ。
    文句なしの☆5つである。

    髙田郁さんが人気の時代小説家であられることは
    知っていたし、みをつくし料理帖シリーズの名は
    気になっていて。

    作品から好きになるっていう道もあると思うけれど
    書いた作家さんについての本から好きになる道もある。
    高田さんとの出会いはこの本なのだけど…この出会いは
    良かった!

    やさしい言葉。綺麗に伸びた人間としての背筋。
    甘ったるさはない。読者にも礼儀と気持ちのいい
    おとなの筋目がとおる。

    どの文章にもひとへのあたたかさがあり、
    控えた美しさがある。

    人を殺す刃は書きたくないとお料理の話を
    書くといいう。この方の姿勢。

    みをつくし…読んでみようって思った。
    ありがとうの溢れる、さわやかなエッセイだった。

  • 書かれている事、書かれていない事すべてが高田郁さんをつくっている。
    そう思うと感慨深い。
    言葉選びが、丁寧で優しくて好きだ。
    心にしっとりと降るような作品。
    丁寧に生きよう、大いに動こうと思わせる作品。
    お土産話をいっぱい覚えていようと思う。

  • これもまた、『みをつくし料理帖』シリーズを読んだ後で読んだ方がよかったかも。
    そうすれば、澪と高田さんの似てるところを探す楽しみがあったんじゃないかなーなんて。

    なんというか、高田郁という人は、苦労はしても至極真っ当に生きてきた、
    或いは至極真っ当に生きる努力をしてきた人なんだろうな、という感じがした。
    いじめに関する考え方など、共感できない部分も少なからずあったものの
    読んでよかったと思えるエッセイではあった。

    『古書の楽しみ』は、似た話を川原泉さんのエッセイコミックで読んだことがあって
    (ちなみに川原さんはムカついて読むのをやめたそうだ)
    意外とそういう意地悪をする人って多いんだな、と思ったんだけど
    まさかああいうオチだとは想像もしてなかったので思わず噴いた。
    もしかしたら川原さんのも実は犯人じゃなかったのかもね(爆)。

    大声で主張すべきだな、と思ったのは『スローモーション』の話。
    とはいえ、そこで加害者を気遣えるところが高田さんの優しさだと思う。
    この本の文章は、そういう優しさが行間から溢れていた。

  • みをつくし料理帖の作者のエッセイ。こちらもあったかくて胸に響く話が詰まってます

    これを読むとみをつくし料理帖のお澪坊は高田郁さんご自身なのでは?なんて思ってしまう。なんて直向きな作家さんなだろうと

    作家と言うよりも人間性、と言うべきでしょうか。彼女の周りの人達もまたそうで。こういう人達がいる限り素敵な作品も作家も世に生まれ続けるんだろうなぁ

    特にみをつくし料理帖から入った人にはぜひ読んでみてもらいたい。私もその1人です

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「なんて思ってしまう。」
      と、このエッセイを読んだ人は皆思いそうですね。。。
      「なんて思ってしまう。」
      と、このエッセイを読んだ人は皆思いそうですね。。。
      2013/06/26
    • otemoterashiさん
      わぁ!コメントありがとうございます!!

      ほんとそうですね。みをつくし料理帖の新刊も相変わらず面白かったです◎
      わぁ!コメントありがとうございます!!

      ほんとそうですね。みをつくし料理帖の新刊も相変わらず面白かったです◎
      2013/06/27
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「新刊も相変わらず面白かったです◎」
      良いなぁ~
      未だ途中の巻までしか読んでいなくて、追いついていないんです(一気に読みたくなるのを堪えて、...
      「新刊も相変わらず面白かったです◎」
      良いなぁ~
      未だ途中の巻までしか読んでいなくて、追いついていないんです(一気に読みたくなるのを堪えて、ボチボチ楽しんでます)
      2013/06/28
  • 大好きな作品を書いてくれている髙田郁さんの、漫画原作者時代のエッセイをまとめたもの。
    彼女の作品に出てくる、まじめで、深い思いやりがあり、気高さを感じるヒロインがそこにいるように感じられた。
    読者からの手紙に答えたように、自分もあなたの思いが届きましたよと伝えたい。
    そして同様に「出来るならばこう言い添えたい。
    あなたのことを思い出す度に、その幸せを祈っています。私に何が出来るわけでもないけれど、それでもあなたの幸せを心から祈っています。」
    また、理学療法士への感謝についても、同様の感想を友人から聞いたばかりだったので、尊い仕事だなと思えたし、その仕事を始めたばかりの家族にもそうであってくれたらなと思った。
    山本周五郎作品、読もうと思う。

  • みをつくし料理帖の著者、高田郁先生の過去のエッセイ。
    先生が書く作品に心動かされるのは先生自身のご病気や被災経験、漫画原作者時代の経験、そして目指したい境地への情熱あってこそなのだなと、しみじみ思いました。
    自分が苦しかったとき、何度物語に救われたことか。
    そこに高田先生のご苦労があったと思うと、いまを精一杯生きようと思えます。

  • 2014.2.21
    たくさんの困難を乗り越えて。。。
    優しい気持ちに。

  • 「Osaka Book One Project」の第1回受賞作『銀二貫』で初めて知った作家さん。
    出会えてよかったぁ。
    ほんまに、よかった。
    って思えた本でした。
    『銀二貫』の解説で、糸寒天のことを読んだときから、高田さんという作家さんに魅せられていたので、エッセイを読んでみたくなったのです。

    ときどき涙ぐみながら、心の奥〜のほうが、じんわり温められました。
    おなじ事象でも、受けとめ方は、ひとそれぞれ。
    気にとめるかどうか、も、そのひとの「ひととなり」が現れるものなんですよね……。
    高田郁さんの心が拾われた、ひとつひとつのエピソードが、とてもやさしくしみました。
    なかでも、
    「パンと牛乳」
    「おとなの流儀」
    が、いいなぁ。

    高田さんが丁寧に紡がれた小説、もっと読みたいな。

  • みをつくし料理帖のファンですが、作者の高田郁さんについては詳しく知りませんでした。
    このエッセイは高田さんが漫画の原作者時代のもの。
    なんて繊細で頼りなくみえ、その実、一本筋の通った凛とした女性なんだろうと感じました。
    多分小説も一本一本大切に書き上げていらっしゃるのでしょう。小説を読むのが一層楽しみになりました。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「漫画の原作者時代のもの。」
      図書館にあったマンガ3冊借りて読みましたが、やっぱりウルウルしました(絵が▲のもあったけど)
      「漫画の原作者時代のもの。」
      図書館にあったマンガ3冊借りて読みましたが、やっぱりウルウルしました(絵が▲のもあったけど)
      2014/04/23
  • あの小説の作者さんだと思う(納得する)エッセイ集でした。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「(納得する)エッセイ集でした。 」
      ホント、真面目過ぎてクラクラする。そして別名義でマンガの原作を書かれていたと知ってビックリでした。
      「(納得する)エッセイ集でした。 」
      ホント、真面目過ぎてクラクラする。そして別名義でマンガの原作を書かれていたと知ってビックリでした。
      2013/07/26
  • 「みをつくし料理帖シリーズ」にはまって、著者の人柄に興味がわいたのでエッセイを手に取りました。
    震災や事故、病気などいろいろな不幸にあいながらも強く前向きに生きている著者の姿がどこか、小説のヒロイン澪に重なるものがありました。
    文章を読みながら何度もほろりとしてしまいました。
     
    ただ、ちょっと気になったのが前向きで強すぎて、あまり人に頼ったり、弱音を吐いたりする方ではないのかなぁと……。
    たまには自分を甘やかしながら、お体に気をつけて執筆を続けて欲しいなぁと思います。
    みをつくし料理帖楽しみにしてます。願わくはハッピーエンドで(笑)

  • 高田さんの人情味あふれるあたたかい小説の裏には 作者のいろんな辛い体験や感謝の気持ちがあらわれているんだと納得しました。このエッセイをふまえて 澪つくしシリーズを読むとより感動できると思います。

  • 高田郁先生の温かいお人柄が伝わるエッセイ。いつかサイン会に伺いたいなと思います。

  • 司法試験への挑戦や、大地震の被災、自身の交通事故、四十代になってからの小説家への転向の話もあり…昨今よくある、ひとつのテーマに関しての感じ方や意見を書くのではなく、人生の出来事を切り取っている日記や伝記のような一作。
    読む前は「みをつくし〜」シリーズの著者、というイメージしかなかったけど、他者への思いやりや優しさに満ちた人間性がなにげない思考の端々から伝わってきて、俗な言い方だけどかのシリーズが“売れて”よかった、と思った。やりたいと思って志したことが形になって、つまりお金になってよかった。他人から親切にされるのはきっと著者自身がそういう人物だからなのだと思う。

  • 20230111読了。

  • 「みをつくし料理帖」や「あきない世傳」シリーズの作者のそれらのシリーズが生まれる前の漫画原作者時代のエッセイ集。10年前に出てるのは知ってたけど読んでなかったのに気づいて読んでみた。この方ってそういう方やったんや。関西人でうちの連れ合いとタメだったんだ。知らなかった・・・ 阪神淡路大震災で、大変だったのね

  • 高田郁さんの誠実さ 気付くことの出来る人 ステキです
    いろいろやって来られたんですね
    みんな高田郁さんを作ってると感じました
    高田郁さんの本には人と人との絆 人情は必要 素晴らしいといつも感じさせられます
    おいおい泣いたことも

    「通りすがりの神様」良い言葉ですね
    「誰しもいつも必ず あちらへ旅立つ時が来る 父に再会した時に喜んでもらえるように 楽しいお土産話をたくさん持って行こう そのために毎日を丁寧に 心豊かに生きていこうね」
    「被災地にとっての明日が 今日よりも良い日になりますように」
    多くの本に出会い 生きにくさを軽減してもらいました ちりちりと焼けるような焦燥感や 底知れぬ悲しみを覚えた時も 本の中の一文に救われたことがあります ともすれば自己否定に走りがちな屈折した心に しっとりと寄り添ってくれたのもまた 本だったのです この文章栞にコピーして 病気の友達に本を贈りたいと思います
    ありがとうございました

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著者プロフィール

髙田 郁(たかだ かおる)
1959年生まれ、兵庫県宝塚市出身。日本の小説家、時代小説作家。元々は漫画原作者で、その時のペンネームは川富士立夏(かわふじ りっか)。
中央大学法学部卒業後、1993年集英社の女性向け漫画雑誌『YOU』で漫画原作者としてデビュー。その後山本周五郎の「なんの花か薫る」に衝撃を受けて、時代小説の執筆に至る。2006年「志乃の桜」で第4回北区内田康夫ミステリー文学賞区長賞(特別賞)を受賞。2007年「出世花」で第2回小説NON短編時代小説賞奨励賞を受賞。そして2008年に同作を含む短編集『出世花』で小説家デビューを果たした。
代表作に、全10巻で300万部を超える大ヒット『みをつくし料理帖』シリーズ。同作は2012年にテレビドラマ化。2013年に『銀二貫』が大阪の書店員らが大阪ゆかりの小説の中から「ほんまに読んでほしい」本を選ぶ「Osaka Book One Project」の第1回受賞作品に選出、2014年にNHK木曜時代劇にて林遣都主演によりテレビドラマ化された。

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