ジジイの片づけ (「ジジイ」シリーズ)

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  • 集英社クリエイティブ
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  • Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784420310895

作品紹介・あらすじ

谷川俊太郎氏 推薦!
「沢野さんに教え諭されたのは初めてだ、
ジジイ仲間として胸が熱くなったのも。」


片づけを習慣にすれば、明るい毎日になる!
長年にわたり身の周りを片づけ続ける著者が、人生を振り返りつつその心得を綴るイラストエッセイ。
モノは長年生きるほどに増えていく。家族が増え、思い出をまとえばいよいよ処分しがたいが、手放すことでいっとき寂しくなっても、体と心は喜んでいるはずだ──決断力と悟りとが交錯するジジイ目線には、老若男女を問わず清々しく生きるヒントが満載。
読めば片づけしたくなる23編+19のコラム。

【目次より】
毎日同じことを習慣づける─朝の10分間片づけ─
人生に不安を感じたら窓を拭く
老人よ大志を抱け、引き出しを検討せよ
引き出しの一番上は空にする
片づけも、一汁一菜
ノートや手帳は、最後まで全部使い切ると自信が湧く
薬箱は整理整頓をしない─整理整頓と片づけの違い─
明窓浄几の部屋
旅行鞄とその中身は、自分の部屋の小型版
命短し床下収納
洋服タンスの定期点検
ギター職人の片づけの極意
ペーパーナイフ
別れた夫婦とカーテン
ロサンゼルスの若造の家
家は生きている作品
種差海岸の別荘
海を渡った原稿用紙
別荘の夢を片づける
山登りは片づけ
赤いポットと捨てられない癖
パリジェンヌはバスタオルを持たない
死んだあとの片づけ

【本書「明窓浄几の部屋」より】
ものを置かないということは、決断力を鍛えることでもある。何が本当に自分に必要なものなのか、自分の持つ空間に合わせきちんと決めて、本当に不要なものを処分する。この訓練をはじめるのは若ければ若いほどいい。
隠遁とは老いた者だけに許される身分ではない。何歳であろうと、無駄なもののない空間で、清らかな時間を持てることは宝であり、その精神的な贅沢こそが隠遁なのである。

【著者プロフィール】
沢野ひとし(さわのひとし)
イラストレーター・エッセイスト・絵本作家。1944年愛知県生まれ。児童書出版社勤務を経て、書評誌『本の雑誌』の1976年創刊時より表紙と本文イラストを担当。
山岳をテーマにしたイラストエッセイで人気を博す。1991年、第22回講談社出版文化賞さしえ賞受賞。
著書に、『鳥のいる空』(集英社)、『さわの文具店』(小学館)、『中国銀河鉄道の旅』(本の雑誌社)、『人生のことはすべて山に学んだ』(角川文庫)など多数。

感想・レビュー・書評

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  • 椎名誠さんの作品に登場する沢野ひとしさんしか知らないと、『え、こんなちゃんとしてる人だったの?!』って、そのギャップにびっくりするはず。少なくとも私はめちゃくちゃ驚いた。
    沢野さんがたどり着いた片付け術が、理路整然と書かれていて無理なくやれそうな気になる。…気にはなる。こんなふうにすっきりと生きることができたら。
    …それにしても、椎名さんの本に出てくる沢野さんとは別人過ぎるのだが…(w

  • 定期的に整理収納本を買って読み、自宅の快適の維持に努めている。平たく言えば『モチベーションの維持』。書棚の一角には類書が並ぶ。

    整理収納や断捨離本って、総じて〈清掃整理と心の安寧の密接関係〉を説く。家が部屋が機能的かつ快適になるだけでない、『心への効能』に話は及ぶ。『全てMUJIできちゃう快適スマート収納』のようなノウハウ全開本は別として、ご高説を開陳される。

    例えば、最少のモノで暮らす生き方を志向するミニマリズム本なんて、精神世界の領域にどっぷり入り込み明らかに自説に酔ってるよなぁと思しき著者もいる。このあたりダイエット成功譚に似ている。

    そもそもミニマリズムは快適な暮らしをする上で、モノを取捨選択する『選択と集中』だと理解している。こっちは体験に基づく具体性を欲しているのに、導入前と導入後の心情的変化にページを費やし、隔靴掻痒感に苛まれる。

    本書にもこんな一説がある。
    〈心が晴れない時ほど、部屋、家の片付けをするのが一番だ。掃除をし、身体を動かし、片付け方を発見すれば思考も変わり、新鮮な気持ちになる。使わなくなった物を整理処分すると、部屋も広く、心も明るくなってくる。捨てる時には一瞬迷いも生じるが、捨てた後には壮快そのものだ。何に迷っていたのかということさえ忘れ、新たに生きる勇気が蘇ってくる。(中略)モノの片付けは心の片付けでもある。〉

    かくいう僕も毎朝の出勤前のルーティンとして、コロコロで念入りに床の埃や髪の毛等を取り、食卓を除菌スプレーで拭き、洗面所は手ぬぐいでまず鏡を磨いた後、洗面所の水垢を拭い、タオルハンガーのタオルを洗い立てのタオルに替える。晩の入浴時の着替えとタオルも整え、ようやく髭を剃ったり寝癖を直し身支度し、玄関マットにスリッパを揃え、いざ出勤となる。

    これは妻に頼まれたわけでなく、家事の分担でもなく、その日がうまく滑り出すよう自己流の『おまじない』。

    著者は長年『本の雑誌』表紙・本文のイラストを手がけるイラストレーター。子どもらは独立、現在は妻とふたり暮らし。自身の書斎や領域はせっせと整理・収納・清掃に勤しむ毎日。その夫の前に立ちはだかるのが妻。ちょっとした物から思い出の品々まで溜め込み処分しようとしないことで何度も大喧嘩に発展。挙句に妻からは『もう、愛しているなら、さっさと死んでくれ!』とも言われる始末。本を著わすほどの蓄積したノウハウもスキルも跳ね返され、以来妻への領域へは不可侵に。

    あとがきで著者はこんな提言をする。
    片付けを習慣にすると、健康・安心・老後の喜びと…いい事づくめである。思い立った時に片付けるのではなくジジイは今後のならわしを片付けを中心にして、そして片付けを趣味にして欲しい。ただし、家族の者に嫌われないために物音を立てず、大声を上げず、静かに専念すること。

    実に深い自戒である。
    今では使われなくなった関西弁に『かんしょやみ』という言葉がある。漢字では『癇性病み』と綴る。潔癖症に近いかなりの清潔好き。片付け癖が進行すると片付けのために片付けをするといった、住まいの快適化をはるかに飛び越え、家人を神経質にさせる。モデルルームのような家に住みたい人は別としてあくまでも『寸止め』に留める。ダイエットしかり、何事も『腹八分目』にする、この塩梅が中々難しい。

  • え~沢野さんてこういう人だったんだ・・・
    どういう人かって?
    片づけ魔・整理魔・掃除魔・断捨離魔・そして健康にも少し気を付けるなどなど。
    私の勝手な沢野さん像・・・わしはわしで好きなことをやるよ、あまり家庭を顧みずみたいな人。
    まさか沢野さんに片づけを説かれるとはなぁ。
    ジジイになって変わられたのかその辺はわかりませんが。

    毎朝家族が起きないうちから、部屋の片づけから1日が始まるのです。
    出しっぱなしのものは元あったところにしまう
    いらないものは捨てる。

    時々窓ガラスを拭く、道具は新聞紙に限る。
    窓は大事な気が入ってくるところだから、常にきれいに余計な物は置かないのだそうです。
    沢野さんから「気」などと言う言葉を聞くとは・・・
    中国の文人たちに造詣が深いようです。
    「明窓浄几」などと言う言葉も出てきます。
    またお洗濯もされます。晴れていたらガンガン洗うと。
    明るくこざっぱりと。

    しかし何とタフで元気なジジイであることでしょう。
    ババアはそこまでやれません。疲れてしまいます。
    年を取ったら家事はジジイに任せた!と言えたらなぁ。

  • 10歳にもならない孫娘を「片付けなさい!」としかりつけて泣かれるガチ片付けおじさん沢野ひとしの随筆。イラストレーター専業だと思っていたら、文章も書くんだな。

    現役世代の「片づけて運気を上げる!」的なガツガツしたところはなく、むしろせいせいとした寂しさがあった。沢野さんの片付けは人生の終わりのための活動でもあるからなんだろう。ただ「あとはさっと向こうへ行くだけ」みたいな感傷はなくて、今の生活から雑味を取り除こうという強い意志がある。そこは見習いたい。

  • そう、私は爺が苦手であった。ほんとに苦手である。読んでて再確認した。薪ストーブとレタスの収穫の話、原稿用紙を北京の日本語教師に渡せた話、それが素晴らしい。どんなに苦手でも時々こういうのがある。逃げてはいけない。
    捨てたがりの旦那はほんとにかなわんだろうなあ。同情します。

  • 絵と文章が合っているようであっていない。片付けの事を言って居るようであまりこだわっていない。それでも人生のことを言って居るようでもある。
    まあ、それでいいんじゃないですか。

  • おしゃれ系片付け本と比べると、ずっとシンプル。明瞭な文章ですっと入ってきた。

  • いたずら書きのようなイラストと、突き放しているようで、しつこい温もりを感じる文章、好きです。
    ババアの片づけをはじめようと思う。

  • メモです。

    自分の頭の上には何も置かない。

    机の一番上の引き出しは何も入れない。
    何か急に用事が入ったときに、
    その時だけその用事で使う道具入れるなど
    様々な物をその時だけ入れる引き出しにするため。

    本棚も一つだけ空間を作っておく。
    その空間を使うのはたまにだけ。

  • 片づけるのとしまうのとは違う。なるほど! 

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著者プロフィール

イラストレーター・エッセイスト

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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