白い土地 ルポ 福島 「帰還困難区域」とその周辺
- 集英社クリエイティブ (2020年10月26日発売)


- Amazon.co.jp ・本 (260ページ)
- / ISBN・EAN: 9784420310901
作品紹介・あらすじ
「どうしても後世に伝えて欲しいことがあります」
原発事故の最前線で陣頭指揮を執った福島県浪江町の「闘う町長」は、死の直前、ある「秘密」を新聞記者に託した――。
娘を探し続ける父親、馬に青春をかける高校生、名門野球部を未来につなぐために立ち上がったOB、避難指示解除後たった一人で新聞配達を続ける青年、そして帰還困難区域で厳しい判断を迫られる町長たち……。
原発被災地の最前線で生き抜く人々と、住民が帰れない「白い土地」に通い続けたルポライターの物語。
●目次
序章 白い土地
第一章 夕凪の海
第二章 馬術部の青春
第三章 「アトム打線」と呼ばれて
第四章 鈴木新聞舗の冬
第五章 ある町長の死 1
第六章 ある町長の死 2
第七章 ある町長の死 3
第八章 満州移民の村
第九章 フレコンバッグと風評被害
第一〇章 新しい町
第一一章 聖火ランナー
終章 一〇〇〇年先の未来
●著者プロフィール
三浦英之(みうら・ひでゆき)
1974年、神奈川県生まれ。朝日新聞記者、ルポライター。『五色の虹 満州建国大学卒業生たちの戦後』で第13回開高健ノンフィクション賞、『牙 アフリカゾウの「密猟組織」を追って』で第25回小学館ノンフィクション大賞、『南三陸日記』で第25回平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞、『日報隠蔽 南スーダンで自衛隊は何を見たのか』(布施祐仁氏との共著)で第18回石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞を受賞。福島県南相馬市在住。
感想・レビュー・書評
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三浦英之さんの著書を読んだのはこれで四冊目。
どうして、氏の言葉はこれほど心に届くのか。
第1章「夕凪の海」第4章「鈴木新聞舗の冬」第5章「ある町長の死Ⅰ」どのページを読んでも、現地で人々の声に耳を傾け続けた氏にしか、書けない言葉ばかりであるからだろうか。
『「帰還困難区域」とその周辺』で生きる人々の声を記録し、未来へと繋げる。
そんな記憶の記録。
僕たち日本人にとって、大きなテーマである原発という問題を考える上で欠かせない「生きた声の一冊」であることは間違いないだろう。 -
人が過酷な状況を伝え記そうとするときに、人は冷静さを
自らに課すのだろうと、私自身は考えていたように思う。
どうやらそれだけではないと、読み進むうちに、自らの甘さに気付く。
まず、三浦氏がなさったことは、目前の過酷な事実に向き合いながら、
そこに向き合う様々な人々の姿を克明に記録することだったのではないか。
新聞記者の三浦氏は、新聞配達を手伝いながら、町長への取材、
被害者の方々の様々な状況把握。(これには、人間の様々な本質が表われる。)
町長は志半ばでお亡くなりになりました。
そして、最も過酷な事故を起こした「東京電力」の被災者への対応について。
巨大な組織の空回りの対策。国の救助、対策の遅さ。冷酷さ。
それらすべてが「人間」なのだろう。
「白い土地」とは、「地図上になにも描かれていない土地」ということだろう。
そこはすでに道も田畑も民家も学校もないということなのだろう。
そして、一面の緑であるが、それは健やかな緑ではない。
この途方に暮れる状況に、人々は賢明に生きようとしている。
三浦氏の賢明な記録が読者に届けられたのだということ。 -
「白地」それは福島原発事故によって作られた「帰宅困難地域」のうち、放射線量が極めて高く、住民の立ち入りが厳しく制限され、将来的にも居住の見通しが立たないエリアのことを示す隠語。
原発事故の直後から、朝日新聞の記者として福島原発事故の現場に入り込み取材を続けるルポライターの渾身の告発の書。
「政府が掲げる「復興五輪」 その言葉自体に偽りはない。ただ、その対象が彼らと私とでは違っていたのだ。彼らが掲げる「復興」とは、原発被災地や津波被災地の「復興」ではなく、彼らが暮らす首都・東京の「復興」。もっと踏み込んで言えば、その東京に電気を送る東京電力の「復興」ではなかったか。
最後の章で、筆者はこう考察する。
地元に入り込み、静かに熱く伝える記事は、読む価値があると思う。 -
三浦さんのお書きになったものは間違いない感じがして安心して読み始められる。
もっと丁寧に読むべきなのだろうが、ページをめくる手が止まらなかった。
Twitterなどで読んでいたものが、より詳しく書かれていた。
コロナ禍で、震災から10年の節目も、薄く短く弱い印象で流されそうで辛い。今もなお苦しみ続ける人たちのことを忘れるわけにはいかない。
これからのルポもよろしくお願いしたい。 -
読了。honto電子書籍にて。
読んでよかったと思いました。
東日本大震災に伴う福島原発事故からもうすぐ10年になる時期に、
日々、東京=福島以外の地域で暮らす私は、今日も電気を使って生きている。
自分の人生を生きている。
そんな中で、福島の現地の10年と今を、今もこれからもちゃんと知っておかないといけない。
知らないでいることの方がつらく悲しい。
本書の内容として、まとまっているようないないような、そういう状態が一番、人間が考えている証拠のような、リアルのように感じます。
本書に限らず、思いをはせなければいけない事柄が、世界中に多すぎて、全部を知るまで行き届かないかも知れないけど、できるだけたくさん知っていきたい。 -
まだまだ原発の脅威は全く衰えていないのに、国民の多くはその危険性が1000年単位で続くことを認識できていない。そのことに触れるのはまるで御法度の様にメディアも伝えない。知人の福島県民が、原発地域のことを悪様に批判していたのもよく分かる一冊。
-
終章にあった「復興五輪」の主語が「被災地・東北」ではなく、「東京」であることが深く心に響いた。やはり東京というのは地方のことは関係ないようである。現状、帰宅困難区域やその周辺の復興など、まだまだ遠く先の話。原発名に「福島」とついているため、風評被害が県内全体に広がってしまっているということも。話が飛んでしまうが、政府はコロナ禍においてコロナに打ち勝つ五輪を開催したいのだろうと思ってしまった。
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