トラウマの現実に向き合う:ジャッジメントを手放すということ (創元こころ文庫)

著者 :
  • 創元社
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本棚登録 : 79
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422000589

作品紹介・あらすじ

トラウマ治療や技法について知っていることと、実際にトラウマの治療ができることは違う。トラウマ体験者は深い傷つきによって、対人関係における「信頼」に問題を抱えていることが多い。したがって、トラウマ治療において最も重要なことは、個別の治療戦略や技法よりも、治療者の姿勢であるとも言える。患者を人間として評価しない、病気の専門家に徹するなど、本書はトラウマに向き合う治療者の姿勢について、誰もが納得できる豊かな提言に満ちている。

感想・レビュー・書評

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  • 精神科医 水島広子さんが治療者に向けた、「トラウマ治療」の根幹となる、ジャッジメントを手放す大切さを説く一冊。

    治療者向けだが、十分理解が深まる。

    「自分の想像を超える体験をした人を見たとき、人は、自らの心のバランスをとろうとして、とりあえずジャッジメントを下しがちである。」

    「そんなこと、誰にでもあるよ」「もっと辛い思いをしている人もいるでしょう」「いつまでも引きずらないで、前向きにならないと」
    他人から不用意にかけられた何気ない言葉で、自分の辛い経験や記憶に厳重な蓋を重ねて、自尊心をさらに低下させ、他者への信頼も失っていく。

    「可愛そうな人」というジャッジメント、つまりレッテル張りをされ、一見同情・共感・尊敬の念を呈されているようでありながら、「結局はこの運命から逃げ出せない」という束縛感を生み出すパターンもある。

    ジャッジメントとは、【ある人の主観に基づいて下される評価】であり、決して社会の絶対的な物差しではない。

    個人の成育歴やパーソナリティ、価値観、社会的地位等のバックグラウンドを反映する、きわめて主観的なものだ。

    同情、共感過多時代なので、見知らぬうちに私たちは、自らの或いは他人のジャッジメントをあたかも盤石な物差しと思い違いがちだ。

    私も日常の営みのなかで、自分、他者、社会の感情とジャッジメントを区別し、自分が自分の日常をコントロールできる感覚を深めていきたい。

  • [図書館]
    読了:2017/3/4

    p. 204 「ゆるし」とは、「トラウマ体験者としての自分へのジャッジメントをやめる」ということだと思う。とても適応が大変な変化ではあったけれども、自分自身に傷がついたわけではなく、自分は大変な変化を乗り越えながらもプロセスを前進している存在なのであり、そこにジャッジメントを下すことには何の意味もない、と心から知ることが「ゆるし」ということなのだと思う。

  • 2階開架書架:WM170/MIZ:3410164043
    https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/webopac/BB50281159

  • もう少し早くに知りたかったという思いがある。
    大小あれどもトラウマを経験してきている人たちにちゃんと理解もなく、かわいそうな人たちとして自分から何かしてあげようと手を差し伸べたりしてしまったからだ。

    コントロール感覚を持たせてあげることとジャッジメントを手放すということ、安心を与えることが大事であるということをいたく痛感した本であった。
    私の経験上、特に女性にPSTD気味の人が多い気がするし、もう少し信頼と距離感を大事にして接してあげれば良かったと思う節がある。
    同じことを起こさないためによく自分の中に落とし込んでおきたい。

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著者プロフィール

水島広子(みずしま・ひろこ)
慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、国際対人関係療法学会理事。主な著書に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』『怖れを手放す』『女子の人間関係』『自己肯定感、持っていますか?』『「毒親」の正体』などがある。

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