人生で訪れる内面の大きな変化(トランジション)に人はどう対応するかについて論じた本。伝統社会の「通過儀礼」にそのモデルを見つつ、トランジションの過程を「終わり」「ニュートラルゾーン」「始まり」に分類。現代社会の中でこの過程をどう過ごし、自分なりの「通過儀礼」とするかを論じている。
「終わり」という現象を著者は、慣れ親しんだ場所・人・社会から引き離される「離脱disengagement」、自己定義の手段を失う「アイデンティティの喪失disidentification」、主観的な真実が最早真実でないことに気づく「覚醒disenchantment」、自分の進むべき方向性を見失う「方向感覚の喪失disorientation」の4つに分類している。そして人はこれら「終わろうとしているもの」に無意識に戻りたがるのであり、その対象を自覚し、終わらせない限り本当の「始まり」は訪れないとする。
「ニュートラル・ゾーン」は旧い自分から新しい自分へと変化する過渡的段階であるが、著者はこの際、人は「形をなさない原初的エネルギー(p158)」の状態へ回帰する必要があり、機械のように自分を新しいそれへ「修理する」ことはできないとする。またニュートラル・ゾーンはこれまでの人生を見直す貴重な機会であるとも指摘する。このことから、この時期に日常と離れた孤独の時間を確保する必要性が説かれる。
「始まり」は、あいまいな把握しがたい過程であるとされるが、それはニュートラル・ゾーンで起こる「内なる再結合(p181)」に基づいていると著者は言う。Trial & Errorを通じて、このあいまいな状態を具現化していくことが推奨され、いくつかの具体的アドバイスが述べられる。
著者自身も大きなトランジションを経験し、セミナーを主催してさまざまな人のトランジション経験について話を聞いており、書中では多くの実例が紹介されている。ギリシャ神話が事例として挙げられているのも興味深い。