- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422112121
作品紹介・あらすじ
ユングの後期思想の中でも、現在大へん関心の高い共時性原理(シンクロニシティ)(意味のある偶然の一致現象を説明する非因果的連関の原理)について、ユングと共同研究した体験をもつ著者が、ユング自身の理論の生いたちを辿りつつ、その理解をより深めるために著した重要な1冊である。ティヤール・ド・シャルダンの「精神圏」とのかかわり、ユングと易をたてた経験、哲学的先駆者ライプニッツの「予定調和」説と古代道教の「道」の思想との対応、さらに元型的体験との密接な関係、アインシュタインの影響など、広い視野から詳細に考察する。
感想・レビュー・書評
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この本の購入のキッカケは、大塚信一氏の「河合隼雄 心理療法家の誕生 」のp128のところ。河合さんの息子さんが翻訳して、隼雄さんが監修した本なので、そういう興味もありました。
河合さんの息子はウィキで調べると3人います。
1.臨床心理学者の河合俊雄さん(京都大学こころの未来研究センター教授)1957年9月30日生まれ 、父の隼雄さんは1928生まれだから29歳の時の子供。
2.法社会学者の河合幹雄さん(桐蔭横浜大学法学部教授)1960年1月20日生まれ(去年2023年11月に亡くなりました。享年63歳です。ご冥福をお祈りします。)
3.イタリア文学者の河合成雄さん(神戸大学留学生センター教授)1963年生まれ
この本は1987の出版、次男の幹夫さんが27歳のときの翻訳書、現在の法社会学者の肩書からすると違和感のある訳本という作業ですが、父、河合隼雄の進言で翻訳の仕事を受けたのか、そのころは自分の進路を迷っていたのか、は未調査です。
幹夫さんは、ネットで検索して写真を見ると、穏やかで真面目そうな印象。(お兄さんよりはということ)
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イラ・プロゴフ Ira Progoff はニューヨーク生まれなので、英語で書かれた本と思われる。
英題は Jung. Syncrhronicity and Human Destiny → 共時性と人間の運命
副題は Non causal Dimensios Human Experience → 非因果的次元の人間の経験
われわれの幼い頃からの教育自体が、因果律を基本にできあがっており、「こうしたから、こうなった」「こうすると、こうなる」という事例しか勉強をしてこなかったので、「共時性」は、非常に理解しがたい概念である。
わたしも、「これは、ただの偶然の一致ではないか」、意味は後付でしかない、と考えてしまう。が、それは因果律のものさししかもってないから、その答えしか出ないのであって、立場を変えて、偶然に意味を感じる主体の存在を前提とすれば、すべてが「縁起」つまり「共時性」ということが言える。因果律以外の単位が刻まれたものさしを持つことによって出現するのが「共時性」ではないだろうか?
どうすれば、そのものさしが持てるのか?
学校に通って、会社に就職して、結婚してなどの社会生活が因果律の上で成り立っている以上、若い人には見えにくいものさしである。定年退職後の人には自然に見えてくるものさしかもしれない。(人生、お金だけじゃないよ、みたいな)
「共時性」の説明は「因果律」ではできない、そこがただのマヤカシの論に思える要因。しかし、一概にそれを「ない」と否定することは、世界を一面でしか見ていないともいえる。「偶然」を「意味のあるもの」にする理論でなく、その時の情動に意味があるのかもしれない。その情動が宇宙法則の一部に組み込まれているようなら、それは宇宙的法則として因果律で説明できるはずである。今は無理でも、百年後、千年後の人類では中学校の教科書にユングの「原型」という概念が載っているのかもしれない。載っていて欲しい。
明在系 暗在系の話しp208。我と汝 (マルチン・ブーバー) のように世界を真っ二つ分けてしまう考えもある。しかし、そうではない。分別しないという華厳経の教えはライプニッツの教えに似ているらしい。
p202 われわれの唯一たよりにするのは「希望すること」である。解決の道はないと本人が思い、周囲の人もそう思いこんでるときに、心理療法家の、解決を希望し続ける態度が支えとなり、そこに「奇跡」つまり共時的現象が生じて、思いがけない解決の道が見えてくるのである。(希望というのは「努力」とも言いかえられるのでは?)。2019.10.23
追記
あとがきは「書物との対話」という本の中のp268「ユングと共時性」の紹介にも転用されていることを発見。2021.9.8詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
心におもうことが、現実となる
共時性について説明をしたもの
ややこしい内容であるが、細かく説明がされる
ユングの独自の世界観があるために難しい内容だった -
うーむ、読みにくい。文章が右往左往して、何が言いたいのか、つかむのが難しい。。ただ、その共時性を感知できる心を持って生きるべき、だと思った。