- 創元社 (2010年5月15日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784422114439
感想・レビュー・書評
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この手の本には、エッセイ風で自分の経験談を語るものや、よくある一般的な対策を網羅しただけのものが多い。しかし当著は、事例に基づき丁寧に体系的に「閉じこもり」のメカニズムを分析している。専門的でありながら、平易で読みやすい文章も好感が持てる。
引きこもりの原因が親との関係に大きな原因があることは間違いない。それは親が悪いというよりは、適切なやり方が知られていない、知ったところで実践が難しい、というところが論点になるだろう。当著は、そのやり方についても、かなり実践的な方法を紹介している。
文章は平易で冷静客観的でありながら、読者(引きこもりを持つ親)への優しさに満ちている。「おわりに」を読んで、その理由がわかったような気がする。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
不登校、ひきこもり、出社拒否、家事放棄・・・強いストレス状態にあって、非常に否定的な思考と感情に支配されている・・・年齢や立場の違いはあれ、これらは同じ状態であり、それを著者は「閉じこもり」と呼んでいます。
著者は、カウンセラーとしての経験から、「閉じこもり」からの回復のカギが親子関係にある、と断定しています。
息子が不登校になった僕自身の経験に照らし合わせても同意できますし、他の不登校児の例を見ても、「親が考え方を変えて腹を括りさえすれば・・・」と思える場合が多いです。
自己肯定感が少ない子どもが多いということは、すでによく知られた現象であると思います。その原因は、親の育て方にあるとみて間違いないでしょう。
親が、子どもを、そのままの状態で受け止める・・・「無償の愛」と著者が呼ぶこの行為は、これまでのゆがんだ教育観に汚染されている多くの人にとって、とても難しいことです。恐らく、理解することも簡単ではありません。しかし、例えばカウンセリングであるとか、第三者が関わることで一人でも多くの人が「気付き」体験をすれば、社会は変わる可能性があると信じています。そのことを思い出させてくれた一冊でした。
