対人関係療法でなおす うつ病:病気の理解から対処法、ケアのポイントまで

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422114613

作品紹介・あらすじ

うつ病の正しい理解からケアのポイントまでを対人関係療法的な視点からアプローチする。

感想・レビュー・書評

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  • 本書はあとがきにあるように
    「現在うつ病で抗うつ剤を飲んでおり、精神療法が手軽に受けられる環境にない方」に
    オススメします。

    また
    認知行動療法しか知らない方、
    うつ病の方とどう接していいか悩んでいる方、
    うつ病とまではいかなくても対人関係にストレスを抱えていて、なんとかしたいと思っている方にもオススメです。


    本書にもあるように、うつ病において薬物療法と精神療法は、どちらかを選ぶものではなく、お互いに補完し合うものです。
    精神療法には認知行動療法と対人関係療法がありますが、有名なのは認知行動療法のほうでしょう。

    認知行動療法は、「自分を苦しめない解釈・考え方を見つけていく」療法で、ネガティブにしか解釈できない考え方を変えていく方法を身につけていきます。

    対して対人関係療法は「ネガティブにしか考えられないのも、うつ病の症状の1つ」と考えます。
    現在、本人が抱えている対人関係問題を解決できるようになることで、うつ病の症状も回復していくという療法です。

    ネガティブに考えてしまうことを「病気の症状なのだから仕方ない」と受け止めてもらえる対人関係療法は、とても安心感があります。

    そもそもうつ病の本人は、ネガティブな考え方を変えなくてはと、思っています。
    でも変えられないから苦しいのです。
    つらいのです。

    しかし対人関係療法では自分で自分を責め続けていることを「病気の症状」として受け入れてくれます。
    私も本書を読むことで、そういう風な症状がでている自分を受け入れていいんだ、と安心できました。
    これは本当に大きな安心になりました。

    薄さのわりに内容が盛りだくさんですが、うつ病回復の助けになることがたくさん書かれています。
    うつ病の症状が少し良くなってきたころなら、少しずつ数日かけて読めると思います。

    私もゆっくり休み休み読んだので、読了まで2週間かかりました。
    でも、読んでよかったです。

  • 名著だと思います。うつ病の人は読むべきかと。

  • 加藤忠史先生が水島広子先生の著書の全てを強く推していたので読んでみた。

    対人関係療法は、認知行動療法と比べてとらえどころがないような印象を受ける。また、認知行動療法が理屈っぽいのに比べると、人にやさしい印象を受ける。

    水島先生は若干スピリチュアルよりなので好きでないところもあるのだが、心に響く良い言葉もたくさんあった。

  • 対人関係療法って、一番現実的で役に立ちそう。なかなか十分取り入れられないけど、何とかエッセンスだけでも伝えたい。

  • なんでもかんでも「それはうつ病の症状です」と書かれているからかなりびっくりしてしまった(他人は良いけど自分は例外、と考えることとか)。そういうの都合が良い言い訳では、と思うこともうつ病的な考えだと書かれていたからいっそびびる。病気を強調する療法だから?
    あくまでうつ病の話なので、双極性障害(一生付き合っていくという性質の異なる病気)についてはまた別の本を読みたい。だが慢性的なうつ(気分変調性障害)についても書かれているのは良かった。

  • うつ病の方と周りの方に病人としての役割をわかってもらうこと。役割のズレに注目すること。

  • 事例が面白かった。夫婦のやり取りも納得できる出来だった。対人関係を良くする話の持っていき方が良くわかった。

  • 自分で本を読んでできそうなことがありそうだと思える本。

  • いつのまにかこの世界が認知行動療法と対人関係療法のツー・トップの様相と化しており、端からエビデンス・ベースドがベースの戦略の大勝利だ、なんて言う皮肉な言い方はほどほどにしなければならないが、英米での隆盛はさておき、本邦の事情はこの両者の伝道師が師弟関係にあるというのが、関係者あるいはアンチ関係者の鼻を白ませる要因ではあるだろう。つまりCBTのシングルカット盤てことか? と?
    一読した限りでも使えそうな話法はずいぶんあるし、「その病気から学べきことを学び終わると病気は治る」なんてシビレる哲学もあるので、事情通ぶったよけいな憶測はエポケーして、クライアントに向き合うように向き合わねばならない(笑)

  • とても分かりやすい。
    「役割の変化」まさに職場復帰時のキーワードだと思います。
    復帰の時にぜひ取り入れると再燃・再発は減らせることが可能と思いました。
    産業保健看護職の人はぜひ読むべし!
    と個人的には思います。

  • ■うつ病は命に関わる病気

    うつ病の症状の一つに「自殺したくなる」という気持ちがあります。
    うつ病能症状として、そういう気持ちになる、というのは
    うつ病を知っておく効用である。





    ■治療が必要な理由

    実はうつ病は、治療しなくても治る病気だといわれています。
    基本的には「休めば治る」病気だと言うことです。

    実際に治療を受けずに回復している人は存在していますし、
    特に思春期のうつ病は、ひっそりと病んで、ひっそりと治っている人の方が
    多いと思います。
    思春期のうつ病は発見され難いし、環境の影響をとても受けやすいので、
    環境が好転することで改善することが多いのです。

    では、うつ病は治療しなくてもよいのかというと、
    そんなことはありません。
    まず、症状によるマイナスが大きすぎます。

    まず、症状によるマイナスが大きすぎます。
    なんといってもつらいですし、社会的にも色々な支障をきたします。

    思春期の場合は、大人に成長していく上で
    症状に大きく足をひっぱられることもあります。

    けれども、治療をすることによって、症状の重さも持続期間も短くすることができます。
    そして、最も注意しなければならないのは「自殺したがる」といううつ病の症状です。

    もしかしたら治療を受けなくてもなるかもしれないけれど
    それまでに自殺してしまったら、取り返しがつきません。


    うつ病の「繰り返しやすさ」も、治療が必要な理由の一つです。

  • 読みやすく、判りやすい内容で、「対人関係療法」についてよく理解できました。複雑な理論ではないので、治療者ではない普通の人にも、生活に取り入れやすい考え方だと思います。入門書として最適でした。

  • 職場に復職する方がいるので、読んでみました。
    うつ病を知る、治療法を知る、対人関係療法を知る、再発と回復期をしる、家族・周りのすべきことを知る・・・という流れで、読みやすかったです。
    メジャーな治療法ではない(薬物と認知療法が中心なんだそうです)とありましたが、とてもわかりやすかったです。
    うつ病にかぎらず、対人関係で悩んだりすることはだれでもあると思います。特に、この本の中の「役割をめぐる不一致」(自分が相手に対して無意識にもっている「こうなるべき」と相手との不一致や、「相手はこうしてほしいと思ってるはず」と実際の要望との不一致)はしょっちゅう起きると思います。そんな時、自分と相手で考えがずれているのかもと気づき(伝わっているはずと決めつけず)、解決法を示唆する箇所などはとても役に立つと思います。

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著者プロフィール

水島広子【みずしま ひろこ】

慶應義塾大学医学部卒業・同大学院修了(医学博士)。慶應義塾大学医学部精神神経科勤務を経て、2000年6月~2005年8月、衆議院議員として児童虐待防止法の抜本的改正などに取り組む。1997年に共訳『うつ病の対人関係療法』を出版して以来、日本における対人関係療法の第一人者として臨床に応用するとともに、その普及啓発に努めている。現在は対人関係療法専門クリニック院長、慶應義塾大学医学部非常勤講師(精神神経科)、対人関係療法研究会代表世話人、アティテューディナル・ヒーリング・ジャパン代表。主著に『自分でできる対人関係療法』『トラウマの現実に向き合う』(創元社)、『拒食症・過食症を対人関係療法で治す』(紀伊國屋書店)、『怖れを手放す』(星和書店)、『女子の人間関係』(サンクチュアリ出版)、『自己肯定感、持っていますか?』(大和出版)、『「毒親」の正体』(新潮新書)などがある。

「2022年 『心がスーッとラクになる 世界の美しい文様ぬり絵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

水島広子の作品

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