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本 ・本 (184ページ) / ISBN・EAN: 9784422114903
作品紹介・あらすじ
《援助専門家のための必読文献、待望の復刊》
なぜ人は、人を助けようとするのか。なぜ、善意の援助が人を傷つける結果を招くのか。ユング心理学の立場から、援助する人とされる人の間に起こるダイナミックス(力の関係)を解明し、援助専門家の内に潜む〈影〉や〈悪〉の問題に鋭い光をあてる。医師、ケースワーカー、カウンセラー、看護師、教師、牧師など、あらゆる援助専門家の必携の書。
感想・レビュー・書評
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2階心理学 : 146.8/GUG : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410167485
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あっしのようなものにはこんな本は早すぎる…(T T)もうこれは、老獪な、あるいは中堅となった心理療法家が読んで自らの戒めとするための本だ…(ちなみに、グッゲンビュール先生は医師でもあり、ソーシャルワーカーや看護師の育成にも携わっておられるそうで、この本もソーシャルワーカーの話から始まる。本来は、対人援助職につく全ての人のために書かれたものだそうだけど、今時の医者や看護師、ソーシャルワーカーにこの本の言っていることがわかるだろうか…?)
もちろん、学びはたくさんあったのだけれど、その中から、特に心に残った点を。
■私たちはお互いをファンタジーで包んでいる
たとえそれは言葉で伝えられることがなくても、出会った瞬間からお互いにファンタジーを抱き、それで相手を包む。相手はそのファンタジーの通りにはならないけれども、そのファンタジーが相手の可能性を引き出し、生かす。
そうそうそうよね!それはすごく納得する。
オンラインで会うことの残念なところは、お互いにファンタジーは、多分生身で会うよりも多大に抱くものの、それが決して相手を包むことはないというところだろう。
そのことが、私たちにどんなひび割れをもたらすか…
これは考えるに値するissueだと思う。
■身体性
私たちは一緒にいるとき、身体性を伴っている…あー書くと当たり前なんだけど、
友人と一緒にいるときはその身体が心地よいはずだ!という指摘になるほど!と。
確かに、一緒にいることが快い人が友人で、一緒にいて嫌な感じのする人と友人になったことはない(笑)
それも、オンラインだとほぼ削がれる部分よね。
もちろん見た目とか、背景とか、声とかが嫌ってのはあるけど…
その人の匂いとか、空気感とか、そういうのが好きか嫌いかは判断できない、感じ取ることができない。
■関係の元型
「元型」が、独立した個別の元型ではなく、関係の元型として指摘されているのは興味深いと思った!たとえば「母親-子供」元型、「父親-子供」元型など。
確かに、子供なくして母親にはなれない。ということは、この元型は、子供あっての母親であり、母親あっての子供であり、「母親-子供」という関係の元型なのだと。
うーん。面白い!
他にも、暴力が生まれるのはなぜか(攻撃を他者に向け続ける人がいるのはなぜか)とか、もちろん、治療家としてどのように自分の持つ力に自覚的でいられるか、「影」と「悪」、影が理想を攻撃することによって生じる成長などなど、考えさせられる刺激に満ちた本だった!
なのに星4つで5つでないのは、読む私に全てを受け取れる力量がまだないってことで!
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