結婚の深層 (創元アーカイブス)

  • 創元社 (2021年10月18日発売)
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本 ・本 (176ページ) / ISBN・EAN: 9784422117706

作品紹介・あらすじ

【新装復刊!】
ユング派の代表的分析家である著者が、結婚は〈幸福〉への道ではなく、伴侶が対決しつつ歩む〈自己実現〉への厳しい道の一つであると説く、大胆でラディカルな書。

結婚というものはそもそも快適でも調和的でもなく、むしろそれは、個人が自分自身およびその伴侶と近づきになり、愛と拒絶をもって相手にぶつかり、こうして、自分自身と、世界、善、悪、高み、そして深さを知ることを学ぶ個性化の場なのである。(本文より)

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:152A/G91k//K

  • 聖典…!パートナーシップについて、恋愛について、結婚について、あるいは男について、女について、なんかカウンセラーとか相談とかアドバイスとかしてる人は少なくともこれは読んだ方がいいよ…。これくらい、結婚やパートナーシップは、深度をもって扱うべきことだよ…。

    人は結婚に幸福を夢見ているが、結婚とは幸福に至る道ではなく、個性化に向かう道の一つ(あくまでも一つ)であり、個性化に向かう道とは安寧であるはずはなく、苦難と対決は避けて通れない。(もちろんそこには至福や喜びもある。)

    という前提に立ち、力強く論が展開される。
    そして読むうちにものすごく「これでいいんだ!」と勇気づけられる。

    男性的元型と女性的元型はそれぞれ無数にあり、男性性=ロゴス(を初めとした男性的として語られる様々な要素)、女性性=エロス(同様)などという分け方で語ること自体をやめなければならない!
    例えばアテネやアマゾネスは、いわゆる「女性的」な女性像ではないが、それらもまた一つの元型である。

    そもそも男性性と女性性が結びつく必要はなく、調和する必要もない(!)。

    そして、結婚だけが個性化への道ではない、結婚も一つの個性化への道であり、独身もまたそれぞれの個性化への道。セックスもまた、あろうがなかろうが、どちらもが個性化の道である。もちろん、アセクシュアルや同性愛も。

    子どもを生み育てるために結婚という制度に頼らなければならないなんてバカげてる!子どもを生み育てることはもっと賞讃され、補償されるべきだ。

    そのなかで、夫婦関係とは、セックスとは、離婚とは、親戚づきあいとは…などなど、それは個性化にとってどんな意味があるのかを解いてゆく。

    (私の言葉でまとめてるので、ちょっと端的に表現されてるけど概ね間違ってはいないと思う…でも逆にこれを読んでつまらないと思われたらすごくすごく心外だ。)

    原著は1979年に出版された本だけど(書かれたのはもっと前らしい)、すげーなー。こういう抽象的でセンシティブなことを、時代や文化をも超えた視点で書けるっていうことがすごい。

    グッゲンビュールは、ユング派の、むしろ哲学的な著作をたくさん書かれている方。

    個性化とはなんぞや?そんなにまでしてしなきゃあかんものなの?と思った方は、ユング派心理学についてもうちょっと本を読んでしまおう!

    あー素晴らしい。これ、結婚する前に全員読んだ方がいいぞ。いやー無理か。20代でこの本読んでもなんのこっちゃかなぁ?いやいや、いくつであっても、その時に受け取れるものを最大限受け取って、この不思議な営みにジャンプインするのがよろし。

    もう結婚しちゃったよ、今からどうせいっちゅーの?という方にも、という方こそ、ぜひ読んでほしいです!!







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著者プロフィール

1951年生まれ。1975年東北大学法学部卒業。2008年IUPUIインディアナポリス校ロースクール修士号取得。2016年カリフォルニア大学デーヴィス校ロースクール客員研究員。会社員を経て、1982年司法試験合格。1985年弁護士登録。前橋合同法律事務所、樋口法律事務所、法律事務所コスモスを経て、2016年弁護士登録抹消・廃業。群馬県消費者苦情処理委員会、日本弁護士連合会消費者対策委員会、同情報問題対策委員会、同犯罪被害者支援委員会、同死刑制度問題対策連絡協議会等委員。群馬弁護士会副会長、関東弁護士会連合会消費者委員会委員長、ぐんま住民と自治研究会代表を歴任。
著書・論文(いずれも共著)「消費者に武器を!!」(日本弁護士連合会)、「霊感・霊視商法等に関する実態調査報告書」(東京都生活文化局)、『人権理論の新展開』(憲法理論研究会編、敬文堂)、『カラ出張を考える!』(市民オンブズマン群馬編著、LYU工房)
訳書『アメリカ・ロースクールの凋落』(共訳、花伝社)

「2017年 『アメリカにおける証拠開示制度・ディスカバリーの実際』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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