夢とこころの古層

  • 創元社 (2023年4月5日発売)
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本 ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784422118086

作品紹介・あらすじ

 私たちの誰もが夜夢を見る。そして夢では、空を飛んだり、亡くなった人に出会ったり、動物になったりと、現実の世界からみれば荒唐無稽で非合理だとみなされることがたびたび起こる。それゆえ、通常私たちは、夜見た夢を自身の現実と直接結び付けては考えない。
 しかし、心理療法家である著者は、セラピーの場で、クライエントの夢が直接的なリアリティをもつことをたびたび経験してきた。ことに、現実の大きな変化や、身体の変化、死との関わりが問題になるときなどには、夢と現実が交錯するような直接性の次元が現れてくることがあるという。
 それはいったい、どうしてなのだろうか?

 そもそも、夢はなぜ私たちを訪れるのか?
 どこから生まれてくるのか?
 そこで起こる非合理な事象は、日常を生きる私たちにとって、どのような意味をもつのか?
 また、なぜ心理療法の場では、象徴的理解では捉えきれない直接的なリアリティをもった夢が語られるのだろうか?

 古来、わが国には、説話や物語、神話などに、夢に関する記述が数多くみられる。かつて夢は人びとにとっては現実であり、夢のお告げは日々の行動の指針となるなど、大きな影響力をもっていた。
 心理療法の場で語られるような象徴性を超えるリアリティをもつ夢を理解するには、こうした象徴が生まれる以前の、つまり前近代の「こころの古層」にその手がかりがあるかもしれない。そして、それを探ることによって、私たちの「こころ」そのものについての理解も深まるかもしれない。

 ユング派分析家でもある著者が、夢に関する多くの文献や心理療法の中で語られる夢の事例などを駆使しつつ、私たちの無意識の中に眠る「こころの古層」を手がかりに、夢のもつ意味をさまざまな角度から考察し読み解こうとしたのが本書である。

 深層心理を扱う心理療法家だけでなく、広く夢に関心をもつすべての人たちにも本書をお薦めしたい。

感想・レビュー・書評

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  • わかりやすい導入で、心理療法のなかで夢をどのように扱うか、また心理療法を進めていくうちに現れる夢をどう考えるかなどについて、日本古来の昔話や神話を交えて解説されている本。
    現実にすぐに沿わせることなく、まずは象徴的に捉える、またクライアントととの夢の共有の仕方、無理に夢を解釈しないなど、夢の取り扱いの面白さと難しさが学べた。
    他の夢を心理療法的に取り扱った書籍と併せて、そのうち再読したい。

    以下備忘録がてら目次をば。

    心理療法と夢
    現代の夢理論ー夢と象徴性
    現代の夢とこころの古層
    夢の歴史性
    こころの古層とイニシエーション
    夢と直接性・共時性
    直接性の両面
    直接性と他者・現実性
    直接性と身体
    直接性と死

  • 医学部分館2階心理学 : 146.1/KAW : https://opac.lib.kagawa-u.ac.jp/opac/search?barcode=3410171498

  • 心理学の本。

    もう少しゆとりのある時に再挑戦。

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著者プロフィール

1957年生まれ。臨床心理学者、ユング派分析家。京都大学大学院教育学研究科博士課程中退。Ph.D.(チューリッヒ大学、1987年)、ユング派分析家資格取得(1990年)。甲南大学助教授、京都大学大学院教育学研究科臨床教育学専攻助教授(心理臨床学講座)、京都大学こころの未来研究センター教授・センター長を経て、現在、京都大学人と社会の未来研究院教授。IAAP(国際分析心理学会)会長、京都大学人と社会の未来研究院副院長などを歴任。著書に『概念の心理療法』(日本評論社)、『ユング派心理療法』『心理療法家がみた日本のこころ』(ミネルヴァ書房)、『村上春樹の「物語」』(新潮社)、『心理臨床の理論』(岩波書店)、『発達障害への心理療法的アプローチ』『ジオサイコロジー』(いずれも共著、創元社)などがある。

「2023年 『夢とこころの古層』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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