微視的精神医学私記 黒木俊秀著作選集

  • 創元社 (2024年3月7日発売)
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本 ・本 (256ページ) / ISBN・EAN: 9784422118260

作品紹介・あらすじ

九州大学はこれまで、日本の精神医学界に大きな影響を与えたユニークな教授たちを数多く輩出してきた。著者は、「西南学派」とも呼ばれるこうした歴代教授たちの強烈な個性と開拓精神とが脈々と受け継がれる学び舎で医学部の学生時代を過ごした一人である。

時は流れ、精神科医として長く精神医療にたずさわったのち、著者は教育研究機関のなかで心理職の養成にも関わるようになった。そこで新たに培い、より深く考えたものとは何だったのか。

本書は、2001年から現在に至るまでに著者が執筆した膨大な論文や小文のなかから、比較的読みやすい論考や小論文を中心に、書評や追悼文、親交のあった人びととの心温まる交流なども加えて著作選集としてまとめたものである。

精神科臨床の現場では患者に向き合うとき、表に現れている症状の裏側にあるものまでを見ようとする。それはおそらく、患者のもつ症状のその人固有の意味を理解しようとするためだろう。
本書の著者は、「見えているもの」の裏にある「見えないもの」への関心が人一倍高く、またそれを捉える能力にも長けている。隠されたものを読み取ることによって物事をより深く広く理解しようとする著者のこの姿勢は、患者の症状のみならず、精神医学の動向や歴史の流れにまで行きわたり、あじわい深い陰影をともなった豊かな知見をわれわれに提示してくれる。
本書は、そうした細やかで透徹した眼差しを通して著者が見つめ、感じ取り、考察したことを、ときにユーモラスに、ときに真摯に、ときに繊細であたたかい言葉で綴ったものである。

感想・レビュー・書評

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著者プロフィール

九州大学大学院人間環境学研究院人間科学部門教授。精神科医、臨床心理士。医学博士。
専門は臨床精神医学、臨床心理学。教育と医学の会理事・編集委員。
1958年宮崎県生まれ。九州大学医学部卒業。佐賀医科大学講師、九州大学大学院医学研究院精神病態医学分野准教授、国立病院機構肥前精神医療センター臨床研究部長・医師養成研修センター長などを経て現職。
著書に『語り・物語・精神療法』(共編著、日本評論社、2004年)、『現代うつ病の臨床』(共編著、創元社、2009年)、『うつの構造』(共編、弘文堂、2011年)、『神田橋條治医学部講義』(共編、創元社、2013年)、『精神医学の羅針盤』(共著、篠原出版新社、2014年)、『森田療法で読む強迫性障害』(共著、白揚社、2015年)など。

「2015年 『発達障害の疑問に答える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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