SNSの哲学 リアルとオンラインのあいだ (シリーズ「あいだで考える」)

  • 創元社 (2023年4月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (144ページ) / ISBN・EAN: 9784422130118

作品紹介・あらすじ

シリーズ「あいだで考える」創刊!

不確かな時代を共に生きていくために必要な
「自ら考える力」
「他者と対話する力」
「遠い世界を想像する力」
を養う多様な視点を提供する、
10代以上すべての人のための人文書のシリーズ。



『SNSの哲学――リアルとオンラインのあいだ』

あなたに考えてほしいのは、
「SNSをどう使うべきか」といったマニュアル的なことではなく
SNSを使っているあなた自身が何者なのかという問いなのです。

承認・時間・言葉・偶然・連帯。
SNSを使う私たちを描く
新しい哲学の本。


10代の生活にすっかり溶け込んでいるSNSの利用をめぐるさまざまな現象――「ファボ」「黒歴史」「#MeToo運動」など――を哲学の視点から捉え直し、この世界と自分自身への新しい視点を提供する。若い読者に「物事を哲学によって考える」ことの面白さと大切さを実
践的に示す一冊。(装画:モノ・ホーミー)

感想・レビュー・書評

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  • 【シリーズ「あいだで考える」】戸谷洋志『SNSの哲学――リアルとオンラインのあいだ』の「はじめに」を公開します|創元社note部|note
    https://note.com/sogensha/n/n0a1935c18a68

    書籍詳細 - SNSの哲学 - 創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4572

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      クリーンヒット『SNSの哲学』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/TWXiPqb
      クリーンヒット『SNSの哲学』 | 教文館ナルニア国
      https://onl.bz/TWXiPqb
      2023/11/09
  • SNSと承認欲求、時間、言葉、アルゴリズム、政治連帯…さまざまに哲学する。
    分かりやすく哲学し、考えを私たちに促してくれる良書です。小学校高学年くらいから読んでほしいと思わされる。何回読んでもいい。

  • 若者よ、対話しよう。
    哲学にタッチする話題であっても、
    難しいと毛嫌いせずに(むずかしいんだけどね)
    思考してみよう。

    わたしたちの生活に刺さっている
    SNSが私達にもたらす影響のあれやこれやを
    想像してみよう。

    …… そういうことを言いたかった本だと思います。
    自分、不器用なんで(笑)
    うまく言えないですが、著者さんに
    ありがとうございます、って言いたいです。

  • 軽い語り口、薄くて簡単に読めそうながらも、さりげなく5人の哲学者を紹介。

    「ヘーゲル:承認欲求は必然的に挫折する」
    「ハイデガー:存在と時間、到来・既在・時熟」
     →デジタル情報と時間
    「ウィトゲンシュタイン:言語ゲーム、人はなぜ「痛い」と言うのか」
    「ベルクソン:未来の予見不可能性と創造的な進化」
     →アルゴリズムと偶然性
    「アーレント:公的領域と私的領域」
     →SNSがつむぐ連帯

    コミニュケーション手段は新しくても、それを使う人間については、過去から積み上げられた哲学があって、それらの視点から考えるのも面白い。

  • やさしいSNSと哲学の本

    SNSを使う時にたまに嫌気がさすのはなぜかと気になっていた
    他者の反応をコンテンツの1部、自分の承認欲求を満たすものとして捉えてしまうことが原因だと分かった。
    飾った最高の楽しい自分は結局自分では無い、映えない普通の日常の方が圧倒的に多い

    自分の思いを言葉に乗っけていると思っていたけど、その場の雰囲気で言葉を選んでいるという考え方は新鮮だった。
    SNSの画面の向こうには尊い他者が居ることを忘れてはならないという言葉は重くて真理だと思った。

    哲学の本は難しい。この本も時間をかけてメモを取り考えながらじっくり読んだ。また違った哲学の本も読んでみたくなった

  • SNSの側面からみた哲学。
    一見して難しそうに感じるが、内容はわかりやすく、読みやすい文章なのでスルスル読了できた。
    SNSを通じた承認欲求、時間の概念、炎上するつぶやき、アルゴリズムなどを哲学的に思索する。
    改めて考えたことのない内容だったので、面白かった!
    ただ、説明はあるにせよ哲学用語が多く、そこが小難しく感じる人もいるかもしれない。
    自分の中で噛み砕きながら読むことをおすすめしたい。

  • SNSの使い方(依存しないように生活の中での使い方を考えよう/セキュリティを意識しよう)についての本ではなく、私たちの生活の中にすでに溶け込んでいる(分離して考えることが困難な)SNSという媒体と、それを利用しながら(SNSとともに)生きるとはどういうことか、ということをヘーゲルやハイデガー、アーレントなどの哲学者の思考を組み入れながら分析・考察している本です。

    「SNSについて」を主題としている書籍、というよりも現代のわれわれの生き方について改めて哲学適任考えることが主題になっているように思います。その思考のとっかかりとして、SNSを取り上げている、という印象でしょうか。
    古典的な哲学書を読むとき、現在の自分が置かれている状況と照らし合わせながら読むことが難しいと感じることが少なくありませんが、SNSを切り口に話が進みますから、「自分事」としてとらえることがしやすいように思います。

    特に第一章で取り上げられているSNSでの承認(いいね!をもらうこと)への考察はなるほど、と思わせるものでした。他人から「いいね!」をもらおうとして、自分を「演出」すること(=本来の「自分らしさ」からの乖離)や、お互いに「いいね!」を送り合うために他人の投稿に過剰に反応する事(依存)など、人によっては耳が痛くなるような私的なのではないかと思います。

  • SNSを5つの側面(承認欲求、時間、言葉
    アルゴリズム、連帯)から哲学的に考える。

    アルゴリズムは、偶然性を排除する。
    アルゴリズムの外側は、賭けと責任が伴うが、
    偶然性の出会い、新しい体験をもたらす。

    SNSを否定するのではなく、SNSのもつ性質
    から、主体的に哲学にも興味を持たせてくれる
    一冊で面白かった。

  • リアルとオンラインの間。
    SNS疲れは承認欲求によるもので、不安、無理をすること、他律性が原因。
    ヘーゲルの相互承認(役に立つかは関係なくわたしはあなたと関わっていきたい)の実現を目指すこと。
    SNSに本来はない時間を作り出している。ハイデガーの「存在と時間」の考え方のように、ストーリーズに一回性を作り出すことで時熟という時間のあり方を経験する。
    難しいようでなんとなくわかる感じがいい。
    159冊目読了。

  • #SNSの哲学
    #戸谷洋志
    #創元社
    #読了
    #YA
    難しい部分もあったが興味深い。「『考えたい』という気持ちを大切にしてほしい」を言い換えると「『考えなければならない』という圧力から、自由になってほしい」と語られる。何事もそうかも。自分も他者も自由にして、そこから生まれるものを大切にしたい。

  • 創元社のヤングアダルト向け新シリーズ。分かりやすい言葉やイラストでSNSとの関わり方や「わたし」の在り方をときます。ヘーゲル、ハイデガー、ウィトゲンシュタインといった難解な哲学のエッセンスも盛り込まれており大人も楽しめます。SNSとの距離感を考えたくなる一冊。

  • NHK100分de名著、ハイデガー回の指南役戸谷洋志さんの著書。
    この番組での戸谷さんの解説がとても良かったので書店で見つけて即購入。
    創元社の新しい刊行シリーズで、メインターゲットは中高校生。
    それ故に、とても読みやすく理解しやすい内容でした。
    中高校生や若年層に限らず、
    大人でもSNSでの振る舞いに悩むことは多々あります。
    この本は、SNSでの悩みやモヤモヤに対して解決策を示したり
    こうしろああしろという指南本ではなく、哲学と紐付けしつつ
    その悩みの根源って何だろう?
    一緒に考えてみない?という寄り添うような内容です。
    装丁も凝っていて、側に置いておきたい一冊です。

  • SNSの哲学
    ◯承認欲求 
    依存(他者に委ねられる)
    不安(絶え間なく求める)
    疎外(実際の自分との乖離)
    ◯アンリ・ベルクソン 未来は予見不可能である(偶然の連続 創造的進化)なのに、アルゴリズムによる行動予測は個性を無視する
    予見不可能性は、外界だけでなく自分自身にも起こる
    ◯SNSで連帯可能か
    メンバーシップがないので、ハッシュタグ的連帯には人々は、「私たち」ではなく、あくまで「私」
    自分はこの組織の一員なのだ!というアイデンティティは成立しない
    ◯ハンナ・アーレント(ドイツ1906-1975)
    政治とは何か?
    政治とは様々な問題をみんなの問題として考え、現実に働きかけ実現したり変えていく
    私的領域(私だけの利害 必然性)と公的領域(私だけの利害から解放されている 自由に語り合うことのできる場)
    政治=活動するときに
    許しと約束
    人間は誰しも前例のない存在イコール予測不可能
    どのような結果になるとしても許す
    自分が行うことになる活動について約束する
    そうすれば、ハッシュタグ的連帯でもハッシュタグの向こうにかけがえのない個人がいると感じられれば、政治的活動で現実を変えていける


  • “相互承認というかかわり方において、まず「私」は相手(他者)の自由を認めます。そのとき「私」もまた、自分があくまでも自由であることを、はじめて他者から承認されることになります。「私」は自由であり、相手にどう見られるか、相手に承認されるかどうかを気にすることなく、自分の感じ方や考え方を尊重してよいのであって、それでも「私」は他者とのかかわりのなかにいることができるのです。それが、相互承認によって得られる承認にほかなりません。”

  • Xを見たいと思うのは、日常会話みたいに建前じゃないから、本音っぽいからなのか。納得した。

  • 他者から承認されようとすることは、「他者から承認されるような自分」になろうとすることで、必然的に頑張ることを強要されてしまう。
    SNSで他者から承認を得ようとすると、
    ①私の生きやすさが他者に依存する
    ②絶え間ない承認を求めることで、常に不安を喚起する
    ③承認を求めるほど自分自身を見失う(疎外)
    ことにつながる。
    SNSネイティブにとって、人間関係の開始はインスタの相互フォローなどを指し、リアルとSNS上の関係性の区別はできない。
    自律性は他者に頼らないでいられることで、他律性は他者に頼らないではいられないことである。一般的に自律ばかり求められるが、アイデンティティの形成には他律(他者)も必要で、かつ自立は他律の中からしか生まれない。
    ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」によると、問題に直面した時、「問題が難しい」のではなく、「問題を考えるために適した言葉を使えていない」だけ。この考えによると、相手のルールや文脈が読めないSNSは、ベリーハードな言語ゲームである。
    アルゴリズムは偶然性を排除し、それはすなわち「賭け」(はずれ)と選択による「責任」の排除である。

  • SNSそのものでなく、SNSを使う、SNSに触れている人達を哲学する。
    腑に落ちることがいくつも。

  • SNSに疲れることがよくあるので(今もそう)、参考になった。
    SNS疲れは承認欲求によるもので、不安、無理をすること、他律性が原因。キラキラした投稿でいいね!をもらって、その瞬間は満たされたとしても、また他の人の投稿がすぐ目に入って、「自分は魅力的な人間じゃない…」と落ち込む。
    自分の承認欲求を満たしてくれる人は、逆に自分もその人の承認欲求を満たす道具に成り下がっている。ヘーゲルの相互承認(役に立つかは関係なくわたしはあなたと関わっていきたい)の実現を目指すことが必要なのだとわかった。

  • 人生をより面白くするものは、「偶然との出会い」であり、今までの自分が好むものから予測されたおすすめに囲まれていては自分が大きく変わることはなかなかできないのかもしれない。SNSに縛られずに、新しい可能性の発見や幸せの実現のためにSNSを活用したい。

  • 『オシント新時代 ルポ・情報戦争』(毎日新聞取材班)を読んでいる時、自身がよく使うSNSが果たして何なのか、もう一度よく知ろうと思い手に取った『SNSの哲学: リアルとオンラインのあいだ』(戸谷洋志)。

    これを読んで、承認欲求を得たいがために読書記録をインスタで行い、「いいね」の数チェックがメインとなってしまっていたここ最近の自分の行動がバカバカしくなった。

    読書をする事は自分の生活レベルの質を上げるための行動を起こすキッカケを得る事であり、「いいね」を得る事じゃない。

    読書を終えた後、どんなアクションを起こすのかを考えていく事に重きを置く事が重要だ。

    という事で、やり方を変えて行く事にしようかと思う。

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著者プロフィール

戸谷 洋志(とや・ひろし):1988 年東京都生まれ。立命館大学大学院 先端総合学術研究科准教授。法政大学文学部哲学科卒業後、大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門は哲学・倫理学。ドイツ現代思想研究に起点を置いて、社会におけるテクノロジーをめぐる倫理のあり方を探求する傍ら、「哲学カフェ」の実践などを通じて、社会に開かれた対話の場を提案している。著書に『ハンス・ヨナスの哲学』(角川ソフィア文庫)、『ハンス・ヨナス 未来への責任』(慶應義塾大学出版会)、『原子力の哲学』『未来倫理』(集英社新書)、『スマートな悪 技術と暴力について』(講談社)、『友情を哲学する 七人の哲学者たちの友情観』(光文社新書)、『SNSの哲学リアルとオンラインのあいだ』(創元社)、『親ガチャの哲学』(新潮新書)『恋愛の哲学』(晶文社)など。2015年「原子力をめぐる哲学――ドイツ現代思想を中心に」で第31回暁烏敏賞受賞。

「2024年 『悪いことはなぜ楽しいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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