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本 ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784422201436
感想・レビュー・書評
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図書館で見かけて。通説に挑んでいて成功していると思う。著者は橋の専門家のようだが、江戸時代の工学的・経済的な文献調査も詳しくてすごい。数字が多いので説得力がある。
橋は維持費が膨大なので、江戸や岡崎など城下町で交通量が多くないと割に合わないってのはなるほど。じゃあ渡船でいいはずだが、それも無かった理由もちゃんと調べてあって重ねてなるほど。
幕末の志士・清河八郎が大井川の渡し賃が高すぎることを憤慨している日記もおもしろい。さぞかし倒幕の意を強くしたろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
越すに越されぬ大井川。
頭に残るフレーズではあるが、そんなにすごい川には見えない。
ダムがあるから、各種用水に使われているから。
いろんな、理由が囁かれているが、もしかしたら、「越すに越されぬ」の理解が違っていたのかもしれない。
そんなことを考えていて、出会った本。
参考になりました。 -
「江戸を目指す軍勢を止めるために幕府は大井川に橋を作らせなかった」という通説を論破。(2001年刊)
・はじめに
・第一章 幕府は橋を架けさせなかった?
・第二章 架橋は技術的に難しかったー技術的要因の検討
・第三章 徒渉しは儲かったー経済的考察
・第四章 徒渉しは無駄が多かったー制度上の矛盾
・第五章 橋は高価だったー架橋の可能性の検討
・第六章 徒渉し制度は一夜のうちに崩壊した
・おわりに 大井川に橋は架けさせなかったのではなく、架けられなかった
・あとがき
著者は、京都大学大学院工学研究科修了。大阪市に勤務し、橋梁の設計や都市計画を担当した経歴を持つ。本書は、歴史の通説対し、技術的側面、経済的側面から検討している。史料上の制約はあるものの、技術者の視点から、通説が見直される過程が面白い。架橋が技術的に困難であったこともさりながら、東海道の交通量が、橋梁を維持するほどではなかったという点も興味深い。
「徒渉し」が宿場の雇用を維持するための既得権益となり、幕府といえども、その体制を変えることが容易ではなく、変革のためには明治維新を待たずを得なかったというのは、現代日本を考える上でも、参考となる。
著者プロフィール
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