忘却された日韓関係 〈併合〉と〈分断〉の記念日報道 (叢書パルマコン 06)
- 創元社 (2022年4月12日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (264ページ) / ISBN・EAN: 9784422202983
作品紹介・あらすじ
21世紀の日韓関係にも色濃い影を落とし続ける、植民地支配の歴史。双方の葛藤を引き起こす、常に想起されている日韓関係史の傾向や性格を、そこから忘却され続けてきた植民地期及び戦後韓国の記念日報道から光を当てるメディア史研究。日本側が創始した8月29日「日韓併合記念日」や10月1日「始政記念日」、韓国側の3・1節や8・15光復節の報道から見えてくる、日韓双方の「忘却/想起」のあり方と歩み寄りの方途とは。
感想・レビュー・書評
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日本統治期の8.29と10.1、戦後の3.1と8.15各日付の報道から、それぞれに表れる意識や日付の意味を見ていく。
まず、抵抗か協力か、反日か親日か、敵か友かという二元論を戒める著者の問題意識が序章でよく分かる。日本との対等な関係を目指した一進会の合邦論は、結果的な「併合」とも戦後韓国で言われる「併呑」とも異なった、植民地期でも、現在言われる「自主性=抵抗」とは異なる「自主性=参加」の試みがあったとする。
併合を象徴する8.29の報道やイベントは、不平等性を意識させる以上朝鮮総督府にとって積極的に進めたいものではなかった。そこで始政記念日の10.1が考案される。1924年には「体育デー」考案。ここで、総督府は「内鮮融和」、民族紙は民族の解放という互いに逆ベクトルを持ちながら、女性の身体運動奨励においては重なるとの奇妙な状況が起きる。
戦後の3.1報道は、1950年代は反共だったが、60年代には「反日ムード」が強まる。しかし70年代には日韓関係の緊密化の中で「反日」は相対化される。8.15報道は抗日の記憶よりも韓国の戦後の歩みや現在の方に重点を置き、「反日」から距離を取ろうという意識が読み取れる。
著者の問題意識は興味深い。他方、戦後の3.1報道も8.15報道も徒に「反日」を煽るものでないなら、なぜ著者のいう二元論が根強いのか、本書の分析範囲外である80年代以降の変化かそうでないのか、疑問も残った。 -
東2法経図・6F開架:319.1A/C52b//K
