コーヒーと日本人の文化誌 改訂新版 世界最高のコーヒーが生まれる場所

  • 創元社 (2023年8月22日発売)
4.17
  • (3)
  • (1)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 58
感想 : 6
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (248ページ) / ISBN・EAN: 9784422210209

作品紹介・あらすじ

 日本で最初の喫茶店「可否茶館(かひさかん)」が開店したのは、政治や社会、都市が大きく変貌を遂げつつあった明治の中頃、1888年のことである。コーヒー自体は、それよりさらに200年ほど前にすでに日本に伝わっており(薬としても)飲まれていたようだが、コーヒーを近代的な都市生活の中に取り込み、人びとの日々の暮らしと文化の拠り所として定着させたのは、「可否茶館」の創業者である鄭永慶(ていえいけい)だと言われている。

 今日、「日本のコーヒー」はその品質、技術、手法のいずれをとっても世界で最も優れた最高級ブランドと見なされている。しかし、日本が世界のなかでも三本の指に入るほどのコーヒー消費国であり、「日本のコーヒー」が世界の業界をリードしているという事実を知る人は、われわれ日本人のなかでも意外と少ないのではなかろうか。

 本書は、昨今のコーヒー文化のトレンドを追うものではない。アメリカの人類学者が、長年の調査とフィールドワークをもとに書き上げた、「日本のコーヒー」と喫茶店についての文化誌である。いまや「世界最高のクオリティ」と賞賛される日本のコーヒーは、どのようにして生み出されてきたのか? 本書は、その答えを見つけるために、コーヒーそのものの歴史を辿るだけでなく、変貌をとげる日本社会のありようや、そこに生きる人びとの暮らしと多様なカフェや喫茶店の姿、さらには手仕事にこだわる職人や店の客たちへの綿密な取材を通して、現代都市風俗までをも活き活きと描き出したユニークな文化論・日本人論でもある。
 「改訂新版」では、2018年の日本語版刊行後の業界の変化と新情報を最終章として追加し、本文も全面的に見直し、より読みやすいものとした。

 激動の時代を、たくましく、しなやかに生きぬいてきた市井の人びとの姿とその交流を支えたコーヒーという飲み物、日本人ならではの「こだわり」を貫き通し、納得できるまでより高い品質を追い求めようとするコーヒーに関わる職人たちの姿──本書は、異国の研究者の描き出したものとは思えぬほど、読む者に失われた日本の古き良き時代へのノスタルジーも含め、自負と、活力とを強く呼び覚ましてくれる稀有な一冊である。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 【本紹介・感想】海外からの視点で日本のコーヒーの歴史を紐解く『コーヒーと日本人の文化誌(Coffee life in Japan)』│Book and Cafe(2019年4月3日)
    https://bookandcafe.net/archives/377

    【書評】『コーヒーと日本人の文化誌(メリー・ホワイト著)』アメリカの文化人類学者がカフェと日本人、カフェと日本都市を考察した一冊 | 食文|SYOKUBUN(2021年6月12日)
    https://syokubun.com/coffe-nihonjin/

    Merry White | Anthropology
    https://www.bu.edu/anthrop/profile/merry-white/

    書籍詳細 - 改訂新版 コーヒーと日本人の文化誌 - 創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4413

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      『白水社の本棚』(2023夏)の
      甲斐扶佐義「京都ノスタルジア<28> ほんやら洞・八文字屋の人々」に
      メリー・ホワイトが紹介されている...
      『白水社の本棚』(2023夏)の
      甲斐扶佐義「京都ノスタルジア<28> ほんやら洞・八文字屋の人々」に
      メリー・ホワイトが紹介されている、、、

      https://www.hakusuisha.co.jp/files/hondana/hondana2023_03.pdf
      2023/07/12
  • コーヒー文化発展とブラジルの深いかかわり、日本独自の発展をとげた喫茶店とカフェの歴史について、深い共感に近い感覚で理解した。
    人の気配を遠くに感じつつ、1人になれる空間は地方都市には案外少ない。

  • 卒論のために。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000071475

全6件中 1 - 6件を表示

著者プロフィール

メリー・ホワイト(Merry White)
ワシントンD.C.生まれ。ボストン大学教授・文化人類学者。ハーバード大学卒業、同大学大学院修士・博士課程修了。主な研究対象は日本社会、都市空間、教育、食文化。1963年に初来日して以降、訪日を重ねて現地フィールドワークを続け、2002年から1年間、京都日本研究センターの客員教授として京都に在住。2012年にアメリカ最古の日本協会The Japan Society of Bostonより、日米相互理解に貢献したとしてJohn E. Thayer III Awardを受賞。2013年には、内閣府よりアメリカにおける日本研究の発展および日本紹介への貢献から、旭日中綬章を受章。日本の教育、国際化、食文化に関する著作・論文を多数執筆し、邦訳書『ママ、どうしてあんなに勉強しなくちゃいけないの』、『マテリアル・チャイルド 超消費世代』など著書多数。新聞、雑誌、講演会を通じて日本のコーヒー文化や喫茶店の紹介をするなど、コーヒーエキスパートととしても精力的に活躍中。

「2018年 『コーヒーと日本人の文化誌』 で使われていた紹介文から引用しています。」

メリー・ホワイトの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×