ヴァイキング―海の王とその神話 (「知の再発見」双書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422210773

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  • ヴァイキングという言葉から何を想像するだろうか?
    それは独特なシルエットを持つヴァイキング船に乗って襲来する完全武装の野蛮な戦士の集団だろうか?
    たしかに彼らにはそのような一面もあり、当時のヨーロッパ人からは、悪疫の様に恐れられていた。
    しかし、彼らの生活を詳細に調べてみるとその素顔が見えてくる。
    最初の部分で特に目を引くのはノルウェーで発掘されたほぼ原形をとどめた状態のヴァイキング船の写真であろう。
    機能性とヴァイキングの職人たちの高い芸術性を併せ持つその流線型のフォルムは、ため息が出るほど優美である。
    野蛮さがイメージとしてある彼らだが、彼らは基本的に祖国では普通の農民であり、シングと呼ばれる民会が決める法にしたがっていたらしい。そして彼らの職人は当時のヨーロッパで最高水準の技術を持っていた様だ。
    驚くべき事にコロンブスの数百年も前に彼らがアメリカ大陸発見し、一時的に入植さえしている事実に驚愕させられた。
    彼らは、アメリカ大陸を”ヴィーンランド(葡萄の地)”と呼んでいたらしい。
    また、広大なロシアへも進出し、そこでルース人と呼ばれ、これがロシアの語源になったと言う。
    ヴァイキングとロシアの関係など今まで考えてみた事もなかったが、こんな事実を知ることができるからこそ歴史は興味深い。
    フランク王国を襲いその領地に定住した者たちは、ノルマンディー公国という国をつくる。これが後のノルマンコンクエストにつなる。
    カラーページの巻末には、ノルマンコンクエストを描写したバイユーのタピストリーの写真が11ページに渡って掲載されており圧巻であった。
    資料編の方も盛りだくさんで、特にマイケル・クライトンの小説で映画化もされた”北人伝説”の元ネタのアラブ人旅行者イブン・ファドラ―ンの手記からの抜粋もあって非常に興味深かった。
    冒険心に富んだヴァイキング達について知るための最適の入門書としてお勧めの一冊です。

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