死の歴史: 死はどのように受けいれられてきたのか (知の再発見双書 63)
- 創元社 (1996年12月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422211237
感想・レビュー・書評
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ヨーロッパで「死」はいかにイメージされてきたか。古代宗教における「死」はどんな形で儀礼の中に存続され、「死後の世界」はどのように考えられたのか。墓地の変遷・伝承・遺言・絵等から探る死の博物誌。
目次
第1章 死には歴史があるのか?
第2章 マカーブルからルネサンスへ
第3章 バロックから啓蒙の時代まで
第4章 ブルジョア風の死の登場
第5章 20世紀の新たなタブー
資料編 中世における死の災厄
荘重なる儀礼
美しき死の時代
エロスとタナトス
連帯の中の死と孤独な死
商売としての死
非ヨーロッパ文化における死
INDEX
出典(図版)
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キリスト教圏の「死」に対する儀式などの中世から現代に至るまでの歴史を綴った本です。
…が、キリスト教圏の知識とかそういったバックグラウンドが無いので、よくわかりませんでした。
「煉獄」については初めて知りました。
どうにも厨二病的フレーズなイメージだったのですが、キリスト教圏で昔からある概念だったのですね。
あとは資料編にあった、死の儀式のやり直しの話が面白かったです。
中世ヨーロッパはいろいろおもしろいです。 -
コラージュのような、本文と絵画や写真が混じった形式は、好みが分かれるかも。最初は違和感だったけど慣れたし参考資料が必ず同時に見られるから良かった。
ヨーロッパにおいて、「死」の様式を変えた二大要因はキリスト教とペストだった。
やっぱり西洋の文化を考える時にこういう根本を知っていないと文学を読んでも本質を理解するのは難しいのかも。
初期の古代のアミニズム的な「死」から、機械的な「死」まで。
これらを通して見ると、今まで人類が経験してきた死の儀式と現代の死がいかに違うか分かる。 -
(推薦者コメント)
死は、いつまで経っても人間の歴史から切り離すことができない。歴史の中で、死というものは、どのように捉えられ、どのように見つめられてきたのか。歴史における死のお話。 -
異国の人は死をどのように考えてきたのか。
そしてそれがどんな風に移り変わってきたのか。
あまり考えたことのないテーマだった。
でも、訳難解でした…。
@自分メモ@
・墓消毒機:死臭を消すための装置があった(18世紀末)。
・中世キリスト教世界ではなるべく死を突然迎えないようにと望んでいたが、現代では突然死を望む人が多い。
・葬儀用品専用のスーパーマーケットがある。十字架や花輪が売られている。
・高層マンションに囲まれたパリ郊外の墓地。生者は住まいを高さで確保しているが、死者は広々と土地を使っている。
・14世紀ヨーロッパに蔓延したペストは中国で発生したとされている。
・このペストは17世紀までヨーロッパに居座った。 -
取り扱っている部分は中世末期、ルネサンス前夜から現代のお話。一章で「死に歴史はあるか?」と問い、ペストや死の恐怖、タブーなどを扱っていく。現代ではたしかに「死」というものがタブー視はされていないまでも「死」という現象をどこか遠いところに遠ざけてしまっているのはたしかであろう。タブーではなく、見ないようにしているとでも、いったらいいか?
古代や初期中世の話をほとんどしていない。