シンメトリー:対称性がつむぐ不思議で美しい物語 (アルケミスト双書)
- 創元社 (2010年10月20日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (66ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422214818
感想・レビュー・書評
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アルケミスト双書、本書はシンメトリー、対称性について。とはいえ、どの巻も主題が緩やかにつながっている。
たとえば樹木、フラクタル、ランダム性、電子軌道、音楽。
もっともシンプルな対称性といえば、平行移動、点対称移動、線対称移動によって作られるパターンだろう。
本書で紹介されているのは、相似パターン、放射対称(たんぽぽの綿毛や雪の結晶など)、球対称、三次元のシンメトリー、空間充填立体、渦巻きと螺旋、フィボナッチ数、分岐パターンなどなど多岐にわたる。
ヒトがどうしてシンメトリーやパターンが好きかといえば、やはりそれが組織化の原理だからだろうというのが本書の仮説。DNAや細胞の複製ひとつ取ってみてもそうだ。
とくに動く生き物のシンメトリーには興味が湧く。動物は「両側性」だけでなく「背腹性」もある。移動特性によって形に影響を受ける。
(本書には残念ながらなかったが晩年のチューリングが取り組んでいたという形態発生の原理の研究について詳しく知りたいのだが目下、足踏み中)
もうひとつ興味深いのが、生き物の対称性のなかの非対称性(アシンメトリー)。本書に紹介されている例でいえば、肺や腎臓は左右対称だが心臓や胃は非対称。カニのハサミが片方だけでかいとか。
もちろん文化のなかにも対称性は溢れていて、装飾や織物や紋章のパターン、庭園、ピラミッド、モスクなど枚挙にいとまがない。
対称性は何より安定の象徴であり、つまり権力の象徴でもある。さらには、非対称性である「時間」に対する抵抗なのかもしれない。避けては通れない死に対する。
不可逆的な時間を円環にして閉じたことじたいにアシンメトリーへの恐れが働いている。永遠性というフィクションの幕開け。
とはいえ、思えば死後の天国と地獄という発想もまた対称性だ。どこまでも対称性がついてくる。とすると、人間の「真似る」「似せる」という行為もまた対称性で、さらには「想像する」(ようするにこれは「似てきてしまう」ということだろう)こともまた対称性と深く関わっているはずだ。
うーむ、面白い。逆に文化史において「非対称性」を強調するケースはそう多くあるのだろうか。そうした事例を集めた本があれば読みたい。なければ地道に集めて私家版でも作ろうかな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
書かれている内容は難しいが、シンメトリーの美しさだけは感じた。
フラクタルで紹介されていた図形が好き。
フィボナッチ数、なにかで読んだぞ…。
自然界でも、数学でも、美術でも、至る所に見られるものなんですね。 -
面白かったです。
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p46
シンメトリーは美術においてもそれ以外の場所においても、組織化原理だからである。人間は本来的にパターンを見つけようとするので、シンメトリーが美術から完全に姿を消したことはない。 -
対称性の不思議さが少ないページに目いっぱい詰め込まれている。フィボナッチ数列も、ペンローズ・タイルも出てくる実は中身がすごく濃い本。
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↓貸出状況確認はこちら↓
https://opac2.lib.nara-wu.ac.jp/webopac/BB00158726 -
図書館で見かけて何気なく借りたのだが、おもしろい!!
重力は球対称だとか、数ある正則図形の中から、自然が常に好んで選ぶのは五角十二面体(六角形がいくつあっても12個の五角形を加えると閉じた対称空間をつくることができる)だとか、花弁はフィボナッチ数だとか、泡の接する角度がプラトー境界と呼ばれる効率的角度になるとか、自然界にあるものの構造はいかに複雑・不規則に見えても自己相似性をもっている(フラクタル)とか…。
自然界に存在する数学的秩序と統一性に驚愕。う~む、すごい。
インテリジェントデザインを考えたくなるのもわかる気がする。
そして、数学の話なのに著者はデザイナーというのもまた、なるほど、いう感じ。
数学は美しい。
また、事象のみならず人間の社会生活の中でさえ、対称性という秩序原則が重視されている、という視点が面白かった。
たとえば何かの交換をするときに期待される「公平性」(この感覚は人間だけでなく高等霊長類にもみられる)とか、多くの異なる宗教指導者が唱える黄金律(他人にしてもらいたいと思うことを他人にせよ)も対称性の現れであるとか、あらゆるものに関わりのある原則といえるのだ。
面白い本見つけた!こういうの大好き。 -
色々なシンメトリーが出ている本。やっぱり、人間かなりシンメトリーが好きなんだなと思いだしてしまう本。