検証・法治国家崩壊:砂川裁判と日米密約交渉 (「戦後再発見」双書3)

  • 創元社
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レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422300535

作品紹介・あらすじ

1959年12月16日、在日米軍と憲法九条をめぐって下されたひとつの最高裁判決(「砂川事件最高裁判決」)。アメリカ政府の違法な政治工作のもと出されたこの判決によって、在日米軍は事実上の治外法権を獲得し、日本国憲法もまた、その機能を停止することになった…。大宅賞作家の吉田敏浩が、機密文書を発掘した新原昭治、末浪靖司の全面協力を得て、最高裁大法廷で起きたこの「戦後最大の事件」を徹底検証する!!

感想・レビュー・書評

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  • 2019年115冊目。満足度★★★★★ 1959年12月16日の最高裁判決(砂川裁判)によって、法治国家の条件である「司法権の独立」が失墜。本書は、現在の歪な日米関係の理由をアメリカ政府の解禁秘密文書を手がかりとして明らかにした必読書である。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 集団的自衛権は合憲であると言い張る安倍政権が引き合いに出すのが
    砂川裁判の最高裁判決なんだが、砂川裁判って集団的自衛権について
    は判断してないんじゃないの?これって、個別的自衛権の問題なんじゃ
    ないのか?

    砂川裁判の判決を曲解していると指摘している学者もいるようだが、
    「自分たちのやりたいようにやる」と、批判の声には一切耳を貸さない
    安倍政権には届かないようだ。

    さて、その砂川裁判最高裁判決でる。そもそもの事件は1957年7月8日に
    発生した。在日米軍立川基地の滑走路延長計画に反対した地元住民や
    学生、労組が強制測量を阻止する為にデモを行った。

    その際に基地内に立ち入った7人が起訴された。東京地裁行われた裁判
    では伊達裁判長が「アメリカ軍の日本駐留は違憲」との見解を示し、全員
    無罪の判決を出した。

    これに慌てたのが日本政府とアメリカ政府。日米安保条約改定を成し遂げ
    たい時の岸政権は、当然のようにアメリカの顔色を伺う。その日本政府に
    送られたアメリカ側のアドバイスが「跳躍上告」だった。

    高裁をすっ飛ばし、最高裁への上告である。その最高裁判決が「アメリカ
    軍の駐留は合憲」。よって、原判決は破棄され、地裁に差し戻された。
    その差戻審では当然のように有罪判決が出る。罰金2000円也。

    しかし、砂川裁判最高裁判決には裏があった。2008年、機密解除された
    アメリカの公文書のなかなから、事件当時の駐日アメリカ大使と最高裁
    長官との密談が明らかになった。

    本書は公開された機密文書と裁判の流れを追いながら、砂川裁判最高裁
    判決が日米密約の下で生まれた過程を綿密に追っている。

    沖縄返還密約してもこの砂川裁判にしても、アメリカで公文書が見つかって
    も日本の外務省は「そんなものありませよ」って姿勢なんだよな。情報公開
    法も整備されてないのに特定秘密保護法が施行された現在、これまで以上
    に政府機関からの情報は出て来ないなんだろうな。

    しきりに砂川裁判最高裁判決を持ち出して集団的自衛権を合憲としたい
    安倍政権。最高裁長官がアメリカと密談して下した判決が公正・公平な
    裁判であったとは言えない。そんな判決に正義を求めること自体に疑問
    を抱かないのかね。

    日本国憲法の上位に位置する法律は存在してはいけない。だが、現実
    には日米安全保障条約や日米地位協定のように、アメリカを利する為
    には憲法だってないがしろだ。

    だからって、時の政府が憲法を自分たちの都合のいいように解釈して
    いいってことにはならないと思うんだけどね。

    安倍政権が成立させようとしている戦争法案に疑問を持っている人に
    読んで欲しい良書だ。

  • 特に安全保障については、日本が米国の属国的立場、つまり未だ完全な独立国ではないことを検証した書。具体的にはその発端となった立川の砂川裁判における最高裁田中裁判長の判決が米国によってコントロールされていた事実を暴いた衝撃の本です。

  • 現在、国会ではきちがい政権がこの判例を根拠にして日本の集団的自衛権の行使可否について騒いでいる。きちがいのきちがいたる所以はこの本を読めばわかる。非法治国家の不法の根拠ってこんなもんなんだな、とバカバカしくなったのだった。

  • 15/06/05。
    6/19読了。

  • 戦前の日本が権力による暴力むき出しの国家で戦後は少しはまっとうになったんだろうと勝手に思っていたら全然そんなことはなかった。司法は戦後の再出発の時からすでに堕落し、法治を自ら放棄した。なんという国なんだ、日本というところは。

  • 憲法の時間に習う、「統治行為論」の元である砂川事件最高裁判決件は、行政だけでなくと司法の中枢(最高裁長官)までも、易々とアメリカの便宜のために動いた事実・文書をを米国の公文書館で日本人ジャーナリストが発掘して、本としたもの。いったい日本の最高裁とは、なんなのか、日本は独立国家なのか、怒りを通り越し、あきれ果て感強し。
    法律的に言えば、日本国内には憲法体系と安全保障法体系の2つの法体系の対立があり、それがぶつかり合ったのが砂川事件である。
    但し、筆者たちの結論・提案として、憲法9条を守る「平和国家」を守り、集団的自衛権の容認に進むべきでないと読めるが、逆ではないか? アメリカ帝国の凋落が激しく、米軍の物量・兵力の低下が予測される中、憲法を改正し独自の武装を持てるようにし、対米従属を少しでも止める方向に転換すべきではないか? と俺は思うのだが。。。。いずれにせよ、現在を生きる者として、在日米軍と日本の独立について真面目に考えるため、一度この本を読んでみることをお勧めします。

  • 東京地裁の「砂川裁判」判決は日米の密約交渉によって、最高裁で覆されました。 この間の経緯を見ますと、日本は正にアメリカの傀儡国家にも等しいように感じられました。米軍に関することはすべて治外法権の状態にあります。極論すれば、日本全土を米軍の基地にしてしまえば、日本の国民は手も足も出せなくなります。日本の裁判所は「統治行為論」によって逃げてしまいます。また、アメリカの解禁秘密文書で明らかになった事実を日本政府は隠したまま、その事実を認めようとしません。日本人は日米両政府に馬鹿にされたままです。

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著者プロフィール

よしだ・としひろ
1957年、大分県臼杵市生まれ。
ジャーナリスト。
ビルマ(ミャンマー)北部のカチン人など少数民族の自治権を求める闘い
と生活、文化を長期取材した記録『森の回廊』(NHK出版)で大宅壮一
ノンフィクション賞受賞。近年は、戦争の出来る国に変わる恐れのある
日本の現状や、日米安保・密約などをテーマに取材。
著書に、
『森の回廊  ビルマ辺境民族解放区の1300日』
(日本放送出版協会、1995年:NHKライブラリー 上・下 、2001年)、
『宇宙樹の森  北ビルマの自然と人間その生と死』
(現代書館、1997年)、
『北ビルマ、いのちの根をたずねて』
(めこん、2000年)、
『生命の森の人びと  アジア・北ビルマの山里にて
  理論社ライブラリー 異文化に出会う本』
(理論社、2001年)、
『夫婦が死と向きあうとき』
(文藝春秋、2002年:文春文庫、2005年)
『生と死をめぐる旅へ』
(現代書館、2003年)、
『民間人も「戦地」へ  テロ対策特別措置法の現実
 岩波ブックレット』
(岩波書店、2003年)、
『ルポ戦争協力拒否 岩波新書』
(岩波書店、2005年)、
『反空爆の思想  NHKブックス』
(日本放送出版協会、2006年)、
『密約  日米地位協定と米兵犯罪』
(毎日新聞社、2010年)、
『人を"資源"と呼んでいいのか 「人的資源」の発想の危うさ』
(現代書館、2010年)、
『密約の闇をあばく 日米地位協定と米兵犯罪
  国連・憲法問題研究会報告 第49集』
(国連・憲法問題研究会、2011年)、
『赤紙と徴兵 105歳最後の兵事係の証言から』
(彩流社、2011年)、
『沖縄 日本で最も戦場に近い場所』
(毎日新聞社、2012年)、
『ダイドー・ブガ 北ビルマ・カチン州の天地人原景』
(彩流社、2012年)、
『検証・法治国家崩壊  砂川裁判と日米密約交渉
 「戦後再発見」双書3』
(新原昭治、末浪靖司との共著、創元社、2014年)、
『「日米合同委員会」の研究  謎の権力構造の正体に迫る
 「戦後再発見」双書5』
(創元社、2016年)、
『横田空域  日米合同委員会でつくられた空の壁  角川新書』
(KADOKAWA、2019年)、
『日米戦争同盟  従米構造の真実と「日米合同委員会」』
(河出書房新社、2019年)他がある。

「2020年 『日米安保と砂川判決の黒い霧』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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