沖縄戦を生きぬいた人びと 揺れる想いを語り合えるまでの70年

  • 創元社 (2017年6月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784422300702

作品紹介・あらすじ

 熾烈をきわめた沖縄戦体験者の証言記録は、これまでにも多く存在する。しかし、17年間、体験者と共に活動し、500名を超える人たちに寄り添いつつその声に耳を傾け続けた記録は、他にないのではないか。 本書の著者は、沖縄に生まれ育ち、自らも身内に沖縄戦の体験者をもつ臨床心理士で、自然のなりゆきのように沖縄戦を研究テーマとしてきた。 本書は、県内7地域で著者たちが創った「沖縄戦体験を語らう場」で、約10年間、837回開催された会の、2924時間に及ぶ音声記録の中から、一部をまとめて紹介したものである。 一対一の単なるインタビュー記録と異なるのは、ただ「語る」だけではなく、何十年もの時間をかけて体験を互いに「語り合う」ことが、人間の心にとっていかに大きな力をもたらすかを実感させる点である。 「戦争体験者」と言っても、その体験の内容は一人ひとりみな異なる。それは、大きな震災体験者と同じでもある。ただ、沖縄戦の体験者は、その多くが高齢となり、生の声を直接聴けなくなりつつある。本書は、膨大な資料の中のごく一部ではあるが、そうした生の声を長期間をかけて丹念に聴き取り、まとめた貴重な記録である。

感想・レビュー・書評

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  • 静かな衝撃。一時放心状態。
    星をつけること自体が恐れ多いくらい、考えさせられる作品。というか記録というか。
    戦争でどんな辛い体験をしたかではなく、辛い体験をしたその後の生き方について考えさせられる。
    で、どういう過程を踏んだとしても、思いを周りと共有することで、少しでも浄化になるのだろう。
    ただ、本当に辛いことを人に話せるようになるには、数十年もの年月が必要で、話したいと思ってからでも数年かかる。
    そして戦争は、無条件にそういう人をたくさん生んでしまうものなのだ。

  • bookbar2018/03 杏さん

  • 2018.4.13-
    沖縄戦。
    島人ぬ宝。
    沖縄の人々が何より“平和”を大事にする理由。

    70年経って、ようやく少しずつ言葉にできるようになった人々。

    70年、人を信じられなくなり1人で生きてきた人がいた。
    姉弟で70年間全く当時の話をせずに、初めて記憶を言葉をした人達がいた。
    自分は語る資格はないと、後悔と無念を抱いて生きてきた人がいた。

    振り返ってみると、あの戦争は一体何だったのかと、思う筆者。17年間の集大成がここにあり、戦争体験ではなく、それぞれの心の内がここにあった。

    南国のパラダイスを感じるだけではなく、楽しみながらも、今もここに眠る人々がいるということを一瞬でも感じてくれたらと語る男性の言葉が、今まで私のなかにうずまいていた“沖縄”に対する世間のイメージの違和感をすっと流してくれた気がします。

  • 言葉がない…
    語ること語り合うことの大切さと難しさ。

    祖母や祖父、大叔父、伯父伯母にもっともっと尋ねればよかった。

  • 東2法経図・開架 219.9A/Y89o//K

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著者プロフィール

吉川 麻衣子(よしかわ まいこ)

1975年11月13日,沖縄県那覇市に生まれる。琉球大学法文学部卒業,九州産業大学大学院国際文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。博士(文学),臨床心理士。現在,沖縄大学人文学部准教授。専門は臨床心理学,人間性心理学。近年,多様性の理解・教育の分野に興味を持ち,実践・研究を行っている。
主著・論文に,「沖縄県の高齢者を対象とした戦争体験の回想に関する基礎的研究」(共著,心理学研究,75(3),269-274.),『サポート・グループの実践と展開』(分担執筆,金剛出版,2009年),『戦争記憶の継承――語りなおす現場から』(分担執筆,社会評論社,2011年),『心理臨床の学び方――鉱脈を探す、体験を深める』(共編著,創元社,2015年)ほか。
好奇心の赴くまま,波瀾万丈ありつつも「ムダなことは一つもない」をモットーに,いまを生きる。日常生活では,自然の流れにまかせて遊ぶことを好み,SUP(スタンドアップパドル)やジョギングを楽しんでいる。

「2017年 『沖縄戦を生きぬいた人びと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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