地図の進化論 地理空間情報と人間の未来

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  • 創元社 (2018年1月23日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784422400372

作品紹介・あらすじ

グーグルマップをはじめとするデジタル地図と、GPS機能を持つカーナビやスマートフォンの普及によって、人と地図との関わり方は大きく変わった。現在地や目的地の場所を確認することはもちろん、ウェブ上でマップを自由に編集・共有したり、写真に埋め込まれた位置情報から撮影場所を特定するなど、地図の持つ可能性はますます広がりをみせている。しかし一方で、媒体が変わっても「ここはどこ?」を知るために地図を使うことじたいは、人類が集落の配置を岩絵に描いていた頃からそれほど変わっていないとも言える。デジタル化によって、地図と人間との関わり方はどう変わり、何が変わらなかったのか。紙からデジタルへと進展していく技術的背景をふまえつつ、人間が空間を把握する力――「空間認知」を軸に捉え直すことを試みる、新しい地図読み物。<おもな内容>第1部 地図の今昔第1部では、岩に描かれた線刻画に始まり、地図がさまざまに進化を遂げてきたようすを例を挙げながら見ていく。とくに20世紀終盤、デジタル化が始まってからは、地図の概念や利用方法は驚くべき変化を遂げた。一方、地図を使う人間と社会との関わりを考えると、「なにがどこにあるか」を表現する地図の根本的な役割はいつの時代にも同じである。しかしそもそも広く一般の人が地図を利用できるようになったのは比較的最近のことで、それ以前は地図が人々の世界観に与えた影響は以外に小さかったといえる。したがって誰もが地図にアクセスできる現代には、地図が人々の世界像を大きく変える可能性がある。第2部 地図を通して知る世界第2部では、世界像を形作る基礎である人間の空間認知に焦点を当てる。人間の空間認知能力は、生まれつき備わっている面もあるが、それぞれの時代や地域で流通している地図の影響を受けるため、社会的・文化的環境の作用も無視できない。五感で把握できない広い世界を知るために、人間は地図を発明したのである。空間的能力は生まれつきのものなのか、環境による要因が大きいのか、あるいは男女に差があるのかについてはこれまでさまざまな調査が試みられている。また神経生理学的研究などによって、空間認知の仕組みも徐々に明らかにされつつある。こうした能力による空間的思考は、地図を用いることによって、感染症対策や防災、犯罪抑止などの社会的問題の解決に具体的に役立てられている。第3部 地理空間情報と人間デジタル化によってさまざまな地図表現が可能になり、またユーザー自身が自由に地図を編集できる時代において、このような変化は人間の空間認知にどのような影響を与えているのだろうか。また、今後も地図はさまざまに進化してゆくに違いないが、技術が人間の空間認知を補完したり、人間の空間的能力を代替する人工知能が生み出され、地図の制作も利用もコンピュータが肩代わりする日が来るのだろうか。第3部では、昨今の地図をめぐる技術の進歩と、「地図を読む能力」にまつわる複雑なメカニズムを勘案しながら、「未来の地図」の展望を考察する。

感想・レビュー・書評

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  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/777777

  • ★学生選書ツアー2019選書図書★
    【所在・貸出状況を見る】
    https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/227394

  • 内容自体は面白いが、内容量的に新書ぐらいなので、星少な目。この本を見てこれって感じはないので、最近の地図がどんな感じなのかを知りたい時に役に立つ。

  • 一般書といいつつ、専門書の体裁から抜けきれず。
    また、テーマを広くとりすぎ、言葉は専門用語だが、中身はない感いなめなかった。

  • 地図の歴史について。古代の絵文字みたいなものからGISまでコンパクトにまとまっている。
    住所の付け方が日本と欧米では異なることなども扱っている。著者の専攻は行動地理学、都市地理学、地理情報科学。ブラタモリに触れられているのは行動地理学の知見からかな。

  • 引用文献も充実している。地図作成者、利用者ともに考えさせられる一冊になっている。

  • デジタル化され、様々な用途で使われていることを「進化」とうまく形容している。

    学術的な書き方だが、そこまで難解な表現はなく読みやすい。

    P.16
    寺田寅彦のことば
    地図は言葉で表すのは大変だが、地図で表すと多くのことを表現できる。

    デジタル化→様々な用途に使われるように
    スケール=縮尺≒対数
    地図の嘘=面積、距離の正確さ
    地図のさらなる進化→民主化、利用者参加型 例)OSM
    グーグル効果、フィルターバブル
    タクシー運転手→地図GPSによって誰でもできるように→Uber、Lift
    「ブラタモリ」地図の面白さ、地域の背景の面白さ


    進化論的にはおかしいとこと
    P.90
    男性の空間的能力を進化させる方向に自然淘汰が働いた
    →自然淘汰の説明がない。選択圧の説明が欲しい。

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著者プロフィール

1959年生まれ。広島大学大学院文学研究科地理学専攻博士課程後期単位取得退学(1986年)、博士(理学)(1993年)。現在、東京都立大学都市環境学部地理環境学科都市環境科学研究科地理環境学域教授。専攻は、行動地理学、都市地理学、地理情報科学。著書に、『認知地図の空間分析』(地人書房、1999年)、『地図の進化論』(創元社、2018年)などがある。

「2022年 『デジタル社会の地図の読み方 作り方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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