治りにくい病気の漢方治療 アトピー・不妊症・喘息から不定愁訴まで

  • 創元社 (2010年9月10日発売)
3.75
  • (0)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 13
感想 : 3
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (272ページ) / ISBN・EAN: 9784422410807

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「漢方が効いた難病治療」

    著者は阪大を卒業して、現在は漢方クリニックに勤務しています。
    本書は現代医学では難しい疾患への漢方治療をまとめられたものです。

    著者は大学卒業後、遺伝性疾患を研究テーマにしていました。
    お嬢さんがアトピー性皮膚炎にかかって漢方が著効したことから興味を抱き、漢方薬を診療に取り入れるようになります。
    様々な大学で漢方を研究し、高名な漢方医の教えを受けて腕を磨きました。

    本書は現代医学からは零れ落ちた疾患について、漢方で治療した症例をまとめていました。

    ★疼痛
    1.出産後の線維筋痛症(虚・肝実・瘀血)
     葛根湯+桂枝茯苓丸:無効
    →加味逍遥散:不変
    →越婢加朮湯+桂枝茯苓丸:有効

    ★異常感覚
    1.味覚障害・偏頭痛(虚・脾虚肝実・水滞)
     十全大補湯+五苓散:無効
    →当芍散+五苓散‐桂枝+人参・甘草・黄耆:不変
    →前回のもの+竜眼肉・大棗・竜骨・牡蛎:有効

    2.味覚障害・花粉症(虚・実熱・脾虚肝実・外感病)
     釣藤散+香附子・辛夷・蝉退:軟便
    →前回のもの‐石膏+川弓:改善
    →前回のもの+丁子・附子:有効

    ★かゆみ
    1.アトピー(肝実脾虚・血虚)
     当帰飲子:胃もたれ
    →前回+補中益気湯:火照り
    →当帰飲子+四君子湯:有効

    2.かゆみ・湿疹(虚・脾虚肝実)
     加味逍遥散:有効

    3.アトピー(乾燥・解毒体質・肝実)
     黄解湯+消風散:有効だが乾燥
    →温清飲+消風散:湿疹・水毒
    →前回+猪苓湯:有効
    →消風散+四君子湯:有効

    ★不妊
    1.不妊・肩こり(脾腎両虚・水滞)
     当芍散+人参湯:有効

    2.不妊・肩こり(実・悪血)
     桃核承気湯:下痢
    →桂苓丸:イライラ
    →桂苓丸+加味逍遙散:有効

    3.男性不妊(脾陽虚・悪血)
     補中益気湯+桂苓丸:有効
    →人参湯+八味丸(冬のみ):有効

    ★喘息
    1.小児喘息(脾陽虚)
     小建中湯:有効

    2.喘息・花粉症(脾気虚)
     柴芍六君子湯+苓甘姜味辛夏仁湯:軟便
    →前回-杏仁+山薬:有効
    →柴朴湯+麻黄附子細辛湯(春):有効

    ★免疫疾患
    1.リウマチ疑い(陽虚・悪血・水毒)
     柴苓湯+当芍散+猪苓・牡丹皮・陳皮・麻黄:有効

    2.バセドウ病
     柴胡加竜骨牡蠣湯:有効

    ★うつ病
    1.うつ病(脾気虚・肝鬱・悪血)
     補中益気湯+当芍散:有効

    2.うつ病(脾気虚・肝鬱・悪血)
     柴胡加竜骨牡蠣湯+桂苓丸:有効

    本書はこのように実際の症例に対する処方をまとめていました。
    苦心した症例を中心に、症状、病気の説明、予後などが簡潔に整理されていて読み応えがありました。

  • 2011年12月に実施した学生選書企画で学生の皆さんによって選ばれ購入した本です。展示期間終了後の配架場所は、開架図書(3階) 請求記号:490.9//I64

  • 入江祥史 (著)
    内容紹介
    現代医学では治りにくい難治性・慢性病のうち、漢方が得意とする
    病気に絞って治療法を詳しく解説。取り上げる主な病気・症状は、
    アトピー性皮膚炎、不妊症、気管支喘息、不定愁訴、味覚・嗅覚障
    害、膠原病、認知症など。理論・診察・漢方薬の基礎知識から、各
    病気別の具体的な症例・治療法まで、漢方の得意不得意を明らかに
    し、現代医学との使い分けの大切さを説く。前著の入門編『はじめ
    ての漢方医学』に続く実践編としての第2弾。

    <目次>
    はじめに

    ◆第一部 漢方の基礎知識
    第一章 治療にはやはり漢方が必要である
    第二章 漢方の診察と理論
    第三章 漢方薬について
    ◆第二部 病気別・漢方治療の実際
    第四章 疼痛――線維筋痛症を例に
    第五章 感覚の喪失――味覚障害・嗅覚障害
    第六章 かゆみ――アトピー性皮膚炎
    第七章 不妊症
    第八章 気管支喘息
    第九章 免疫の異常――自己免疫疾患・膠原病
    第一〇章 難治性うつ病
    第一一章 認知症
    第一二章 不定愁訴の漢方治療

    〈付記〉漢方外来を受診なさる方へ
    参考文献
    〈付録〉主な生薬の薬能
    索引
    あとがき

全3件中 1 - 3件を表示

著者プロフィール

1965年長崎県生まれ。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了(医学博士)。大阪大学医学部付属病院、ハーバード大学研究員、慶應義塾大学講師、証クリニック吉祥寺院長などを経て現在、府中駅前クリニック内科/東邦大学客員講師(東洋医学)。日本内科学会認定総合内科専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医。著書『はじめての漢方医学』『治りにくい病気の漢方治療』(創元社)、『絵でわかる漢方医学』(講談社)、『漢方・中医学講座(全7巻)』(医歯薬出版)など多数。

「2017年 『生活習慣病の漢方内科クリニック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

入江祥史の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×