世界で一番美しい分子図鑑

制作 : 若林 文高  Theodore Gray  Nick Mann  武井 摩利 
  • 創元社
3.71
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本棚登録 : 117
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422420066

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『世界で一番美しい元素図鑑』に続編が登場しました。元素周期表は物理世界の普遍的なカタログですが、われわれが日常生活で目にするのはたいてい元素ではなく分子です。原子は実にさまざまなやり方で互いに結びつきます。石鹸や溶剤、油脂、岩と鉱石、ロープと繊維、甘味料や香水など、本書はこの世界を形づくる無数の化学構造のなかから最も興味深く、美しいものを選び出し、華麗な写真とユニークな解説で探索します。

感想・レビュー・書評

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  • 『世界で一番美しい元素図鑑』の姉妹編。原題は"Molecules - The Elements and the Architecture of Everything"

    前作に続き、スタイリッシュで美しい。そして目の付け所が面白い。
    前作の元素バージョンは、周期表に沿って元素を説明していた。元素の数は現在発見されているもので115程度である。原子は、理論的には大きくなればなるほど不安定になり、さらには存在不能になるはずなので、元素の数は事実上は有限である。
    対して、分子となると、それぞれの元素を制限なしに使えるとなれば、組み合わせは膨大である。アミノ酸がつながったタンパク質をはじめ、分子の小さな部品がつながってより高次の大きな分子を作る例も多くある。「無限」と言ってしまうと語弊があるが、控えめにいっても元素とは「桁違い」の種類となる。
    複雑多様な「分子」の世界をどうまとめてどう紹介するのかが腕の見せ所となる。本書では、分子が作る物体・物質の外見や分子式・分子模型で説明していく。
    有機・無機、天然・合成、白・カラーといった対比から、それぞれの違い・特徴が見えてくる。繊維、鎮痛剤、甘味料と同じ括りに入れられるものの中に、実は根本的な違いがある場合もあるという着眼点もおもしろい。ちょっとシニカルで斜に構えた解説がスパイシーで楽しい。

    特におもしろかったのは繊維の話。
    植物が作る繊維は糖で出来ている。多くはセルロースで、グルコースがつながって出来たものだ(*微生物以外の動物は通常、セルロース消化酵素を持たないため、草に含まれるセルロース繊維を食べても栄養とすることが出来ない。牛などの草食動物は腸内細菌の助けによって分解してこれを栄養とし、それをさらに人が食べるわけである)。
    これに対して、動物が作る繊維は、タンパク質である。爪や髪、ウールなどはケラチンである。蚕の絹は、毛とは幾分異なり、フィブロインと呼ばれるタンパク質である。
    合成人工繊維の場合、エチレンやプロピレンといった炭化水素がたくさんつながったポリエチレンやポリプロピレンといったものがよく使われる(「ポリ」は「多」の意)。天然繊維の優れた性質を安価に再現できるのが合成繊維の強みである。
    岩石系の繊維というものもある。有機化合物が大半である他の繊維と異なり、こちらは無機化合物である。鉄がウール状になったスチールウールは理科の実験で使った人もいるだろう。グラスファイバーは、断熱材として、またプラスチックの強化材として使用される。アスベスト(石綿)もこの仲間だが、甚大な健康被害が生じてしまった。耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れていて安価であったため、広く普及したのだが、後に肺に蓄積して中皮腫などを引き起こすことが判明した。細かい繊維が分解されないまま溜まっていってしまうのだ。危険性が判明したのが大規模に使用された後であり、さらには病変が長い年月を掛けて出てくるものであったため、被害が大きくなってしまったのは残念なことである。

    トピックの中に、トリビアも満載なので拾い読みも楽しい。
    例えば、「お金(硬貨)の匂い」というけれど、実はお金には匂いはない。匂いというのは揮発性物質から生じるもので、当然のことながら、金属には揮発性成分は含まれない。ではあの独特の匂いは何かといえば、お金にさわった人の皮脂の成分が分解されたものなのだという。お金の匂いは人の匂い。何だかちょっと生臭い。もしかしたら欲望成分も混じっている、のかもしれない。

    1つの切り口が、さまざまな分子の知られぬ一面を引き出し、それがまた広がりを見せていく。教科書的でない、ざっくりした視点が、分子の奥深い世界を縦横無尽に俯瞰していく。
    理系の人はもちろん、亀の甲は苦手という文系の人も、楽しく読めて意外な発見がありそうな1冊である。

  • ☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
    http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB19426698

  • 内容としては少し物足らないかな。でもそれを補って余りある装丁・写真の美しさ。元素図鑑よりこっちの分詞図鑑派。

  • 栄養学や化学が好きなので、
    ページをめくるたび興味深く、ワクワクが尽きない本。

  • これ、すごいです。めちゃくちゃおもしろい!のっけから量子力学的な解説がされているのがうれしい!訳文がちょっと「?」のところもあるけれど、気にしない。
    化学式と分子モデルと、現実に作られた「もの」の美しい写真、わかりやすくユーもうにあふれ親しみやすい文章で、分子と化合物について語られている。基本的に中学卒業程度の理科の知識があれば理解できる、と思います。
    図書館で読んだので、ぜひ、家に一冊欲しい。前著の「元素図鑑」も読んでみたくなりました。

  • 高校時代に読みたかった。無味乾燥な化学式も、幾分親しみやすくなるはず。

  • 元素の方が面白かった(ような気がする)。化学式は懐かしかったんだけどね。とはいえ、かわいい化学式しか覚えてないけど(笑)CH₃COOHが覚えてるので一番長いやつ。酢だ!(笑)

  • レビュー省略

  • 膨大な分子をどう料理するのかと思ったら、やはり無理だったと。難しい。

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著者プロフィール

Theodore Gray/イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で化学を学び、卒業後カリフォルニア大学バークレー校の大学院に進学。大学院を中退してスティーヴン・ウルフラムとともにウルフラム・リサーチを創業し、同社が開発した数式処理システムMathematicaのユーザーインターフェースを担当した。かたわら、「ポピュラー・サイエンス」誌のコラムなどでサイエンスライターとして活躍する。元素蒐集に熱中して自ら周期表テーブル(周期表の形をした机にすべての元素またはその関連物質を収めたもの)を制作し、2002年にイグノーベル賞を受賞。2010年にウルフラムを退職し、iPadやiPhone用アプリの制作会社を立ち上げて、共同創業者兼チーフ・クリエイティブ・オフィサーとして活動している。主な著書に『世界で一番美しい元素図鑑』、『世界で一番美しい分子図鑑』(以上創元社)、『Mad Science――炎と煙と轟音の科学実験54』、『Mad Science2――もっと怪しい炎と劇薬と爆音の科学実験』(以上オライリージャパン)などがある。イリノイ州アーバナ在住。

「2018年 『世界で一番美しい化学反応図鑑』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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