恐竜学者は止まらない! 読み解け、卵化石ミステリー

  • 創元社 (2021年8月23日発売)
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  • 本 ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422430416

作品紹介・あらすじ

恐竜学者って、毎日何をして過ごしているの? 研究はどうやって生まれて、完成するの? 恐竜学者を目指して北の大地に旅立ち、大学院ではカナダに留学。恐竜の謎を追い求めモンゴル、中国、アメリカ、ウズベキスタンへ。世界経済の荒波にも、「あきらめなさい」の一言にも負けず、恐竜の生き生きとした行動・生態を解き明かすべく奮闘し続けた日々を、ユーモアを交えて語る。丸くて硬くて面白い、卵化石研究の世界へようこそ!

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【推薦】

小林快次氏(北海道大学総合博物館教授)
 一流の恐竜研究者のレシピここにあり!
 恐竜から鳥へ引き継がれる命と進化に迫る!!

万城目学氏(作家)
 卵が先か、恐竜が先か。
 恐竜研究の最前線の風景を日本語で真っ先に読める時代が来た!

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感想・レビュー・書評

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  • いやー、完全に騙されました。
    ミステリー、読み解け、って書いてあるからミステリー小説かと勝手に勘違いして手に取ってしまいました。

    恐竜の卵の研究者のお話しでした。
    恐竜の研究者は聞いたことあるけど、まさか卵とは。

  • この本はミステリー小説では無く、中高生向けの学術書ですね。うっかり引っ掛かりましたが、結構読みやすく面白さを引き出した作品でした。
    作家さんは現職の恐竜学者。ご自分の経歴を交えた問いかけと好奇心旺盛な研究のフィールドを、楽しく語り掛けるように書かれているので専門用語以外は割とスイスイ読み進めました。
    学問は謎解きでもあるので標題に間違いはないのでしょうが。事実謎解き有り面白く読めますし、ポジティブな文章なのが良いですね。
    出来れば恐竜学者が主人公のミステリーを書かれてみては如何でしょうか?きっと愉快な本格探偵推理小説をお書きになると思います。大学の先生が手掛けたミステリーも結構出ていますね。作家さんはかなり忙しいので時間が取れないかも知れませんが。期待したいですね。

  • すごく読みやすいし、サービス精神やユーモアに溢れているので、オススメです。
    こういう研究職の方って、読みやすい人と読みにくい人、あと前のめりの人に分かれると思うんですけど、この方の語りはかなり読みやすいです!
    子ども相手に話す経験が活きているんですかね?

  • 恐竜の化石を研究する本は多々あれど、恐竜の卵を研究している研究者の本は読んだことがなかった。読み進めていくうちに、なるほど卵化石を調べていくこと自体が恐竜という未知の生物が確かに地球に根差して生きていた「生き様」を証明する手がかりになるのだと強く思った。田中先生が学生から筑波大の助教授になるまでの道程を、若き読者向けにドキュメントさながらにまとめてある。とにかく、研究は楽しく、ワクワクし、幸せであるそうだ。好きなことを好きなだけ職業にでき継続できるなんて、とても羨ましいし幸せだと思うが、田中先生はそれだけとても勉強に励み、高い壁をクリアしていっているのがよくわかる。単なるサクセスストーリーではない。膨大なページ数400超の大ミステリー(卵研究の)だが、最後までぎっしり詰まった濃い内容で、残りページ数が少ないにもかかわらずフィールドワークに出かけたエピソードがまだ続きそうな書き方なのだ。そこが、恐竜学者は「止まらない」のかもしれない。

  • 恐竜の卵化石に魅せられた、気鋭の若手恐竜学者が自身の研究遍歴を軽妙な筆致で語る。
    恐竜についての研究が、どうやって生まれ、どういう過程を経て完成するのかがよくわかり、掛け値なしの面白さだった。恐竜というテーマを超えて、謎解きとしての研究というものの醍醐味をびんびん感じた。
    研究成果としての、恐竜の抱卵や巣のタイプの違いなどの話もとても興味深かった。(非鳥類型の)恐竜から現在の鳥類への進化のダイナミズムを感じさせてくれた。
    また、著者とは年近であり、その点でも刺激を受けた。

  • タイトル通り、現役バリバリの恐竜学者である著者が自身の研究領域について、その魅力を伝えようとしている本。
    恐竜学者といっても、専門は恐竜の「卵」の化石の専門だそうで、ニッチなんだそうです。
    恐竜の卵の研究!??と思いきや、結構中身はサイエンスって感じで、古生物を研究するのに、現在、生存している生き物と比較し、それらの元データから統計学を駆使して、新しい知見を得る、論文で発表する、というスタイルに感心しました。
    思ったのは、どんな研究領域でも何か説得力のある論理を展開するためには、データサイエンスの知識が必要なんだな、と。
    研究が好き好きでしょうがない、という感じが文体から伝わってきて、仕事というか研究そのものを楽しんで、今後も驀進していただきたいと思いながら閉じました。

  • 研究の楽しさを教えてくれる。なんて魅力的なんだ、フィールドワーク、学会、大学!部活中心の自分の学生時代を後悔しないが、こっちの方が青春が続いているようで、羨ましい。

  •  本著は、恐竜卵化石研究の修士から博士、ポストドク生活を経て大学教員職を手にいれるまでのトキメキにあふれた研究生活が綴られており、この先も研究の広がりを期待させてくれる。
     卵殻のスカスカ度(間隙率)の評価方法の確立や間隙率からの巣のタイプ(埋蔵型、オープン型)の推量、発掘した地質からの営巣環境の推量などその研究過程が生き生きと描かれている。若手研究者のほぼリアルタイムの研究過程のわくわく感、さすがだ!
     

  • 読売新聞の新刊紹介で知った作品。
    「恐竜の本」「帯に小林快次先生」「帯に万城目さん」と、もうワクワクしかない。
    恐竜学者というと、骨格化石の発掘や研究というイメージだったから、こちらもそんな感じの本かなと思ってた。
    しかし著者は卵化石の研究をされていた。

    …卵とな!

    冒頭でティラノサウルスもトリケラトプスも登場しないと書かれていて…あれ?楽しく読めるかな?とちょっと不安になった。
    でも読み始めてみれば、いやー面白い!!
    卵化石の研究で、恐竜たちがどんな巣を作っていたか、どこに作っていたのか、恐竜は抱卵したのかなど、恐竜によって様々な繁殖の方法があったんだなぁと。
    田中先生監修の「いまさら恐竜入門」にも抱卵のことが書かれていたり、恐竜博でも卵化石とともに巣の解説があったはずなのに記憶から飛んでしまってた…。

    たくさんのデータをコツコツと集めて分析して謎を解いていく様を読んでいると、読んでいる側も謎解きをしているよう。簡単に言ってしまっているけど、本当に大変な作業だろうな。

    そして田中先生の言葉のチョイスが可笑しくて何度か噴いた。森見さんの「四畳半」出てきたけどお好きなのかしらん?
    つくばの街並み、とーっても良く分かります!笑

    恐竜の「一生」についての新発見を楽しみに、研究を応援していきたい。

  • 名古屋市生まれ、北海道大学理学部卒の著者。恐竜の卵の化石の研究をしている。この本は、そんな著者の日常を綴った一冊。

    恐竜好きの息子に借りてきた本だが、まだ早すぎた。私も斜め読み。

    文体は軽く、お話を聞いているようで読みやすい。時々クスッと笑える。

    恐竜学者がどのように過ごしているのかを知るには最適の本だと思った。

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著者プロフィール

筑波大学生命環境系助教。恐竜の繁殖行動や子育ての研究を中心に,恐竜の進化や生態を研究している。推し羽毛恐竜はシノサウロプテリクス。

「2023年 『羽毛恐竜完全ガイド』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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