翻訳できない世界のことば

制作 : 前田 まゆみ 
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レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701042

感想・レビュー・書評

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  • その国や言語ならではの文脈を帯びたことばを浴びて、心洗われました。紹介されていたことばの中では、ヒンディー語のジュガールが一番好きかな。

  • 本書では世界各国の言語特有の、他言語に翻訳できない(りんご=appleのように1語対1語で訳せない)言葉を紹介している。

    「人間がものを考えるときは言語に頼らざるを得ない、言語で思考するのだ」といったことを何かで読んだことがある。言語は国や文化によって違う。ある人にとっては当たり前の感覚・概念を、他国の人は持っていなかったりする。でも、それを表す言葉を知っていれば、感覚・概念を共有することができる。言葉の奥深さを感じずにいられない。

    日本語の単語は「木漏れ日」、「ボケっと」、「侘び寂び」、「積ん読」の4単語があった。
    「侘び寂び」なんかは、日本人でもうまく説明するのが難しい。でも、言葉からイメージされるものがあって、多くの日本人はそれを共有している。言葉があるから、そのイメージを意識することができ、人と共有することができる。言葉を多く知ることは文化を知ることに繋がる。


    気に入ったものをいくつか書いてみる。
    どれも説明を読めば、「ああ、確かにそういう感覚あるな」と思う。でもその感覚を示す言葉を持っていないので、ふとした時に咄嗟に口に出すのは難しい。
    そうかと思えば、なんでこんな言葉が誕生したんだろうと思うようなニッチなシチュエーションのものもあって面白い。

    ・commuovere(イタリア語、動詞)
    →涙ぐむような物語に触れたとき、感動して胸が熱くなる。
     面白い本を読んだ時、こんな言葉で表現できたら素敵かもしれない。

    ・mangata(スウェーデン語、名詞)
    →水面に映った道のように見える月明かり。
     美しい夜の情景がイメージされる。

    ・pisanzapra(マレー語、名詞)
    →バナナを食べる時の所要時間。
     どんな状況で使うんだろう?

    ・hiraeth(ウェールズ語、名詞)
    →帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても。

    ・tima(アイスランド語、動詞)
    →時間やお金があるのに、それを費やす気持ちの準備ができていない。

    ・kummerspeck(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「悲しいベーコン」。食べ過ぎが続いて太ること。
     「最近ストレスでkummerspeckだよ」とか使うのか?

    ・ubuntu(ズールー語、名詞)
    →本来は、「あなたの中に私は私の価値を見出し、私の中にあなたはあなたの価値を見出す」という意味で、「人の優しさ」を表す。
     Linuxディストリビューションの名前だと思っていた。こんな語源があったとは。
     
    ・resfeber(スウェーデン語、名詞)
    →旅に出る直前、不安と期待が入り混じって、絶え間なく胸がドキドキすること。
     遠足の前日みたいだ。

    ・drachenfutter(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「龍のえさ」。夫が悪い振る舞いを妻に許してもらうために贈るプレゼント。
     ドイツ人の夫たちの尻に敷かれぶりがイメージされて面白い。

    ・sgriob(ゲール語、名詞)
    →ウイスキーを一口飲む前に、上唇に感じる、妙なムズムズする感じ。
     ウイスキーを飲むことがないのでわからないけど、そういうもの?

    ・kabelsalat(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「ケーブル・サラダ」。めちゃめちゃにもつれたケーブルのこと。
     自分も日常で使えそうな気がする。

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    前に読んだ『甘えの構造』で、「甘え」という言葉は日本語特有のものだとあった。この言葉が日本人の精神構造に大きく影響を与えていて、日本人はそれを誇ってもいいとまで述べていた。
    「甘え」を英語に訳そうとするとどんな単語があるのか調べてみると、「depend on」、「rely on」、「spoil」、「sweet」、「optimistic」、「underestimate」、「easy」、etc…。多くの単語がある。「甘え」はこれらを一語で併せ持つ、奥深い言葉だ。外国人はこの感覚を持っていない。それと同じように、日本人も外国人の感覚を持っていない。

  • 私たちはいま、伝えることを急ぎすぎるのかもしれない。簡単に伝えられてしまうから。上っ面の言葉だけがどんどんと量産されてあふれて、大事な人を傷つけてしまう。本当に大事にしたい人には、ほんとうにゆっくりと時間をかけて、あなたが大切なんですよ、と伝えたい。

    さて本書は色鮮やかなイラストと短い言葉の翻訳がセットになっていて、一単語につき見開き2ページと、じっくり言葉を味わえるようになっている。

    それぞれがまるで絵はがきのようにすてき。一枚ずつちぎって大切な人に贈りたいくらい。素敵な本です。お家が素敵になること間違いなしのインテリア風の本。

    中身はユーモアたっぷりのあるある!と言ってしまうことから、ああーね、と遠い目になる哀愁系、その言葉いつ使うねんみたいなお国柄ものまで幅広く、心の辞書が豊かになります。

  • 「忘れかけていた何かを思い出すものであったり、または今まではっきりと表現したことのなかった考えや感情に言葉をあたえるものであれば」という始まり方をする本書は、世界の、「翻訳できない」言葉をとりあげるものだが、とりあげている言葉たちのなんと美しいことか。たまに面白いものもあるけど。
    読んでいて、「あー、これは」って昔を思い出したり、今の感情が表現できそうだったりすると楽しいけど、それこそトレップヴェルテルだったり。
    イラスト本で、コメントも相まって楽しくまとまってます。

  • タイトル通りの本。
    日本語からもいくつか選ばれている。
    よくある弁別性の高さ、すなわちイヌイットの雪の名や日本の雨の名、砂漠の民のラクダの名というよりは、より複雑なニュアンスを含む状態を一語に集約してあらわす言葉が選ばれている。その翻訳ならぬ解説もドライな訳語ではなく、そのニュアンスを捉えるように解釈込みで書かれていておもしろい。

  • 英語にはないけれど、他の国の言語だとまさにその一言でその気持ちや情景を表現できる言葉集。言葉の選び方も、コメントもいいし、なによりイラストが素敵。
    日本語もいくつか選ばれていて、なるほどーこれは便利な良い言葉だったんだなーと改めて気づかされた。「木漏れ日」はたしかに素敵なことば。だけど、「ぼけっと」は「ぼーっと」の方が、意味の説明文にはより合致してるような気がする。

  • 諸外国の言葉(含む日本語)で翻訳できない言葉を解説する一冊。

    大人向けの絵本のような感じで、日本語も“わびさび”や”木漏れ日”、“積ん読”など入っており、とても面白かった。

  • 忘れかけていたなにかを思いだすものであったり、または今まではっきりと表現したことのなかった考えや感情に言葉をあたえるものであれば、というコンセプト。
    ことばには限界があると同時に、限りない可能性が広がっている。
    いまの自分の気持ちはこれだと感じたり、くすっと笑ったり、その国らしさみたいなものを感じたりして楽しめる。

  • Waldeinsamkeit(ドイツ語)
    NAZ(ウルドゥー語)
    木漏れ日
    BOKETTO
    日本語も良い言葉があるなぁ〜

  • 一言では翻訳できない世界の言葉を翻訳。
    日本語であれば、「木漏れ日」「ぼけっと」「積読」「わびさび」の4つがエントリー。
    何故そのチョイスなんだろうと疑問に思いましたが、「木漏れ日」という言葉は風情があって良いですね。今まで考えたこともなかったですが、改めて日本語の美しさに気づくことができました。

    ドラマ「砂の塔」の岩ちゃんセリフに出てくる「モーンガータ」という言葉を検索していて、この本に出会いました。「モーンガータ」水面に映った道のように見える月明かり」という意味だそうです。とてもロマンチックな言葉だと思いました。
    他には、ビザンブラという言葉が印象深い。意味は「バナナを食べるときの所要時間」という言葉もありました。日本にいながら、その国の人々の生活においてバナナがどれほど重要で馴染みの深いものなのかと考えるとクスりと笑えてしまいました。逆に、自分が感じていることは、世界共通なんだなあと思う言葉もちらほら。
    字数は少なく、絵本のような本ですが、豊かな想像力があれば長い時間楽しむことができます。
    また、日本ではこんな気持ちのときにどういった言葉で伝えるだろうと考えてみたり、いろいろな楽しみ方が出来る本でした。

    この本の凄いところは、英語圏の人が訳せない言葉を訳したものを、日本語訳してるところですよね。
    まるで、言葉の長い旅のよう。
    イラストも本当に素敵で、字体は翻訳者の方が書かれたそう。その自体もとても可愛い。
    読んで、見て、考えて様々な角度から楽しむことの出来る本でした。
    読み進めていくと、誰でも一つは今の自分にぴったりの言葉が見つかるはずです。

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著者プロフィール

エラ・フランシス・サンダース(Ella Frances Sanders)

必然としてライターになり、偶然イラストレーターになった。現在はイギリスのバースに住んでいる。彼女の最初の本"Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words from Around the World"(邦題:翻訳できない世界のことば)はニューヨークタイムズのベストセラーになり、二作目の"The Illustrated Book of Sayings: Curious Expressions from Around the World"(邦題:誰も知らない世界のことわざ)とともに、8カ国語に翻訳されている。ホームページ:ellafrancessanders.com そのほかのソーシャルメディアにも出没。

「2019年 『ことばにできない宇宙のふしぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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