翻訳できない世界のことば

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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701042

感想・レビュー・書評

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  • Amazon USAベストセラー!
    じゃあ、「2」とか「3」とかは出来てるの?
    「ことわざ」はあったけど、「続編」はなかった。
    もう、そこから文化が違う。

    後書きによれば、「直接お会いしないままメールだけのやりとりをしてきたたくさんの人たち」に謝意が述べられている。そうか、そうやって作るんだ!著者は20代の可愛いお嬢さん。なんか、ひと世代どころか、三世代ぐらい離れている気がする。

    日本語で選ばれたのは「ボケっと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」。後半2つは納得感がある。前半2つは「ホントにそうか?」と思っちゃう。ボケっと、積ん読、やるでしょ?サラさん。やらないの?

    ボケっと‥‥なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち。
    →いや、ちゃうって!メールの相手はそうだったのかもしれないけど、必ずしも遠くは見ない。イラストにあるように、海やベンチは必要ない。「日本人が、何も考えないでいることに名前をつけるほど、それを大切にしているのはすてきだと思います」サラさん、まぁあえて言えば、大切にしているんかもしれないけど、サラさんも大切にしてるでしょ。英語でどう表現するのかは知らんけど。

    積ん読‥‥買ってきた本を、ほかのまだ読んでない本といっしょに、読まずに積んでおくこと。
    →えっと‥‥語釈はその通り。でもこれって、最近の造語だから。歴史は特別ないから。これから英語でもLBPU(lefting books pile up unread )とか造語されてもおかしくはないんじゃ?

    20代のサラさんの驚いた顔が目に浮かぶ。彼女の驚きがこの本を作ったんだろう。でも、ちょっとサラさん、忙しすぎるんじゃない?彼女の憧れの言葉がたくさんセレクトされてる気がする。

    もちろん、ポロンクセマ(フィンランド語)等々の「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離」(実質は約7.5キロ)というのは、お国柄が現れてとても興味深い。そんな言葉に満ちた、時々開いては、世界の広さを実感できる絵本でもあります(古本屋さんで約半額でゲットした)。

    本来なら、第2弾3弾4弾が作られても全然おかしくない。これって日本人の特性?

  • 読んでいてとても楽しい、魅力的な本。
    イラストレーターでもある著者が若い女性のせいか、どちらかと言うと情感豊かな言葉に偏った気もするが、それでも楽しい。
    翻訳できない言葉の奥に、その国の歴史や文化が垣間見えてくるし、その言葉を使う人々の暮らしに想像を巡らすという楽しみもある。
    その上、手描きの文字とイラストが暖色系で可愛らしい。
    イヌイットの棲み処である「イグルー」も、この著者の手にかかると妙に可愛い。

    日本語からは【木漏れ日】【ボケっと】【侘び寂び】【積読】がチョイスされ、
    その説明には舌を巻いた。
    いやぁ、侘び寂びをこんな風に解釈したことがなかったな。
    【生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと】
    ですと。・・しかも、読むとそんな気になってくるし・(笑)

    ブラジルには【愛する人の髪にそっと指を通すしぐさ】を名付ける【カフネ】という名詞があるという。なんと官能的な!ああ、クラクラしてくる。
    アルコール好きな国民が目に浮かぶ、【ウィスキーを一口飲む前に、上唇に感じる妙なムズムズする感じ】を表す【スグリーブ】というゲール語もあるのが笑える。

    同じく笑ったものは、マレー語の【ピサンサブラ】。
    これは、バナナを食べる時の所要時間であるらしい。大体2分だと言う。
    アラビア語の【グルファ】は【片方の手のひらに乗せられるだけの水の量】だと言うから、灼熱の地でその貴重な水で喉を潤す人が見えてきそうだ。

    傍らに置いてつれづれにページを開き、開いたところを読んで何度も楽しめる。
    イラストの日本語の文字に誤字が多いのが玉にキズ。
    言葉を扱った本なのだから、もう少し丁寧な編集が欲しかった。。

    それでも素敵な一冊だから、友人の誕生日プレゼントにしようかと考え中だ。
    最初と最後に寄せられた著者からのメッセージも、慎ましくてとても素敵。

    • nejidonさん
      けいたんさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!

      そうなのです、表紙も素敵なのですが中身も素敵なのですよ。
      難し...
      けいたんさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!

      そうなのです、表紙も素敵なのですが中身も素敵なのですよ。
      難しさは感じません。そこはご安心くださいませ。
      ストーリーはないので、開いた場所から読んで楽しめます。
      著者による説明文がとても詩的です。翻訳が良いのかな。
      イラストも可愛いですよ。その意味では女性向けかもしれませんね。
      ぜひぜひけいたんさんにもおすすめです!
      2017/05/18
    • アセロラさん
      こんにちは♪
      「積読」がどう表現されているのかが気になります(笑)同じような事をしている読書家は古今東西いると思うのですが(笑)

      「...
      こんにちは♪
      「積読」がどう表現されているのかが気になります(笑)同じような事をしている読書家は古今東西いると思うのですが(笑)

      「ピサンサブラ」はバナナを食べる時の所要時間!
      こういう概念はネイティブじゃないと難しいでしょうね~。
      でも、だからこそ、興味深い。
      日本で言うと、カップラーメンの出来上がる時間やウルトラマンが地球にいられる時間=3分。というところでしょうか。
      こういう常識も、別に学校で習った訳では無いのに、気が付けば普通に常識として備わっていて、たいていの人とは話が通じるのですから不思議ですね。
      2017/05/21
    • nejidonさん
      アセロラさん、こんにちは♪ コメントありがとうございます!
      たくさんのお気に入りをくださって、ご近所でしたらお礼に何か差し上げたいくらいで...
      アセロラさん、こんにちは♪ コメントありがとうございます!
      たくさんのお気に入りをくださって、ご近所でしたらお礼に何か差し上げたいくらいです(笑)

      「積読」という言葉のチョイスが意外で楽しいですよね。
      日本以外には無いということも面白さ倍増です。
      『買ってきた本を、他のまだ読んでいない本と一緒に読まずに積んでおくこと」だそうです。
      そうそう、こういうこと世界中の本好きさんがやっていそうです!
      「ピサンサブラ」もそうですが、その国の暮らしぶりが見えて来そうで、そこが楽しいのです。
      果たして「積読」で、他国のひとたちはどんな日本を想像したことやら、です。
      もともとはネット記事だったものが大人気となり、書籍化されたそうですよ。
      世界中に素敵な言葉がたくさんあり、それを味わうことが出来る一冊です。
      機会がありましたら、ぜひアセロラさんも手に取ってみてくださいませ。
      2017/05/23
  • 「リンゴ」=「apple」のように、1語対1語で英語に翻訳できない言葉を紹介する、絵本。

    この概念をひとつの単語にしている言語があるんだ、と興味深い。
    単純翻訳できない言葉の世界を表現する、筆者のイラストも素敵。

    日本語からは4単語がピックアップ。

    「積ん読」という言葉は、日本人としてもおもしろい単語だと思うので、納得のチョイス。

    「侘び寂び」の解釈には、違和感。

    「ボケっと」は「形容詞」となっているが、「副詞」ではないかと引っかかる。

    「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離(poronkusema)」は、生活習慣の違いを感じる。

    逆に「めちゃめちゃにもつれたケーブルのこと(kabelsalat)」は、国を超えても同じ問題が起きていることに、おかしみがある。

    「バナナを食べる時の所要時間(pisang zapra)」は、どういう場面(文脈)で使うのか、使用例が知りたくなった。

  • 翻訳できない世界のことばたちを、著者による新鮮な解釈で味わえる本。
    日本語も4つ、収録!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    見開き2ページで、1つのことばが紹介されているこちらの本。
    右ページに、ことば、著者によることばそのものの解釈とイラストが、左ページには何語のことばか、ことばの意味から感じた短い感想が書かれています。
    わたしはまず右ページから目を通し、左ページを読んでいきました。

    本書のなかには、4つの日本語が収録されています。
    その解釈を読んでいると、「あれ?この日本語は、こんな深い意味合いを含んでいただろうか…?」と思い、いままで自分は意味を間違えて捉えていただろうか?と不安になりました。
    しかし本編を読み終わったあと、訳者あとがきページの一番下に、「本書で取り上げられている単語の説明は、著者独自の感性により解釈されたものです。」(引用)という文章を見つけ、わたしが日本語の解釈に不安をもった理由がわかり、安心しました。
    そして著者の目を通った日本語がこんな意味に映ること、日本人にとっては当たり前のように使っているこの4つの日本語が、世界の人々からみると「翻訳できない」味わいをもったことばであることに驚きました。

    この本に載っていることばの意味は、すべて“エラ・フランシス・サンダース”という、ひとりの人を通して、伝えられたものです。
    辞書のように“正確な意味”をつきつめつつ読むよりも、著者の感覚的を通してことばを見つめながら読むほうが、とてもしっくりきます。
    ぜひ、「フィーカ」(スウェーデン語)のようなゆったりとした時間のなかで、「翻訳できない世界のことば」という本を、じっくり味わっていただければと思います。

    「さあて、今からフィーカしよ!」

  • 絵が可愛い、どちらかと言うと大人向けの絵本。

    ・MANGATA(SWEDISH)
    水面にうつった道のように見える月明かり

    ◎MERAKI(GREEK)
    料理など、なにかに自分の魂と愛情を、めいっぱい注いでいる

    ・KILIG(TAGALOG)
    おなかの中に蝶が舞っている気分。たいてい、ロマンチックなことや、すてきなことが起きたときに感じる

    ◎JUGAAD(HINDI) 
    最低限の道具や材料で、とにかくどうにかして、問題を解決すること

    ◎VACILANDO(SPANISH)
    どこへ行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする

    ・RESFEBER(SWEDISH)
    旅に出る直前、不安と期待が入り混じって、絶え間なく胸がドキドキすること

    ・IKTSUARPOK(INUIT)
    だれか来ているのではないかと期待して、何度も何度も外に出て見てみること

    ◎WALPEINSAMKEIT(GERMAN)
    森の中で一人、自然と交流するときのゆったりとした孤独感

  • 素敵な概念を伝える知らない言葉たち。
    言語自体知らないものもたくさんあった。
    知らない言葉なのに、共感できる不思議な体験をした。

    こんなに素敵な言葉が世界の各国にあるなら
    きっと世界は分かり合えるはずだと思えた。
    穏やかな気持ちになって、前向きになれる絵本。

    “ピサンザプラ” (バナナを食べる所要時間、マレー語)や、”クンマーシュペック” (悲しいベーコン、ドイツ語)など、その国ならではだなあと思う言葉もあり面白かった。
    日本語もいくつか紹介されてて、特に”ワビサビ”は、そんなふうな捉え方になるのか、と新たな発見だった。

    読み終わって、まさに”コンムオーベレ”(イタリア語)な気持ちになった。”キリグ”(タガログ語)な気分にもなった。

    作者はきっとすごい量の文献を調べたり、世界各国のたくさんの人に調査したりしたんだろうな。
    先住民の言葉や、消えようとしている言語の言葉までも拾い上げてて、その努力に脱帽。

    言語に関心のある友人に贈りたくなった。

  • 偶然聞いていたラジオ。
    【翻訳できない 世界のことば】
    その書名の響きが心に残る。
    図書館で検索をかけたら、ありました!
    貸し出し中だったので、さっそく予約!

    書名だけを聞いたので、どんな本かわからぬまま手に。
    著者は20代の女性。イラストレーター。

    他国の人に説明するのは難しい日本語はたくさんある。
    考えてみると、日本語に限ったことではないよね。
    日本語に簡単に訳せない世界のことばはたくさん!

    この本に掲載された翻訳できない言葉は51。
    知らなかった言語も。

    翻訳できない日本語って何だろう…?
    想像しながら読んでみる。

    この本では4つ。
    『木漏れ日』
    『ボケっと』
    『詫び寂び』
    そして、そして、『積ん読』

    『詫び寂び』は、説明できないと聞くことがあるので、うん、うんと思いましたが、『積ん読』は思いもよらなかった!
    20代の著者ならではの気もする。

    2ページに1語とイラスト。
    楽しみながら読みました。

    この本のカテゴリは何だろう?と思いAmazonを見てみると、”外国語学習法”、”旅行会話集”でした。
    ちょっと無理やり???

  • 異国の知らない言葉でも、その気持ちわかるなとか、こんな言葉が日本にもあったらいいのにという気持ちになり、世界とのつながりを感じた。
    日本特有の言葉が載っていて、普段使う言葉が日本独自の感覚という事を客観的に感じることができた。日本人らしい感覚を大事にしようと感じた。

  • 大人のための絵本!って感じ。
    カラフルなイラストが可愛くてペラペラ軽く読めるけど書いてあることは深い。(そして意外と分厚い)

    わたしは“ベゼリヒ”(オランダ語で「心が快い感覚」)と“レースフェーベル”(スウェーデン語で「旅行前の不安と期待のドキドキ」)を感じて生きていきたいし、
    毎朝の“ピサンザプラ”(マレー語で「バナナを食べる時の所要時間」)を大切に生活したい。

    世界にはこんなに美しい言葉が溢れてる。
    この本書いた人、よくこれだけ調べたな…
    と思うのと、翻訳も難しかっただろうなぁと思う。
    それに、挿絵(?)が凝っていて面白い。
    抽象的な意味やふわっとした言葉でも、それに合ったイラストで分かりやすい。

  • 邦題より原題が素敵だ。

    「Lost in Translation」

     ソフィア・コッポラの監督デビュー作(だったと思う)の映画と同じタイトル。この映画でスカーレット・ヨハンソンを知ってファンになったんじゃなかったかな。そんなところでも好きな映画の一つ。
     外国人が日本で(というか異国で)暮らす中、言葉の通訳で意思の疎通が上手くいかないということをモチーフにして、人と人のコミュニケーションのすれ違い、言葉だけでなく、相手の気持ち、自分の気持ちを伝えあうことですら、送る側受ける側で、けっして同じニュアンスで伝わっていないことを揶揄しているストーリーだった(と理解している)。

     そんなことを思い出しながら、本書で紹介されている51の単語をひとつひとつ眺める。言語の種類は30種類ほど。その言語ではひと言で表現できるが、他言語ではそのニュアンスが伝わらない、あるいは多くの言葉を費やさないと正しく理解してもらえない単語が並ぶ。

     例えば、スウェーデンには「水面に映った道のように見える月明り」をひと言で表す単語(mangata/モンガータ)がある。あぁ、素敵だなぁと思う。なぜ、その言葉が出来たのだろうかと、北欧の長い夜に想いが飛んでいく。バルト海、ボスニア湾には穏やかに波が立ち、月明かりが美しい道を海面に描いているのだろう。
     そしてその思いを補うように味わいあるイラストがひとつひとつの言葉に添えてある。

     そういえばと、ロシアに語学留学した後輩が日々の課題に追われ、寝る間も惜しんでロシアの小説を読み込んでいるときに出てきた未見の動詞を辞書で引いた時、「小さな女の子がスカートの裾を摘まんで片足を後ろに引いて膝を少しまげて会釈すること」という意味と知った瞬間、「んな単語、一生使うかー!」と辞書を壁に投げつけたという話を思い出したりもした(笑)
    (残念ながらロシア語で紹介されているのは別の単語だった)

     そう、言葉は民族の文化、思想だ。
     仏の小説家アルフォンス・ドーデの「最後の授業」で主人公は「一つの国民が奴隷となっても、その国民が自分の言葉を持っている限りは牢獄の鍵をもっているのと同じなのです」と語る。
     そんな”鍵”の数々が、この本の中には素敵なイラストと共に、陳列されている。

     日本語は、何が載っているかと言うと、
    「木洩れ日」「ぼけっと」「侘び寂び」、うーん、ちょっと違うような、というか、もっと他にあるような気もする。もう一つが「積ん読」。これんなんか、「積んでおく⇒積んどく⇒積ん読」というダジャレから来ているというニュアンスが果たして著者である20代イラストレータのEllaは理解していたかな、とちょっと心配になる。
     彼女のサイトはこちら。
    http://www.untranslatablebooks.com/
     素敵なイラストで、それを見ただけでも本書は手に取りたくなる。

     ゆっくりゆっくりと時間のある時に、チラチラと読みながら、その言語を使う人たちが、どんな想いでその単語を生み出したのか、どんな環境にあれば、その状況、感情を、ひとつの言葉で言い表したくなるのだろうかと想像を膨らませたいと思う。

     commuovere(涙ぐむような物語にふれたとき感動して胸が熱くなる・Italian)というほどのことはないが、いろんなことを考えさせてくれる心が豊かになる良書だ。

    ※カテゴリは悩んだけど「詩集」が似合いそう。

著者プロフィール

エラ・フランシス・サンダース
イギリス在住のライター、イラストレーター。著書に"Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words from Around the World"(邦題:翻訳できない世界のことば)、"The Illustrated Book of Sayings: Curious Expressions from Around the World"(邦題:誰も知らない世界のことわざ)、"Eating the Sun: Small Musing on a Vast Universe”(邦題:ことばにできない宇宙のふしぎ)がある。

「2021年 『もういちど そばに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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