翻訳できない世界のことば

制作 : 前田 まゆみ 
  • 創元社
4.05
  • (172)
  • (177)
  • (111)
  • (13)
  • (3)
本棚登録 : 2366
レビュー : 245
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701042

作品紹介・あらすじ

さまざまな場所で話題の一冊!
2019年7月4日にも、メンタリストDaiGoさん紹介で話題!

外国語のなかには、他の言語に訳すときに一言では言い表せないような各国固有の言葉が存在する。本書は、この「翻訳できない言葉」を世界中から集め、著者の感性豊かな解説と瀟洒なイラストを添えた世界一ユニークな単語集。言葉の背景にある文化や歴史、そしてコミュニケーションの機微を楽しみながら探究できる。小さなブログ記事が一夜にして世界中へ広まった話題の書。ニューヨークタイムズ・ベストセラー。世界7カ国で刊行予定。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 読んでいてとても楽しい、魅力的な本。
    イラストレーターでもある著者が若い女性のせいか、どちらかと言うと
    情感豊かな言葉に偏った気もするが、それでも楽しい。
    翻訳できない言葉の奥に、その国の歴史や文化が垣間見えてくるし、
    その言葉を使う人々の暮らしに想像を巡らすという楽しみもある。
    その上、手描きの文字とイラストが暖色系で可愛らしい。
    イヌイットの棲み処である「イグルー」も、この著者の手にかかると妙に可愛い。

    日本語からは【木漏れ日】【ボケっと】【侘び寂び】【積読】がチョイスされ、
    その説明には舌を巻いた。
    いやぁ、侘び寂びをこんな風に解釈したことがなかったな。
    【生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと】
    ですと。・・しかも、読むとそんな気になってくるし・(笑)

    ブラジルには【愛する人の髪にそっと指を通すしぐさ】を名付ける【カフネ】と
    いう名詞があるという。なんと官能的な!ああ、クラクラしてくる。
    アルコール好きな国民が目に浮かぶ、【ウィスキーを一口飲む前に、上唇に感じる
    妙なムズムズする感じ】を表す【スグリーブ】というゲール語もあるのが笑える。
    同じく笑ったものは、マレー語の【ピサンサブラ】。
    これは、バナナを食べる時の所要時間であるらしい。大体2分だと言う。
    アラビア語の【グルファ】は【片方の手のひらに乗せられるだけの水の量】だと
    言うから、灼熱の地でその貴重な水で喉を潤す人が見えてきそうだ。

    傍らに置いてつれづれにページを開き、開いたところを読んで何度も楽しめる。
    イラストの日本語の文字に誤字が多いのが玉にキズ。
    言葉を扱った本なのだから、もう少し丁寧な編集が欲しかった。。

    それでも素敵な一冊だから、友人の誕生日プレゼントにしようかと考え中だ。
    最初と最後に寄せられた著者からのメッセージも、慎ましくてとても素敵。

    • nejidonさん
      けいたんさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!

      そうなのです、表紙も素敵なのですが中身も素敵なのですよ。
      難し...
      けいたんさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!

      そうなのです、表紙も素敵なのですが中身も素敵なのですよ。
      難しさは感じません。そこはご安心くださいませ。
      ストーリーはないので、開いた場所から読んで楽しめます。
      著者による説明文がとても詩的です。翻訳が良いのかな。
      イラストも可愛いですよ。その意味では女性向けかもしれませんね。
      ぜひぜひけいたんさんにもおすすめです!
      2017/05/18
    • アセロラさん
      こんにちは♪
      「積読」がどう表現されているのかが気になります(笑)同じような事をしている読書家は古今東西いると思うのですが(笑)

      「...
      こんにちは♪
      「積読」がどう表現されているのかが気になります(笑)同じような事をしている読書家は古今東西いると思うのですが(笑)

      「ピサンサブラ」はバナナを食べる時の所要時間!
      こういう概念はネイティブじゃないと難しいでしょうね~。
      でも、だからこそ、興味深い。
      日本で言うと、カップラーメンの出来上がる時間やウルトラマンが地球にいられる時間=3分。というところでしょうか。
      こういう常識も、別に学校で習った訳では無いのに、気が付けば普通に常識として備わっていて、たいていの人とは話が通じるのですから不思議ですね。
      2017/05/21
    • nejidonさん
      アセロラさん、こんにちは♪ コメントありがとうございます!
      たくさんのお気に入りをくださって、ご近所でしたらお礼に何か差し上げたいくらいで...
      アセロラさん、こんにちは♪ コメントありがとうございます!
      たくさんのお気に入りをくださって、ご近所でしたらお礼に何か差し上げたいくらいです(笑)

      「積読」という言葉のチョイスが意外で楽しいですよね。
      日本以外には無いということも面白さ倍増です。
      『買ってきた本を、他のまだ読んでいない本と一緒に読まずに積んでおくこと」だそうです。
      そうそう、こういうこと世界中の本好きさんがやっていそうです!
      「ピサンサブラ」もそうですが、その国の暮らしぶりが見えて来そうで、そこが楽しいのです。
      果たして「積読」で、他国のひとたちはどんな日本を想像したことやら、です。
      もともとはネット記事だったものが大人気となり、書籍化されたそうですよ。
      世界中に素敵な言葉がたくさんあり、それを味わうことが出来る一冊です。
      機会がありましたら、ぜひアセロラさんも手に取ってみてくださいませ。
      2017/05/23
  • ブクログでフォローさせてもらってる方の本棚にあり、素敵なレビューに心惹かれ、読んでみました(^^)

    目次一覧をみたら、知らない国のことばがたくさん!
    タガログ語?ヤガン語?イディッシュ語 (?_?)???
    どこの国の言葉だろう、と一気に胸が躍ります。
    イラストも可愛くて、ページをめくるウキウキがとまりません(笑)。

    ああ、この言葉がいう感覚、わかる!使ってみたい(*^^*)と思えるものも。
    中には、「この言葉はどういう状況で使うんだろ?」と思うものもありました。
    例えばマレー語の『ピサンサブラ』。
    バナナを食べる時の所要時間を意味しています。
    「君のピサンサブラはどれくらいかかるんだい?」
    「今日は忙しいから30秒くらいかな!」
    みたいな会話で使うのかな?とか妄想していたら、大体みんな2分なんだそうです。
    ああ、浅はかな私の妄想…。
    未だにどういう状況で使うのか謎のままですが、現地の人にとってはこのバナナを食べる時の所要時間は大事なもので、それを他者と共通認識として持っておくために言語として残したんだ、ということはわかります。
    この本を読んで、住野よるさん『また、同じ夢を見ていた』の一説が頭に浮かんだんです。
    「みんな違う、でもみんな同じ」。
    日本語から紹介されている「ぼけっと」も、きっとどこかの国の人にとっては「?」という感覚でしょう。
    特に何も「してない」のに、ぼけっと「する」って確かに表現として不思議かも。
    でも「ぼけっと」する時間を大切にしている人の気持ちはわかってもらえるのだと思います。

    言葉は便利です。でも時に、人を傷つける道具にもなってしまいます。
    自分の感情を表す言葉を知らず、自分を、自分をとりまく周囲の人をも悩ませることもあるかもしれません。
    でも、それでも言葉によって救われるのだと思います。読書をしていてそう思います。
    言葉を知っていることが、自分を助けてくれる。相手との橋渡しをしてくれる。

    著者の冒頭のメッセージが素敵で、何度も繰り返し読みました。
    本当にいい本だなぁ。
    まさに、「コンムオーベレ」!(*^^*)

    • nejidonさん
      tsukiyomi777さん、はじめまして♪
      いつもたくさんのポチを下さり、またフォローもしていただいてありがとうございます。
      この本を...
      tsukiyomi777さん、はじめまして♪
      いつもたくさんのポチを下さり、またフォローもしていただいてありがとうございます。
      この本をお読みいただけたのですね!
      ねー、面白いですよね。
      言語や習慣・文化のみでなく、もしや思考や皮膚感覚まで世界中違うのではと思いました。
      そしてやはり「ピサンサブラ」ですよね・笑

      続編も出て欲しいなぁと、秘かに思っておりますがtsukiyomi777さんはいかがですか?
      でも取材だけでも相当大変そうなので、著者さんは「ボケっと」する暇もないでしょうね。
      また面白い本に出会えましたらご紹介くださいませ。
      2018/03/13
    • tsukiyomi777さん
      nejidonさん、はじめまして!
      コメント、ありがとうございます(^^)
      こちらこそ、いつもたくさんポチを頂いて、ありがとうございます...
      nejidonさん、はじめまして!
      コメント、ありがとうございます(^^)
      こちらこそ、いつもたくさんポチを頂いて、ありがとうございます(^^)

      実は…(笑)
      昨日レビューを登録した時に、nejidonさんに「読みましたー!」とコメントしようかなと思ったのですが、いちいちこんなことで連絡差し上げて良いものなの!?ご迷惑では!? (^^; と二の足を踏んでしまっていました。
      なので、コメントを頂けてとても嬉しかったのです!!!

      nejidonさんのレビューは温かくて、読むとほっこりするんです。
      この本私も読んでみたいなぁと思ったり、こんな風な見方もできるのかぁと思ったり。
      ブクログ始めて良かったと思える瞬間です(*^^*)

      >『言語や習慣・文化のみでなく、もしや思考や皮膚感覚まで世界中違う』
      確かに!そうかもしれません…!
      何が同じで、何が違うのか、やはり言葉を交わしていかなければわからないことなのですね。
      世界の広さを感じさせてくれる本です。

      「ピサンサブラ」、やはり印象深いですよね!
      調べてみたら、マレーシアではバナナ栽培が世界で最も古くから行われていたそうです。
      大切にされてるんですね。
      いつか使用法をマスターして、日常生活で使ってみたいです(笑)

      私も!続編希望です(^^)
      著者あとがきにホームページ(http://ellafrancessanders.com/)と『質問も受け付け中』と書かれていていたのでラブレター出そうかな?と思ってのぞいてみたのですが、本に掲載されていない言葉&イラストがたくさん掲載されていたのです!
      英語で書いているのでトホホ…とイラストだけ眺めて終わったのですが(笑)、これは、続編期待できるのではないでしょうか(*^^*)

      Nejidonさんのレビュー、これからも楽しみにしています(*^^*)
      どうぞよろしくお願いいたします!
      2018/03/14
  • 絵本のような装丁で情報量は決して多くないですが、ぱらぱらとページをめくる度に柔らかな色彩のイラストとともに新しい発見があります。
    少数精鋭で選ばれた言葉のなか、日本語は最多出場タイの4つが登場しています。作者の琴線に引っ掛かるものがあったのでしょう、中には本好きには耳が痛い単語も…。

    他の言語では訳せない言葉だからこそ、その国や地域特有の光景や文化が言葉から伝わってきます。景色を表現する言葉はつい想像を膨らませ、いつか足を運びたいと思うほど羨ましく感じるものもありました。また、日本固有の言葉に込められた文化や所作も大切にしていきたいと思います。
    ユニークな切り口でまとめられた本。他の言葉ももっと知りたい。

  • 他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない「翻訳できないことばたち」を世界中から集めて、素敵なイラストとともに1冊の本になった。
    日本語からは「ボケっと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」が。確かに翻訳できないが、この表現しかできないことばたち。
    「積ん読」になってたが、「ボケっと」しながら読んだ。「木漏れ日」の中にいるような温かさ、表現できない「わびさび」の世界を感じられる本。

  • 偶然聞いていたラジオ。
    【翻訳できない 世界のことば】
    その書名の響きが心に残る。
    図書館で検索をかけたら、ありました!
    貸し出し中だったので、さっそく予約!

    書名だけを聞いたので、どんな本かわからぬまま手に。
    著者は20代の女性。イラストレーター。

    他国の人に説明するのは難しい日本語はたくさんある。
    考えてみると、日本語に限ったことではないよね。
    日本語に簡単に訳せない世界のことばはたくさん!

    この本に掲載された翻訳できない言葉は51。
    知らなかった言語も。

    翻訳できない日本語って何だろう…?
    想像しながら読んでみる。

    この本では4つ。
    『木漏れ日』
    『ボケっと』
    『詫び寂び』
    そして、そして、『積ん読』

    『詫び寂び』は、説明できないと聞くことがあるので、うん、うんと思いましたが、『積ん読』は思いもよらなかった!
    20代の著者ならではの気もする。

    2ページに1語とイラスト。
    楽しみながら読みました。

    この本のカテゴリは何だろう?と思いAmazonを見てみると、”外国語学習法”、”旅行会話集”でした。
    ちょっと無理やり???

  • <イタリアの動詞>涙ぐむような物語にふれたとき、感動して、胸が熱くなる。⇒commuovere コンムオーベレ  イタリア語はわからないけど、本を読んでこういう風な気持ちになるのは万国共通なのね。うれしいことばだと思った。

    日本語の紹介されている言葉は
    <komorebi>木漏れ日と、<TSUNDOKU>積読。
    「積読」!! ははは…おかっしいよ、この本。素敵すぎ。

  • 「apple=りんご」のように1語対1語で翻訳できない言葉たちを、カラフルなイラストと共に紹介した大人の絵本。

    まさに「積ん読」してましたが、本日読了。
    先に続編の『誰も知らない世界のことわざ』を読んだのですが、個人的にはこちらの方が好みです。

    “それ”を表す言葉がある、ってことは、つまりその言語を話す文化圏の人にとっては“それ”が特別だということ。
    日本語の「ボケっと」を「何も考えないでいることに名前をつけて大切にしているのってすてきだね!」なんて言ってもらえると、何だか嬉しくなってしまいます。
    そんな、様々な言語の「すてき」を見つけていくのが本当に楽しい!

    読み終わるのが勿体なくなる1冊でした。

  • 邦題より原題が素敵だ。

    「Lost in Translation」

     ソフィア・コッポラの監督デビュー作(だったと思う)の映画と同じタイトル。この映画でスカーレット・ヨハンソンを知ってファンになったんじゃなかったかな。そんなところでも好きな映画の一つ。
     外国人が日本で(というか異国で)暮らす中、言葉の通訳で意思の疎通が上手くいかないということをモチーフにして、人と人のコミュニケーションのすれ違い、言葉だけでなく、相手の気持ち、自分の気持ちを伝えあうことですら、送る側受ける側で、けっして同じニュアンスで伝わっていないことを揶揄しているストーリーだった(と理解している)。

     そんなことを思い出しながら、本書で紹介されている51の単語をひとつひとつ眺める。言語の種類は30種類ほど。その言語ではひと言で表現できるが、多言語ではそのニュアンスが伝わらない、あるいは多くの言葉を費やさないと正しく理解してもらえない単語が並ぶ。

     例えば、スウェーデンには「水面に映った道のように見える月明り」をひと言で表す単語(mangata/モンガータ)がある。あぁ、素敵だなぁと思う。なぜ、その言葉が出来たのだろうかと、北欧の長い夜に想いが飛んでいく。バルト海、ボスニア湾には穏やかに波が立ち、月明かりが美しい道を海面に描いているのだろう。
     そしてその思いを補うように味わいあるイラストがひとつひとつの言葉に添えてある。

     そういえばと、ロシアに語学留学した後輩が日々の課題に追われ、寝る間も惜しんでロシアの小説を読み込んでいるときに出てきた未見の動詞を辞書で引いた時、「小さな女の子がスカートの裾を摘まんで片足を後ろに引いて膝を少しまげて会釈すること」という意味と知った瞬間、「んな単語、一生使うかー!」と辞書を壁に投げつけたという話を思い出したりもした(笑)
    (残念ながらロシア語で紹介されているのは別の単語だった)

     そう、言葉は民族の文化、思想だ。
     仏の小説家アルフォンス・ドーデの「最後の授業」で主人公は「一つの国民が奴隷となっても、その国民が自分の言葉を持っている限りは牢獄の鍵をもっているのと同じなのです」と語る。
     そんな”鍵”の数々が、この本の中には素敵なイラストと共に、陳列されている。

     日本語は、何が載っているかと言うと、
    「木洩れ日」「ぼけっと」「侘び寂び」、うーん、ちょっと違うような、というか、もっと他にあるような気もする。もう一つが「積ん読」。これんなんか、「積んでおく⇒積んどく⇒積ん読」というダジャレから来ているというニュアンスが果たして著者である20代イラストレータのEllaは理解していたかな、とちょっと心配になる。
     彼女のサイトはこちら。
    http://www.untranslatablebooks.com/
     素敵なイラストで、それを見ただけでも本書は手に取りたくなる。

     ゆっくりゆっくりと時間のある時に、チラチラと読みながら、その言語を使う人たちが、どんな想いでその単語を生み出したのか、どんな環境にあれば、その状況、感情を、ひとつの言葉で言い表したくなるのだろうかと想像を膨らませたいと思う。

     commuovere(涙ぐむような物語にふれたとき感動して胸が熱くなる・Italian)というほどのことはないが、いろんなことを考えさせてくれる心が豊かになる良書だ。

    ※カテゴリは悩んだけど「詩集」が似合いそう。

  • あぁ、なんて世界は言葉で満ち溢れているのだろう。
    てっきり辞書絵本のようなものを想像していたのだが、その言葉の意味だけでなく使っている人々や光景をも想像させる本であり、久しぶりに言葉を噛み締めつつ読み終えた。
    旅行本ではないのに、世界を旅した気分。
    絵も素敵だし、本好きな人にプレゼントしたくなった。

  • 他言語に簡単には翻訳できない言葉…

    そこには独特の文化が隠されているようでドキドキします。

  • その国や言語ならではの文脈を帯びたことばを浴びて、心洗われました。紹介されていたことばの中では、ヒンディー語のジュガールが一番好きかな。

  • 本書では世界各国の言語特有の、他言語に翻訳できない(りんご=appleのように1語対1語で訳せない)言葉を紹介している。

    「人間がものを考えるときは言語に頼らざるを得ない、言語で思考するのだ」といったことを何かで読んだことがある。言語は国や文化によって違う。ある人にとっては当たり前の感覚・概念を、他国の人は持っていなかったりする。でも、それを表す言葉を知っていれば、感覚・概念を共有することができる。言葉の奥深さを感じずにいられない。

    日本語の単語は「木漏れ日」、「ボケっと」、「侘び寂び」、「積ん読」の4単語があった。
    「侘び寂び」なんかは、日本人でもうまく説明するのが難しい。でも、言葉からイメージされるものがあって、多くの日本人はそれを共有している。言葉があるから、そのイメージを意識することができ、人と共有することができる。言葉を多く知ることは文化を知ることに繋がる。


    気に入ったものをいくつか書いてみる。
    どれも説明を読めば、「ああ、確かにそういう感覚あるな」と思う。でもその感覚を示す言葉を持っていないので、ふとした時に咄嗟に口に出すのは難しい。
    そうかと思えば、なんでこんな言葉が誕生したんだろうと思うようなニッチなシチュエーションのものもあって面白い。

    ・commuovere(イタリア語、動詞)
    →涙ぐむような物語に触れたとき、感動して胸が熱くなる。
     面白い本を読んだ時、こんな言葉で表現できたら素敵かもしれない。

    ・mangata(スウェーデン語、名詞)
    →水面に映った道のように見える月明かり。
     美しい夜の情景がイメージされる。

    ・pisanzapra(マレー語、名詞)
    →バナナを食べる時の所要時間。
     どんな状況で使うんだろう?

    ・hiraeth(ウェールズ語、名詞)
    →帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても。

    ・tima(アイスランド語、動詞)
    →時間やお金があるのに、それを費やす気持ちの準備ができていない。

    ・kummerspeck(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「悲しいベーコン」。食べ過ぎが続いて太ること。
     「最近ストレスでkummerspeckだよ」とか使うのか?

    ・ubuntu(ズールー語、名詞)
    →本来は、「あなたの中に私は私の価値を見出し、私の中にあなたはあなたの価値を見出す」という意味で、「人の優しさ」を表す。
     Linuxディストリビューションの名前だと思っていた。こんな語源があったとは。
     
    ・resfeber(スウェーデン語、名詞)
    →旅に出る直前、不安と期待が入り混じって、絶え間なく胸がドキドキすること。
     遠足の前日みたいだ。

    ・drachenfutter(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「龍のえさ」。夫が悪い振る舞いを妻に許してもらうために贈るプレゼント。
     ドイツ人の夫たちの尻に敷かれぶりがイメージされて面白い。

    ・sgriob(ゲール語、名詞)
    →ウイスキーを一口飲む前に、上唇に感じる、妙なムズムズする感じ。
     ウイスキーを飲むことがないのでわからないけど、そういうもの?

    ・kabelsalat(ドイツ語、名詞)
    →直訳すると「ケーブル・サラダ」。めちゃめちゃにもつれたケーブルのこと。
     自分も日常で使えそうな気がする。

    --------------------------------------------------
    前に読んだ『甘えの構造』で、「甘え」という言葉は日本語特有のものだとあった。この言葉が日本人の精神構造に大きく影響を与えていて、日本人はそれを誇ってもいいとまで述べていた。
    「甘え」を英語に訳そうとするとどんな単語があるのか調べてみると、「depend on」、「rely on」、「spoil」、「sweet」、「optimistic」、「underestimate」、「easy」、etc…。多くの単語がある。「甘え」はこれらを一語で併せ持つ、奥深い言葉だ。外国人はこの感覚を持っていない。それと同じように、日本人も外国人の感覚を持っていない。

  • 私たちはいま、伝えることを急ぎすぎるのかもしれない。簡単に伝えられてしまうから。上っ面の言葉だけがどんどんと量産されてあふれて、大事な人を傷つけてしまう。本当に大事にしたい人には、ほんとうにゆっくりと時間をかけて、あなたが大切なんですよ、と伝えたい。

    さて本書は色鮮やかなイラストと短い言葉の翻訳がセットになっていて、一単語につき見開き2ページと、じっくり言葉を味わえるようになっている。

    それぞれがまるで絵はがきのようにすてき。一枚ずつちぎって大切な人に贈りたいくらい。素敵な本です。お家が素敵になること間違いなしのインテリア風の本。

    中身はユーモアたっぷりのあるある!と言ってしまうことから、ああーね、と遠い目になる哀愁系、その言葉いつ使うねんみたいなお国柄ものまで幅広く、心の辞書が豊かになります。

  • 「忘れかけていた何かを思い出すものであったり、または今まではっきりと表現したことのなかった考えや感情に言葉をあたえるものであれば」という始まり方をする本書は、世界の、「翻訳できない」言葉をとりあげるものだが、とりあげている言葉たちのなんと美しいことか。たまに面白いものもあるけど。
    読んでいて、「あー、これは」って昔を思い出したり、今の感情が表現できそうだったりすると楽しいけど、それこそトレップヴェルテルだったり。
    イラスト本で、コメントも相まって楽しくまとまってます。

  • タイトル通りの本。
    日本語からもいくつか選ばれている。
    よくある弁別性の高さ、すなわちイヌイットの雪の名や日本の雨の名、砂漠の民のラクダの名というよりは、より複雑なニュアンスを含む状態を一語に集約してあらわす言葉が選ばれている。その翻訳ならぬ解説もドライな訳語ではなく、そのニュアンスを捉えるように解釈込みで書かれていておもしろい。

  • 英語にはないけれど、他の国の言語だとまさにその一言でその気持ちや情景を表現できる言葉集。言葉の選び方も、コメントもいいし、なによりイラストが素敵。
    日本語もいくつか選ばれていて、なるほどーこれは便利な良い言葉だったんだなーと改めて気づかされた。「木漏れ日」はたしかに素敵なことば。だけど、「ぼけっと」は「ぼーっと」の方が、意味の説明文にはより合致してるような気がする。

  • 諸外国の言葉(含む日本語)で翻訳できない言葉を解説する一冊。

    大人向けの絵本のような感じで、日本語も“わびさび”や”木漏れ日”、“積ん読”など入っており、とても面白かった。

  • 忘れかけていたなにかを思いだすものであったり、または今まではっきりと表現したことのなかった考えや感情に言葉をあたえるものであれば、というコンセプト。
    ことばには限界があると同時に、限りない可能性が広がっている。
    いまの自分の気持ちはこれだと感じたり、くすっと笑ったり、その国らしさみたいなものを感じたりして楽しめる。

  • Waldeinsamkeit(ドイツ語)
    NAZ(ウルドゥー語)
    木漏れ日
    BOKETTO
    日本語も良い言葉があるなぁ〜

  • 一言では翻訳できない世界の言葉を翻訳。
    日本語であれば、「木漏れ日」「ぼけっと」「積読」「わびさび」の4つがエントリー。
    何故そのチョイスなんだろうと疑問に思いましたが、「木漏れ日」という言葉は風情があって良いですね。今まで考えたこともなかったですが、改めて日本語の美しさに気づくことができました。

    ドラマ「砂の塔」の岩ちゃんセリフに出てくる「モーンガータ」という言葉を検索していて、この本に出会いました。「モーンガータ」水面に映った道のように見える月明かり」という意味だそうです。とてもロマンチックな言葉だと思いました。
    他には、ビザンブラという言葉が印象深い。意味は「バナナを食べるときの所要時間」という言葉もありました。日本にいながら、その国の人々の生活においてバナナがどれほど重要で馴染みの深いものなのかと考えるとクスりと笑えてしまいました。逆に、自分が感じていることは、世界共通なんだなあと思う言葉もちらほら。
    字数は少なく、絵本のような本ですが、豊かな想像力があれば長い時間楽しむことができます。
    また、日本ではこんな気持ちのときにどういった言葉で伝えるだろうと考えてみたり、いろいろな楽しみ方が出来る本でした。

    この本の凄いところは、英語圏の人が訳せない言葉を訳したものを、日本語訳してるところですよね。
    まるで、言葉の長い旅のよう。
    イラストも本当に素敵で、字体は翻訳者の方が書かれたそう。その自体もとても可愛い。
    読んで、見て、考えて様々な角度から楽しむことの出来る本でした。
    読み進めていくと、誰でも一つは今の自分にぴったりの言葉が見つかるはずです。

全245件中 1 - 20件を表示

著者プロフィール

エラ・フランシス・サンダース(Ella Frances Sanders)

必然としてライターになり、偶然イラストレーターになった。現在はイギリスのバースに住んでいる。彼女の最初の本"Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words from Around the World"(邦題:翻訳できない世界のことば)はニューヨークタイムズのベストセラーになり、二作目の"The Illustrated Book of Sayings: Curious Expressions from Around the World"(邦題:誰も知らない世界のことわざ)とともに、8カ国語に翻訳されている。ホームページ:ellafrancessanders.com そのほかのソーシャルメディアにも出没。

「2019年 『ことばにできない宇宙のふしぎ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

翻訳できない世界のことばのその他の作品

翻訳できない世界のことば Kindle版 翻訳できない世界のことば エラ・フランシス・サンダース

エラ・フランシス・サンダースの作品

翻訳できない世界のことばを本棚に登録しているひと

ツイートする