翻訳できない世界のことば

  • 創元社
4.07
  • (395)
  • (377)
  • (227)
  • (39)
  • (6)
本棚登録 : 6414
感想 : 509
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701042

作品紹介・あらすじ

さまざまな場所で話題の一冊!
2019年7月4日にも、メンタリストDaiGoさん紹介で話題!

外国語のなかには、他の言語に訳すときに一言では言い表せないような各国固有の言葉が存在する。本書は、この「翻訳できない言葉」を世界中から集め、著者の感性豊かな解説と瀟洒なイラストを添えた世界一ユニークな単語集。言葉の背景にある文化や歴史、そしてコミュニケーションの機微を楽しみながら探究できる。小さなブログ記事が一夜にして世界中へ広まった話題の書。ニューヨークタイムズ・ベストセラー。世界7カ国で刊行予定。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • Amazon USAベストセラー!
    じゃあ、「2」とか「3」とかは出来てるの?
    「ことわざ」はあったけど、「続編」はなかった。
    もう、そこから文化が違う。

    後書きによれば、「直接お会いしないままメールだけのやりとりをしてきたたくさんの人たち」に謝意が述べられている。そうか、そうやって作るんだ!著者は20代の可愛いお嬢さん。なんか、ひと世代どころか、三世代ぐらい離れている気がする。

    日本語で選ばれたのは「ボケっと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」。後半2つは納得感がある。前半2つは「ホントにそうか?」と思っちゃう。ボケっと、積ん読、やるでしょ?サラさん。やらないの?

    ボケっと‥‥なにも特別なことを考えず、ぼんやりと遠くを見ているときの気持ち。
    →いや、ちゃうって!メールの相手はそうだったのかもしれないけど、必ずしも遠くは見ない。イラストにあるように、海やベンチは必要ない。「日本人が、何も考えないでいることに名前をつけるほど、それを大切にしているのはすてきだと思います」サラさん、まぁあえて言えば、大切にしているんかもしれないけど、サラさんも大切にしてるでしょ。英語でどう表現するのかは知らんけど。

    積ん読‥‥買ってきた本を、ほかのまだ読んでない本といっしょに、読まずに積んでおくこと。
    →えっと‥‥語釈はその通り。でもこれって、最近の造語だから。歴史は特別ないから。これから英語でもLBPU(lefting books pile up unread )とか造語されてもおかしくはないんじゃ?

    20代のサラさんの驚いた顔が目に浮かぶ。彼女の驚きがこの本を作ったんだろう。でも、ちょっとサラさん、忙しすぎるんじゃない?彼女の憧れの言葉がたくさんセレクトされてる気がする。

    もちろん、ポロンクセマ(フィンランド語)等々の「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離」(実質は約7.5キロ)というのは、お国柄が現れてとても興味深い。そんな言葉に満ちた、時々開いては、世界の広さを実感できる絵本でもあります(古本屋さんで約半額でゲットした)。

    本来なら、第2弾3弾4弾が作られても全然おかしくない。これって日本人の特性?

  • とても装丁の素敵な可愛らしい本です。
    ニューヨークタイムスベストセラー。
    AmazonUSAベストセラー。

    訳者あとがきより
    「翻訳できない世界のことば」というタイトルから、読者のみなさんは、最初どんな本を想像されたでしょうか?原書のタイトルは「LOSUTO IN TRANSLTION」、「翻訳できない」は、厳密にいうと「りんご=apple」のように1語対1語で翻訳できない、という意味です。
    その中には、日本語の「ボケっと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」もふくまれていました。日本人にとっては当たり前の言葉ですが、著者のみずみずしい感性によって、それらの言葉の内包する意味の広がりやドラマ性に焦点が当てられています。
    日本語以外の言語の言葉についても、新鮮なおどろきによって、一つ一つがすくい上げられていることは、想像に難くありません。それぞれの言葉がまるで映画のワンシーンのように投げかけてくれる物語の切れ端を、読者のみなさんと共有できれば本望です。(以下略)


    52のことばがとても素敵な作者のエラ・フランシス・サンダースのイラストと共にページの見開きに1語ずつ載っていますが、その中から私が特に素敵だと思った言葉を引用します。

    ○gezellig(ヘゼリヒ)…オランダ語・形容詞
    単に居心地よいだけでなくて、ポジティブであたたかい感情。物理的に快いという以上の「心」が快い感覚。たとえば愛する人と共に時をすごすような。

    ○hiraeth(ヒラエス)…ウェールズ語・名詞
    帰ることができない場所への郷愁と哀切の気持ち。過去に失った場所や、永遠に存在しない場所に対しても。

    ○木漏れ日(コモレビ)…日本語・名詞
    木々の葉のすきまから射す日の光。木漏れ日。

    ○vacilando(ヴァシランド)…スペイン語・動詞
    どこへ行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする。

    ○原語表記不明(マミラピンアタパイ)…ヤガン語・名詞
    同じことを望んだり考えたりしている2人の間で、何も言わずにお互い了解していること。(2人とも、言葉にしたいと思っていない)

    ○forelsket(フォレルスケット)…ノルウェー語・形容詞
    語れないほど幸福な恋におちている

    • まことさん
      ahddamsさん♪
      私はエラ・フランシス・サンダースの「誰も知らない世界のことわざ」も気になります。
      ahddamsさん♪
      私はエラ・フランシス・サンダースの「誰も知らない世界のことわざ」も気になります。
      2023/01/05
    • ahddamsさん
      まことさん
      実はことわざの方を入手したてで(^^;;、またレビューしたいと思います。
      まことさん
      実はことわざの方を入手したてで(^^;;、またレビューしたいと思います。
      2023/01/05
    • まことさん
      ahddamsさん。
      レビュー楽しみにしています(*^^*)。
      ahddamsさん。
      レビュー楽しみにしています(*^^*)。
      2023/01/05
  • ブク友さんのご紹介で気になっていた1冊。
    これまで世界の様々な国に住んできた著者(イラストレーター、刊行の2016年時点で20代)が拾い集めた、翻訳できない言葉集。
    頑張れば一言で置き換えられるかもしれないが、各国特有の事情(その言葉の裏やニュアンスetc.)までは言い表せない。だから読書中は、一語一語を噛み締めるように音読した。

    絵本のような構造で、各言葉は見開き2ページで紹介されている。左には著者のコメント、右には言葉とその意味・そして可愛らしいタッチのイラスト。あっという間に読破できそうだが、お正月のゆったりとした時間の中で敢えてじっくり鑑賞するのも一興である。
    著者のワードチョイスも音読したくなるほどに詩的で、さすが言葉がテーマの本書に見合っている。謝辞にまで見入ったのは初めてかも。

    同調できたのはイタリア語の”Commuovere”(コンムオーベレ)「涙ぐむような物語に触れた時、感動して胸が熱くなること」。
    これはブク友の皆さまであれば共感度が高いのでは…?特に著者のコメントにあった「(そのような物語を)何日も思い出しては泣いたり…」というのが自分にはあるある過ぎて、思わず読む手を止めてしまった。買い物や乗車中に、感動した本や映画について思い出し泣きしてしまうアレは”Commuovere”だったのか…!
    「失礼…Commuovereが来てしまって…(ぐすん)」早速今日からアウトプットしよっ!笑

    文化と言語は切り離せないというのは本当で、「ザ・お国柄!」な言葉もちらほら。
    マレー語の「バナナを食べるときの所要時間」とかフィンランド語の「トナカイが休憩なしで移動できる距離」なんて、そこでしか通用しなさそう。スペイン語の「場所より経験重視の旅」も流石コロンブスを送り出した国というべきか、彼らが口にすると妙に説得力がある。

    本書には載っていなかったが、日本語の「せつない」も翻訳できない言葉だと思う。純ジャパニーズの自分ですら、口頭で説明しにくいし。
    しかしウェールズ語に”Hiraeth”(ヒラエス)という類似した言葉があって、意味は「帰ることができない(/過去に失った)場所への郷愁と哀切の気持ち」なんだとか。ポルトガル語の”Saudade”(サウダーデ)「失ったものへの郷愁」も然り。
    日本語以外にも心の機微を上手く捉えた一語があるとは、いざという時分かり合えそうだ。

    自国では使い道がなさそうな表現からいつか経験していた物事や気持ちまで。著者もきっと初耳で新鮮だったり心に刺さったりして、思わず書き留めたんだろうな。
    かの高野秀行氏は自身の著書で「どの言語も美しい」と曰っている。住む場所が変わっても、そこでしか出会えない日常とそこから生まれる珠玉の言葉から目を離してはいけないってことか。

    • ahddamsさん
      akikobbさん
      コメント有難うございます。こちらこそ本年もどうぞよろしくお願い致します!

      有難うございます^ ^♪
      タイトルもさること...
      akikobbさん
      コメント有難うございます。こちらこそ本年もどうぞよろしくお願い致します!

      有難うございます^ ^♪
      タイトルもさることながら装丁も可愛く繊細で気になりますよね。プレゼントされたいのも物凄く分かります…!ちなみに今手元にあるのは図書館の蔵書です(泣)

      コンムオーベレをはじめ、どの言葉も思わず声に出したくなります^ ^勿論一度では暗記できないので、やはり手元に置いておきたいですね笑
      日本語も幾つか紹介されていて、外国の方にはそのように響いているのかという発見にも繋がりました。
      同じ著者で『誰も知らない世界のことわざ』というのもあるみたいなので、またそちらも覗いてみたいと思います!
      2023/01/02
    • まことさん
      ahddamsさん♪新年明けましておめでとうございます。。

      いつも、いいね!ありがとうございます。

      私も今、この本を読んでいます。
      素敵...
      ahddamsさん♪新年明けましておめでとうございます。。

      いつも、いいね!ありがとうございます。

      私も今、この本を読んでいます。
      素敵な本ですよね!
      次は、この本をレビューするつもりです。
      それでは、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
      ahddamsさんにとって、素晴らしい年になりますように!
      2023/01/03
    • ahddamsさん
      まことさん
      あけましておめでとうございます^ ^
      こちらこそ、いつもいいね!有難うございます。
      とても素敵です(〃ω〃)未知の言葉や彼女のイ...
      まことさん
      あけましておめでとうございます^ ^
      こちらこそ、いつもいいね!有難うございます。
      とても素敵です(〃ω〃)未知の言葉や彼女のイラストが編み出す世界観に引き込まれていました。まことさんのレビューを楽しみにしています♪
      今年も宜しくお願い致します。お互い充実したブックイヤーにしていきましょー!
      2023/01/03
  • いやぁ、おもしろい。
    図書館で借りて読んだけど、購入したくなった。
    人にもプレゼントしたくなる絵本。、

    過去にブクログのランキングで1位になるなどして、口コミで広がったこともあるらしい。
    今回どこでこの本を知ったのかは忘れてしまったけど、素晴らしい出会いに感謝。

    エッカート・トールという人は「言葉は、真実を、人の心がうつしだすわずかなものに減少させてしまう」と言っている。しかし、著者はそれに賛同せず、「言葉は、わたしたちにとても多くのものを与えてくれる」と考えた。そして、この絵本が生まれた。
    ユーモアの詰まった説明とかわいらしい絵、そして、言葉への愛が満ちている。キラキラ輝く言葉の玉手箱のような絵本。

    「翻訳できない世界のことば」。正確には「世界中の翻訳することが少し困難なその国特有の独特な意味を持つことば」という感じか。

    例えば、イタリア語の「コンムオーベレ」という言葉。「涙ぐむような物語にふれたとき、感動して胸が熱くなる」という意味の動詞。

    スウェーデン語の「フィーカ」
    日々の仕事の手を休め、おしゃべしたり休憩したりするため集うこと。コーヒーを飲んだりお菓子を食べたりして数時間…スウェーデンの風習だそうです。

    追加でWikiで調べたら、…フィーカは「デートでないデート」としての重要な社会的機能を持つ。すなわち、「デート」に行くことは大きな出来事とされるが、「フィーカに行く」(ta en fika)ことはハードルが低くカジュアルな状況であり、それ自体が恋愛の意味を示さない。フィーカで合うことに人々が眉をつり上げることや、「カップル」と疑うことはない。
    とのこと。なんだか素敵だ。

    ピサンザプラ(マレー語)。
    バナナを食べる所要時間…っていったい何分よ?

    ポロンクセマ(フィンランド語)
    トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離。…っていったい何キロよ?

    最も笑ったのは、「クンマーシュペック」(ドイツ語)。
    直訳すると「悲しいベーコン」。食べ過ぎが続いて太ることだそうです。

    「ウブントゥ」(ズールー語)
    「あなたの中に私は私の価値を見出し、私の中にあなたはあなたの価値を見出す」という意味から転じて「人のやさしさ」を意味する言葉。
    →深い!確かに、「やさしさ」ってそういう意味かもしれない。

    ナーズ(ウルドゥー語)
    誰かに無条件に愛されることによって生まれてくる、自信と心の安定
    →あ〜あ、ほしいよね、これ。
    でも、欲張っちゃいけない。

    こんな感じで52語。
    日本の言葉も4語エントリー。
    「木漏れ日」「侘び寂び」はなるほど無難なセレクション。
    しかし「積読」?「ボケっと」?こういうユルいセンスもなかなかいいですね。

  • 読んでいてとても楽しい、魅力的な本。
    イラストレーターでもある著者が若い女性のせいか、どちらかと言うと情感豊かな言葉に偏った気もするが、それでも楽しい。
    翻訳できない言葉の奥に、その国の歴史や文化が垣間見えてくるし、その言葉を使う人々の暮らしに想像を巡らすという楽しみもある。
    その上、手描きの文字とイラストが暖色系で可愛らしい。
    イヌイットの棲み処である「イグルー」も、この著者の手にかかると妙に可愛い。

    日本語からは【木漏れ日】【ボケっと】【侘び寂び】【積読】がチョイスされ、
    その説明には舌を巻いた。
    いやぁ、侘び寂びをこんな風に解釈したことがなかったな。
    【生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出すこと】
    ですと。・・しかも、読むとそんな気になってくるし・(笑)

    ブラジルには【愛する人の髪にそっと指を通すしぐさ】を名付ける【カフネ】という名詞があるという。なんと官能的な!ああ、クラクラしてくる。
    アルコール好きな国民が目に浮かぶ、【ウィスキーを一口飲む前に、上唇に感じる妙なムズムズする感じ】を表す【スグリーブ】というゲール語もあるのが笑える。

    同じく笑ったものは、マレー語の【ピサンサブラ】。
    これは、バナナを食べる時の所要時間であるらしい。大体2分だと言う。
    アラビア語の【グルファ】は【片方の手のひらに乗せられるだけの水の量】だと言うから、灼熱の地でその貴重な水で喉を潤す人が見えてきそうだ。

    傍らに置いてつれづれにページを開き、開いたところを読んで何度も楽しめる。
    イラストの日本語の文字に誤字が多いのが玉にキズ。
    言葉を扱った本なのだから、もう少し丁寧な編集が欲しかった。。

    それでも素敵な一冊だから、友人の誕生日プレゼントにしようかと考え中だ。
    最初と最後に寄せられた著者からのメッセージも、慎ましくてとても素敵。

    • nejidonさん
      けいたんさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!

      そうなのです、表紙も素敵なのですが中身も素敵なのですよ。
      難し...
      けいたんさん、こんにちは(^^♪
      コメントありがとうございます!

      そうなのです、表紙も素敵なのですが中身も素敵なのですよ。
      難しさは感じません。そこはご安心くださいませ。
      ストーリーはないので、開いた場所から読んで楽しめます。
      著者による説明文がとても詩的です。翻訳が良いのかな。
      イラストも可愛いですよ。その意味では女性向けかもしれませんね。
      ぜひぜひけいたんさんにもおすすめです!
      2017/05/18
    • アセロラさん
      こんにちは♪
      「積読」がどう表現されているのかが気になります(笑)同じような事をしている読書家は古今東西いると思うのですが(笑)

      「...
      こんにちは♪
      「積読」がどう表現されているのかが気になります(笑)同じような事をしている読書家は古今東西いると思うのですが(笑)

      「ピサンサブラ」はバナナを食べる時の所要時間!
      こういう概念はネイティブじゃないと難しいでしょうね~。
      でも、だからこそ、興味深い。
      日本で言うと、カップラーメンの出来上がる時間やウルトラマンが地球にいられる時間=3分。というところでしょうか。
      こういう常識も、別に学校で習った訳では無いのに、気が付けば普通に常識として備わっていて、たいていの人とは話が通じるのですから不思議ですね。
      2017/05/21
    • nejidonさん
      アセロラさん、こんにちは♪ コメントありがとうございます!
      たくさんのお気に入りをくださって、ご近所でしたらお礼に何か差し上げたいくらいで...
      アセロラさん、こんにちは♪ コメントありがとうございます!
      たくさんのお気に入りをくださって、ご近所でしたらお礼に何か差し上げたいくらいです(笑)

      「積読」という言葉のチョイスが意外で楽しいですよね。
      日本以外には無いということも面白さ倍増です。
      『買ってきた本を、他のまだ読んでいない本と一緒に読まずに積んでおくこと」だそうです。
      そうそう、こういうこと世界中の本好きさんがやっていそうです!
      「ピサンサブラ」もそうですが、その国の暮らしぶりが見えて来そうで、そこが楽しいのです。
      果たして「積読」で、他国のひとたちはどんな日本を想像したことやら、です。
      もともとはネット記事だったものが大人気となり、書籍化されたそうですよ。
      世界中に素敵な言葉がたくさんあり、それを味わうことが出来る一冊です。
      機会がありましたら、ぜひアセロラさんも手に取ってみてくださいませ。
      2017/05/23
  •   日本語には外国語に、うまく翻訳できない言葉がある。一言では言い表せない、ニュアンスがうまく伝わらないような言葉だ。逆に日本語に訳すことが難しい言葉もある。本書では、日本語の例として「木漏れ日」や「ボケっと」、などが挙げられている。英語だと、"compliance" とか "media" などが思いつく。
     
     本書で取り上げている言葉は、数多くあるが 、それが使われている土地の気候風土や、民族の歴史文化から影響を受けていると思う。

     言語は単なる記号としての「言葉」でなく、そこに暮らしている人々の歴史やメンタリティそのものなのだろう。

  • 絵本コーナーに立ち寄る機会があり、気になっていたので手に取ってみた。

    日本語からは、コモレビ、ボケット、わびさび、ツンドクが選抜されていた。
    言葉はその国の文化や生活と密接に結びついているということを改めて感じた。
    絵のタッチが優しくて、個人的に好みなのも良かった。
    ちなみに私がいちばん気に入ったのはウルドゥー語のNAZ意味は、だれかに無条件に愛されることによって生まれてくる、自信と心の安定。
    小学生くらいの子供と一緒に読むと楽しめそう。

  • 他国語には翻訳できない、その国ならではの言いまわし。
    言葉は訳せなくても、その気持ちは分かるなあという言葉たち。

    美しい情景、素敵な心の持ち方を表すもの。
    ❐MANGATA 
     スウェーデン語「水面に映った道のように見える月明かり」
     日本語でも水の上に顕われる情景を表す言葉は、水面、水泡、澪、水脈…などなどあるけれど、月明かりの道という言葉が出てくるのは美しいですね。

    ❐MERAKI
     ギリシャ語「料理などなにかに自分の魂と愛情を目いっぱい注いでいる」
     心がこもっている、という状態ですね。

    ❐JUGAAD
     ヒンディー語「最低限の道具や材料でとにかくどうにかして問題を解決すること」
     ギリギリの状態ですが、できたら格好いいですね。

    ❐UBUNTU
    ズールー語「あなたの中に私は私の価値を見出し、私の中にあなたはあなたの価値を見出す⇒人の優しさ」
     人権標語にそのまま使えそう。

    ❐NAZ
    ウルドゥー語「だれかに無条件に愛されることによって生まれてくる自信と心の安定」


    その土地ならではの価値観や情景による言葉もあります。
    ❐GURFA
     アラビア語「片方の手のひらに載せられるだけの水の量」
     日本語では少ない量だと思いそうですが、アラビア語だと貴重という意味なのでしょうか。
     「湯水の如く」も日本語だと惜しげなくどんどん使うという意味ですが、アラビア語だと大切に扱うとなりそうな気がします。

    ❐PORONKUSEMA
     フィンランド語「トナカイが休憩なしで疲れず移動できる距離」
     トナカイが出てくるところがフィンランド。どういった場合に使うのだろう。

    ❐PISANZAPRA
     マレー語「バナナを食べる所要時間」
     日本だと「○○でご飯が食べられる」のような言いまわしかと思ったけれど(見事なホームランとかで「これでご飯が何杯でも」みたいな言い方しますよね)、
    「マレーの民話では人喰い鬼は昼間はバナナの木に隠れている」ということなので、うっかりしていると危険だよ、という意味もあるのか??


    身につまされる言葉。
    ❐AKIHI
     ハワイ語「だれかに道をしえてもらい、歩き始めたとたん教わったばかりの方向を忘れたとき」
     仕事でいえば、指示を受けたけれど、完成図や本質が分からないから、具体的なやり方が浮かばないような時でしょうか。

    ❐TIMA
     アイスランド語「時間やお金があるのに、それを潰す気持ちの準備ができていない」
     急に分不相応なものを手に入れてしまったときの戸惑いのようなものか。準備は必要ですね。

    日本語からはこちら。
    ❐KOMOREBI 木漏れ日「木々の葉の隙間から射す日の光」
    ❐BOKETTO ボケっと「なにも特別なことを考えず、ぼんやり遠くを見ている気持ち。日本人が何も考えないでいることに名前を付けるほどそれを大事にしていることは素敵なこと」
    ❐WABISABI 侘び寂び「生と死の自然のサイクルを受け入れ、不完全さの中にある美を見出す」
    ❐TSUNDOKU 積ん読「買ってきた本を読まずに積んでおく」
    積ん読に関しては、とりあえず積んでおく、というダジャレのようなニュアンスだと分かるのだろうか…

    • やまさん
      淳水堂さん
      こんばんは。
      淳水堂さん
      こんばんは。
      2019/11/09
    • goya626さん
      素晴らしい本だ!読みたい。
      素晴らしい本だ!読みたい。
      2019/11/11
    • 淳水堂さん
      goya626さん こんにちは
      いらしてくださってありがとうございます。
      言葉も、イラストも、紹介文も良いですよ☺
      goya626さん こんにちは
      いらしてくださってありがとうございます。
      言葉も、イラストも、紹介文も良いですよ☺
      2019/11/11
  • 【感想】
    世界のさまざまな言語から、翻訳できない言葉を集めて一冊にまとめた本。
    タイトルには「翻訳できない世界のことば」とあるが、正確には、翻訳できないというよりも、その状況を「一単語」で表現できる言語が他にない、という意味である。複雑な状況を明確に定義する言葉、一見使いどころの無さそうな慣用句などがたくさん収録されており、「こんな状況を一言で言えてしまうのか!」と読んでいてどんどん楽しくなってしまった。

    例えば、マレー語の「pisang zapra(ピサンザプラ)」。意味は「バナナを食べるときの所要時間」である。バナナを主食としていない我々からしてみれば、「食べるスピードは人によって違うだろ!」とか「何でバナナ限定なんだ!」というツッコミを入れたくなってしまうが、それは野暮なもんだ。言葉ってそういうものだから。
    そもそも、日本語にも似たような表現がある。「腹八分」がその類だろう。満腹の状態の80%、つまりやや控えめに食べるという意味だが、外国語圏の人からしてみれば「80%は人によって違うだろ!」とか「何を食べるかによって変わってくるだろ!」とか言いたくなるかもしれない。しかし、言葉ってそういうものなのだ。

    言葉(母語)は、それが使われている文化と切っても切れない関係にある。
    例えば、アマゾン奥地に住む少数民族「ピダハン」には、数字を表す概念がない。彼らは非常に原始的であり、実際に見たものしか信じない。それは「論より証拠」の範疇を超えており、文法と思考そのものが「実際に見た」ことしか語れなくなっているのだ。そのため、ピダハン語に未来完了形はなく、「左右」「数字」「色」といった、原風景を抽象化する概念も存在しない。

    言語が文化を規定するならば、様々な「翻訳できない言葉」を眺めるうちに、その国の文化を何となく想像することもできる。
    本書に出てくるヤガン語の「マミラピンアタパイ」。これは同じことを望んだり、考えたりしている二人の間で、何も言わずに、お互い了解していること、である。
    この言葉が面白いのは、2人とも、それを言葉にしたいと思っていないことにある。だから(?)「マミラピンアタパイ」は綴りが不明なのだ。それをわざわざ文字に起こさなくても、2人の間で考えを共有していれば、暗黙のうちにコミュニケーションは成り立つ。
    私はヤガン語を話す人々がどんな文化圏にいるか知らないが、このような言葉を使う人たちは、きっと普段から言葉少なで分かり合っているのではないか。自分の感情を口に出す代わりに、身振りや態度で気持ちを示し、それとなく相手と分かり合っていく、そんな以心伝心によるコミュニティを築いているのではないだろうか。ついそんな想像をしてしまう。

    さて、気になるのは我らが日本代表。
    日本語からは
    ・木漏れ日
    ・ボケっと
    ・侘び寂び
    ・積ん読

    の4つが翻訳できない言葉に選出された。
    「詫び寂び」の概念が外国語に無いのはなんとなくわかるが、それ以外の3つはとても意外。木漏れ日って日本語にしかない表現なのか…と少し驚いてしまった。

    この中で自分が心に染み入ったのは、「ボケっと」のページに書かれた解説文である。

    「日本人が、なにも考えないでいることに名前をつけるほど、それを大切にしているのはすてきだと思います」

    なるほど思ってみれば、日本人は、昔から空間を切り取ったり光を遮ったりして、「間」や「陰翳」を見出すことに情熱を捧げてきた。主役である「物体」や「光」よりも、そこに隠された「無」や「陰」を愛でる。引き算こそが日本の文化であり、それが言葉にも表れている。
    やはり、言葉と文化は切っても切れない関係にある。そう改めて感じた。

    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
    【面白いと思った単語集】
    オランダ語「gezellig(ヘゼリヒ)」
    単に居心地よいだけでなくて、ポジティブであたたかい感情。物理的に快いという以上の「心」が快い感覚。たとえば、愛する人と共にときを過ごすような。

    タガログ語「kilig(キリグ)」
    おなかの中に蝶が舞っている気分。たいてい、ロマンチックなことや、素敵なことが起きたときに感じる。

    マレー語「pisang zapra(ピサンザプラ)」
    バナナをたべるときの所要時間。

    スペイン語「vacilando(ヴァシランド)」
    どこへ行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする。

    オランダ語「struisvogelpolitiek(ストラウスフォーヘルポリティーク)」
    直訳すると「ダチョウの政治」。悪いことが起きているのに、いつもの調子で、まったく気づいていないふりをすること。

    ヤガン語「表記不明―マミラピンアタパイ」
    同じことを望んだり、考えたりしている二人の間で、何も言わずに、お互い了解していること。(2人とも、言葉にしたいと思っていない)

    アラビア語「ヤーアブルニー」
    直訳すると「あなたが私を葬る」。その人なしでは生きられないから、その人の前で死んでしまいたいという美しく暗い望み。

    フィンランド語「poronkusema(ポロンクセマ)」
    トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離。(約7.5キロ)

    ドイツ語「drachenfutter(ドラッヘンフッター)」
    直訳すると「龍のエサ」。夫が、悪いふるまいを妻に許してもらうために贈るプレゼント。

    ポルトガル語「saudade(サウダージ)」
    心のなかになんとなく、ずっと持ち続けている、存在しないものへの渇望や、または、愛し失った人やものへの郷愁。

    カリブ・スペイン語「cotisuelto(コティスエルト)」
    シャツの裾を、絶対ズボンの中に入れようとしない男の人。

    サンスクリット語「カルパ」
    宇宙的なスケールで、時が過ぎていくこと。

  • 「リンゴ」=「apple」のように、1語対1語で英語に翻訳できない言葉を紹介する、絵本。

    この概念をひとつの単語にしている言語があるんだ、と興味深い。
    単純翻訳できない言葉の世界を表現する、筆者のイラストも素敵。

    日本語からは4単語がピックアップ。

    「積ん読」という言葉は、日本人としてもおもしろい単語だと思うので、納得のチョイス。

    「侘び寂び」の解釈には、違和感。

    「ボケっと」は「形容詞」となっているが、「副詞」ではないかと引っかかる。

    「トナカイが休憩なしで、疲れず移動できる距離(poronkusema)」は、生活習慣の違いを感じる。

    逆に「めちゃめちゃにもつれたケーブルのこと(kabelsalat)」は、国を超えても同じ問題が起きていることに、おかしみがある。

    「バナナを食べる時の所要時間(pisang zapra)」は、どういう場面(文脈)で使うのか、使用例が知りたくなった。

  • 翻訳できない日本語として「木漏れ日」や「わびさび」もあった。
    なるほど、これらが翻訳できないんだ…と思うと世界でもいろいろなことばがあり面白い。

    イラストも癒される。
    何気なくページをめくるのに最適。

  • 大概の物には何かしらの名前がつけられているが、物以外の概念や様子も言葉で表されている。
    地球上にはいろんな民族があり、いろんな言葉を発明している。
    その民族ならではの言葉から、歴史や文化や思想や生活様式を感じることができる。

    日本語のオノマトペも他国語に訳すのはむつかしそうだが、本書で扱っているのは1つの単語で示されるもの。
    チョイスされたのは全部で52の言葉。なのに日本語からは4つも選ばれている。

    ネタバレになるが、2つだけ面白いなと思った言葉。
    ・KARELU 肌についた締め付けるもののあと。 日本語にあっても良さそうですよね。
    ・MURR-MA 足だけを使って水の中で何かを探すこと。 日常的にそんな生活をしているのだなと思う。

    こんなことを考えながら読んでました、という言葉3つ。
    ・UBUNTU Linuxに接したことのある人なら知ってることば。でもこんな意味があったとは知らなかった。Linuxのありかたそのものだ。
    ・WABI-SABI(侘び寂び) 日本人なら知ってる言葉だけど、きっと誰もうまく説明できないのでは。こういう感覚なのかという説明に脱帽。
    ・MAMIHLAPINATAPAI これは"阿吽の呼吸"に近いと感じたが、静と動の違いがあるし、チョット違うか。

    面白かった。絵もシックで優しいし、誰もが楽しめると思います。

  • 翻訳の不可能性について楽しく味わうなら本書かなと思って手に取ってみた。日本語からは、木漏れ日、ぼけっと、侘び寂び、積読が掲載。

    多和田葉子さんが『エクソフォニー』で語っていた、言語による世界の切り取り方の違いに触れることで、世界がちょっと変わった見え、それ自体が詩である、ということを一冊でたっぷり味わえる。

    私はMÅNGATA(スウェーデン語)、MERAKI(ギリシャ語)、TREPVERTER(イディッシュ語)、RESFEBER(スウェーデン語)、'AKIHI(ハワイ語)、GOYA(ウルドゥ語)、NAZ(ウルドゥ語)、WALDENINSAMKEIT(ドイツ語)が好きでした。

    お国柄が出てるな〜と思うものや、クスッと楽しめる単語も多かった。

  • 翻訳できない世界のことばたちを、著者による新鮮な解釈で味わえる本。
    日本語も4つ、収録!

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    見開き2ページで、1つのことばが紹介されているこちらの本。
    右ページに、ことば、著者によることばそのものの解釈とイラストが、左ページには何語のことばか、ことばの意味から感じた短い感想が書かれています。
    わたしはまず右ページから目を通し、左ページを読んでいきました。

    本書のなかには、4つの日本語が収録されています。
    その解釈を読んでいると、「あれ?この日本語は、こんな深い意味合いを含んでいただろうか…?」と思い、いままで自分は意味を間違えて捉えていただろうか?と不安になりました。
    しかし本編を読み終わったあと、訳者あとがきページの一番下に、「本書で取り上げられている単語の説明は、著者独自の感性により解釈されたものです。」(引用)という文章を見つけ、わたしが日本語の解釈に不安をもった理由がわかり、安心しました。
    そして著者の目を通った日本語がこんな意味に映ること、日本人にとっては当たり前のように使っているこの4つの日本語が、世界の人々からみると「翻訳できない」味わいをもったことばであることに驚きました。

    この本に載っていることばの意味は、すべて“エラ・フランシス・サンダース”という、ひとりの人を通して、伝えられたものです。
    辞書のように“正確な意味”をつきつめつつ読むよりも、著者の感覚的を通してことばを見つめながら読むほうが、とてもしっくりきます。
    ぜひ、「フィーカ」(スウェーデン語)のようなゆったりとした時間のなかで、「翻訳できない世界のことば」という本を、じっくり味わっていただければと思います。

    「さあて、今からフィーカしよ!」

  • 文章はあまり深く考えず、綺麗なイラストを楽しませてもらった。

  • 絵が可愛い、どちらかと言うと大人向けの絵本。

    ・MANGATA(SWEDISH)
    水面にうつった道のように見える月明かり

    ◎MERAKI(GREEK)
    料理など、なにかに自分の魂と愛情を、めいっぱい注いでいる

    ・KILIG(TAGALOG)
    おなかの中に蝶が舞っている気分。たいてい、ロマンチックなことや、すてきなことが起きたときに感じる

    ◎JUGAAD(HINDI) 
    最低限の道具や材料で、とにかくどうにかして、問題を解決すること

    ◎VACILANDO(SPANISH)
    どこへ行くかよりも、どんな経験をするかということを重視した旅をする

    ・RESFEBER(SWEDISH)
    旅に出る直前、不安と期待が入り混じって、絶え間なく胸がドキドキすること

    ・IKTSUARPOK(INUIT)
    だれか来ているのではないかと期待して、何度も何度も外に出て見てみること

    ◎WALPEINSAMKEIT(GERMAN)
    森の中で一人、自然と交流するときのゆったりとした孤独感

  • 絵本のような装丁で情報量は決して多くないですが、ぱらぱらとページをめくる度に柔らかな色彩のイラストとともに新しい発見があります。
    少数精鋭で選ばれた言葉のなか、日本語は最多出場タイの4つが登場しています。作者の琴線に引っ掛かるものがあったのでしょう、中には本好きには耳が痛い単語も…。

    他の言語では訳せない言葉だからこそ、その国や地域特有の光景や文化が言葉から伝わってきます。景色を表現する言葉はつい想像を膨らませ、いつか足を運びたいと思うほど羨ましく感じるものもありました。また、日本固有の言葉に込められた文化や所作も大切にしていきたいと思います。
    ユニークな切り口でまとめられた本。他の言葉ももっと知りたい。

  • 他の国のことばではそのニュアンスをうまく表現できない「翻訳できないことばたち」を世界中から集めて、素敵なイラストとともに1冊の本になった。
    日本語からは「ボケっと」「積ん読」「木漏れ日」「わびさび」が。確かに翻訳できないが、この表現しかできないことばたち。
    「積ん読」になってたが、「ボケっと」しながら読んだ。「木漏れ日」の中にいるような温かさ、表現できない「わびさび」の世界を感じられる本。

  • 可愛くて、クスッと笑っちゃう面白い言葉がたくさんありました。
    日本語も何個かあり、その中でも『TSUNDOKU積ん読』は、「あ、私のことだ。」とドキっとしました。(笑)

  • いつも何気なく言葉にしている気持ちや感情が、別の言語では単語として存在していることにびっくりしたのと、おもしろい!と思った。
    私は小さい頃から親の仕事の都合で引越しを繰り返しているので、過去に住んでいてもう戻れない場所での思い出を寝る前や夕方の空をベランダで見ているときにふっと頭から思い浮かぶことがよくある。私はこれを「虚無感」「切ない」というような言葉で表現していたが、まさかこの状況にぴったりなhiraethというウェールズ語の言葉があるなんて、驚いた。同時に、言葉が成り立つということは共感できるような体験をした人が何人もいるということだと思うので、そういう意味ではホッとした。
    他にも、友達のおかげ?であんまり関わったことのない男子とちょっと話せたのに、あとから気の利いた言葉が頭から出てきて、あのときこういえばよかったのに!!と後悔した。これもまさにtrepverterだ!と思った。
    そして最後に、翻訳できない世界のことばからその国の人の性格や歴史的な時代背景がちょっとだけ垣間見えたことがなによりおもしろかった。私たちは「ぼけっと(もしくはぼーっと)」という言葉を使うけれど実際は他の言語にはないらしい。「ぼーっと」は何もしないでいること、つまり古くから和歌に親しんできた日本人が、景色や身の回りを見て、歌をつくるうえで、「ぼーっとすること」に価値を見出したからこそこの単語ができたということを意味しているのだと思う。どの言葉にも、そういうユニークな物語があるなんて、ちょっとロマンチックな気がした。

  • 私は常日頃から、伝えたいことをできるだけそのまま言葉にできるように、というのを心掛けています。そのために会話をするときは、ゆっくりゆっくり、言葉を選んで話します。読書をするのも、私が感じるものを言い表してくれる言葉をより多く蓄えるためだったりもします。

    「言葉は、真実を、人の心がうつしだすわずかなものに減少させてしまう」 のだとしても、やっぱり言葉にすることを諦めたくない。だって、言葉にすることでしか、私たちは互いの想いを伝え合うことができないから。

    本を読んでいると、「この表現、日本語でしか表せないよな、、日本人で良かった、、」と思うことがよくあります。けれど、この本で海外の言葉にも触れて、「日本語以外にもいい言語、たくさんあるやん!」ってなりました。言葉って素敵。

  • 絵本じゃないと思うけど、絵がとても素敵なので「大人向け絵本」に分類しました。
    以前から欲しかったのを中古サイトで見つけたので購入。
    日本語では「こもれび(名詞)」「ぼけっと(副詞)」「わびさび(名詞)」などが紹介されています。
    恋にまつわる微妙な気持ちや、トナカイが休憩なしで疲れず移動できる距離を表すフィンランド語の名詞とか、絶滅寸前のオーストラリアの少数民族の言葉とか、興味深い言語が紹介されています。

  • 素敵な概念を伝える知らない言葉たち。
    言語自体知らないものもたくさんあった。
    知らない言葉なのに、共感できる不思議な体験をした。

    こんなに素敵な言葉が世界の各国にあるなら
    きっと世界は分かり合えるはずだと思えた。
    穏やかな気持ちになって、前向きになれる絵本。

    “ピサンザプラ” (バナナを食べる所要時間、マレー語)や、”クンマーシュペック” (悲しいベーコン、ドイツ語)など、その国ならではだなあと思う言葉もあり面白かった。
    日本語もいくつか紹介されてて、特に”ワビサビ”は、そんなふうな捉え方になるのか、と新たな発見だった。

    読み終わって、まさに”コンムオーベレ”(イタリア語)な気持ちになった。”キリグ”(タガログ語)な気分にもなった。

    作者はきっとすごい量の文献を調べたり、世界各国のたくさんの人に調査したりしたんだろうな。
    先住民の言葉や、消えようとしている言語の言葉までも拾い上げてて、その努力に脱帽。

    言語に関心のある友人に贈りたくなった。

  • 基本的には必要のない言葉は作らないよな、と思う。翻訳できない言葉は、つまりはその国、その住人は必要だと思ったけれど、他の国の人はそうは思わなかった言葉、つまり両者の文化的な違いということなんだろう。同じ人間なのに、不思議だ。
    本書は面白かったけれど、情緒的な一面からしか見ていないから(絵本だし)、へー面白いな、から発展していかない。好みからするともっと「研究」して、不思議に迫ってほしかった。

    「悪いことをした夫が妻に許してもらうために差し出すプレゼント」に名前があるのは笑った。ドイツ語だそうだ。

  • 偶然聞いていたラジオ。
    【翻訳できない 世界のことば】
    その書名の響きが心に残る。
    図書館で検索をかけたら、ありました!
    貸し出し中だったので、さっそく予約!

    書名だけを聞いたので、どんな本かわからぬまま手に。
    著者は20代の女性。イラストレーター。

    他国の人に説明するのは難しい日本語はたくさんある。
    考えてみると、日本語に限ったことではないよね。
    日本語に簡単に訳せない世界のことばはたくさん!

    この本に掲載された翻訳できない言葉は51。
    知らなかった言語も。

    翻訳できない日本語って何だろう…?
    想像しながら読んでみる。

    この本では4つ。
    『木漏れ日』
    『ボケっと』
    『詫び寂び』
    そして、そして、『積ん読』

    『詫び寂び』は、説明できないと聞くことがあるので、うん、うんと思いましたが、『積ん読』は思いもよらなかった!
    20代の著者ならではの気もする。

    2ページに1語とイラスト。
    楽しみながら読みました。

    この本のカテゴリは何だろう?と思いAmazonを見てみると、”外国語学習法”、”旅行会話集”でした。
    ちょっと無理やり???

  • 異国の知らない言葉でも、その気持ちわかるなとか、こんな言葉が日本にもあったらいいのにという気持ちになり、世界とのつながりを感じた。
    日本特有の言葉が載っていて、普段使う言葉が日本独自の感覚という事を客観的に感じることができた。日本人らしい感覚を大事にしようと感じた。

  • 大人のための絵本!って感じ。
    カラフルなイラストが可愛くてペラペラ軽く読めるけど書いてあることは深い。(そして意外と分厚い)

    わたしは“ベゼリヒ”(オランダ語で「心が快い感覚」)と“レースフェーベル”(スウェーデン語で「旅行前の不安と期待のドキドキ」)を感じて生きていきたいし、
    毎朝の“ピサンザプラ”(マレー語で「バナナを食べる時の所要時間」)を大切に生活したい。

    世界にはこんなに美しい言葉が溢れてる。
    この本書いた人、よくこれだけ調べたな…
    と思うのと、翻訳も難しかっただろうなぁと思う。
    それに、挿絵(?)が凝っていて面白い。
    抽象的な意味やふわっとした言葉でも、それに合ったイラストで分かりやすい。

  • 「apple=りんご」のように1語対1語で翻訳できない言葉たちを、カラフルなイラストと共に紹介した大人の絵本。

    まさに「積ん読」してましたが、本日読了。
    先に続編の『誰も知らない世界のことわざ』を読んだのですが、個人的にはこちらの方が好みです。

    “それ”を表す言葉がある、ってことは、つまりその言語を話す文化圏の人にとっては“それ”が特別だということ。
    日本語の「ボケっと」を「何も考えないでいることに名前をつけて大切にしているのってすてきだね!」なんて言ってもらえると、何だか嬉しくなってしまいます。
    そんな、様々な言語の「すてき」を見つけていくのが本当に楽しい!

    読み終わるのが勿体なくなる1冊でした。

  • 邦題より原題が素敵だ。

    「Lost in Translation」

     ソフィア・コッポラの監督デビュー作(だったと思う)の映画と同じタイトル。この映画でスカーレット・ヨハンソンを知ってファンになったんじゃなかったかな。そんなところでも好きな映画の一つ。
     外国人が日本で(というか異国で)暮らす中、言葉の通訳で意思の疎通が上手くいかないということをモチーフにして、人と人のコミュニケーションのすれ違い、言葉だけでなく、相手の気持ち、自分の気持ちを伝えあうことですら、送る側受ける側で、けっして同じニュアンスで伝わっていないことを揶揄しているストーリーだった(と理解している)。

     そんなことを思い出しながら、本書で紹介されている51の単語をひとつひとつ眺める。言語の種類は30種類ほど。その言語ではひと言で表現できるが、他言語ではそのニュアンスが伝わらない、あるいは多くの言葉を費やさないと正しく理解してもらえない単語が並ぶ。

     例えば、スウェーデンには「水面に映った道のように見える月明り」をひと言で表す単語(mangata/モンガータ)がある。あぁ、素敵だなぁと思う。なぜ、その言葉が出来たのだろうかと、北欧の長い夜に想いが飛んでいく。バルト海、ボスニア湾には穏やかに波が立ち、月明かりが美しい道を海面に描いているのだろう。
     そしてその思いを補うように味わいあるイラストがひとつひとつの言葉に添えてある。

     そういえばと、ロシアに語学留学した後輩が日々の課題に追われ、寝る間も惜しんでロシアの小説を読み込んでいるときに出てきた未見の動詞を辞書で引いた時、「小さな女の子がスカートの裾を摘まんで片足を後ろに引いて膝を少しまげて会釈すること」という意味と知った瞬間、「んな単語、一生使うかー!」と辞書を壁に投げつけたという話を思い出したりもした(笑)
    (残念ながらロシア語で紹介されているのは別の単語だった)

     そう、言葉は民族の文化、思想だ。
     仏の小説家アルフォンス・ドーデの「最後の授業」で主人公は「一つの国民が奴隷となっても、その国民が自分の言葉を持っている限りは牢獄の鍵をもっているのと同じなのです」と語る。
     そんな”鍵”の数々が、この本の中には素敵なイラストと共に、陳列されている。

     日本語は、何が載っているかと言うと、
    「木洩れ日」「ぼけっと」「侘び寂び」、うーん、ちょっと違うような、というか、もっと他にあるような気もする。もう一つが「積ん読」。これんなんか、「積んでおく⇒積んどく⇒積ん読」というダジャレから来ているというニュアンスが果たして著者である20代イラストレータのEllaは理解していたかな、とちょっと心配になる。
     彼女のサイトはこちら。
    http://www.untranslatablebooks.com/
     素敵なイラストで、それを見ただけでも本書は手に取りたくなる。

     ゆっくりゆっくりと時間のある時に、チラチラと読みながら、その言語を使う人たちが、どんな想いでその単語を生み出したのか、どんな環境にあれば、その状況、感情を、ひとつの言葉で言い表したくなるのだろうかと想像を膨らませたいと思う。

     commuovere(涙ぐむような物語にふれたとき感動して胸が熱くなる・Italian)というほどのことはないが、いろんなことを考えさせてくれる心が豊かになる良書だ。

    ※カテゴリは悩んだけど「詩集」が似合いそう。

  • 子どもと一緒に。
    世界の言葉に興味を持つきっかけとして面白い切り口。

    大学の第二言語で学ぶような言葉から、アフリカの民族まで様々。もちろん日本語も。
    数は決して多くないけれど、言葉の意味や、なぜその言葉があるのかに考えを巡らせると、
    自然とそれぞれの国の文化や国民性のようなものが感じられて興味深い。

    例えば、世界の言葉で、それを日本語に翻訳しようとすると様々な形容詞を使ったりする。
    それが1つの言葉として存在するのって、その国の人々がそれを大切にしている証だな、とか。
    他のシリーズも読んでみたい。

全509件中 1 - 30件を表示

著者プロフィール

エラ・フランシス・サンダース
イギリス在住のライター、イラストレーター。著書に"Lost in Translation: An Illustrated Compendium of Untranslatable Words from Around the World"(邦題:翻訳できない世界のことば)、"The Illustrated Book of Sayings: Curious Expressions from Around the World"(邦題:誰も知らない世界のことわざ)、"Eating the Sun: Small Musing on a Vast Universe”(邦題:ことばにできない宇宙のふしぎ)がある。

「2021年 『もういちど そばに』 で使われていた紹介文から引用しています。」

エラ・フランシス・サンダースの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
カレン・ラッセル
スティーヴン・ミ...
瀧本 哲史
植本一子
アンジェラ・アッ...
本谷 有希子
川上未映子
土橋 正
エラ・フランシス...
伊坂 幸太郎
三浦 しをん
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×