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  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701202

作品紹介・あらすじ

――3.11と子どもの本の作家たち。現代を代表する絵本作家たちが描く、震災をめぐる或る日の記憶。*『翻訳できない世界のことば』のイラストブックシリーズ。*現代を代表する絵本作家たちによる、絵とエッセイを収録。*初のエッセイ書き下ろしとなる作家も多数。【イラストとエッセイ】(五十音順)阿部海太/荒井良二/飯野和好/石黒亜矢子/植田真/及川賢治/大畑いくの/加藤休ミ/軽部武宏/きくちちき/坂本千明/ささめやゆき/スズキコージ/高山なおみ/tupera tupera 亀山達矢/寺門孝之/中川学/中野真典/nakaban/長谷川義史/ハダタカヒト/原マスミ/樋口佳絵/穂村弘/牧野千穂/町田尚子/ミロコマチコ/村上慧/本橋成一/本秀康/ヨシタケシンスケ/吉田尚令【編者より】(前書きより抄録)僕は絵本編集者だ。2002年からこの仕事をしているのだが、2011年3月11日以降、出る絵本の傾向が変わったと感じるようになった。生命力にあふれたもの、逆に死をテーマにしたものも増え、以前なら「怖い」といって避けられたようなインパクトのある絵や物語を描く絵本作家も多くなった。僕が日々感じる「楽しい」も「嬉しい」も「悲しい」も「寂しい」も、その根っこはあの日を境に大きく変わった。読者の中にも見えない、でも消えない感覚がうずき始めたのかもしれない。そして、絵本作家はそのことをより切実に抱え込んで、絵と言葉を紡ぎ始めたように思えるのだ。§この本は32人の絵本作家による、ごくごく個人的なエピソードの集積で出来ている。それは一見あなたには関係ない、もしかしたら些細に思える、あの日にまつわる、ある日の物語。しかし、読み進めるうちに、いつしか自分を重ねる瞬間がやってくるかも知れない。自分の物語を誰かに聞いて欲しい。近しい誰かの物語を知りたい。他の誰かが抱えているものを、気持ちを、共有することはきっと出来ない。それでも、みんなあの日から同じ地続きの日々を生きている。何かを乗り越えたりせず、ただただ抱えて生きている。§あの日にまつわる、個人的な、他人にとっては些細な物語。そんな物語を沢山聞いてみたい。どこからでも、この本を開けば、誰かのそんな瞬間の物語に出会う事ができる。そしてそれを、心強く思う日があるかも知れない。あの日からの絵と言葉の物語は、僕やあなたと同じ日々を歩んでいるはずだ。

感想・レビュー・書評

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  • 東日本大震災のあの日を、あの日からの日々を32人の絵本作家が絵と文で綴る。
    あの日からの出来事に対し、たとえ被災者でなくても何も考えなかった人はいないだろう。
    表現者としての絵本作家が、何を想いどう描いたのか知りたいと手に取った。

    ミロコマチコさんの文章
    「新最後の不安の中で、絵を一枚描くごとに、生きることについて深く考えるようになった。
    わたしは生きものとしてなんて弱いんだろうと、愕然とした。」印象的だった。

  • 2011年3月11日、あの日を境にして、平穏な日常生活で感じていた「楽しい」「嬉しい」や「悲しい」「寂しい」の気持ちが大きく変容し、怯えと恐怖の入り混じった消えない感覚が疼きはじめ、東日本大震災以降に出版された絵本の傾向も変わり始める。 あの日、あの時期、32人の絵本作家たちは、どうしていたのか、何を考えていたのか、そしてどんな時にあの日々のことを思い出すのだろうか・・・という問いかけから生れた震災の記憶をたどった、思い出したくないけれど、忘れてはいけない、すべての人への胸せまる絵本です。

  • 震源地からは離れた千葉県に住んでいますが、液状化で自宅が全壊しました。
    あえて言えば「そのとき」はまだ良かったのです。ひずみは3年ほどたったころに、家族の中で一番柔らかい心を持っている人に現れました。家族の一人ひとりがみんな少しずつ無理をしていました。その人は一番がんばらなくていい立場でした。だから誰もが、その人にあからさまではない八つ当たりをしてしまっていたんです。蝕んでごめんねと言葉にするのはあまりに身勝手でできません。
    大きすぎる不公平な災厄は、直接の被災者とは言えなくても、波紋のように人を当事者にしていきます。でもつい比較してしまって、こんなのは大したことじゃないと思おうとする気持ちが働くので、自分が重たい荷物を持ってしまったことに気づくのが遅れて、あっちこっち傷めたりします。
    そんなふうに気づかないことにしてしまっていた荷物を、この絵本は肯定してくれます。重たかったよねと共感してくれます。
    今だから、ほしい本です。読んでよかったです。

  • 3.11を忘れない。子どもの本に関わる人、主に絵本作家たちの思いを絵と文で。

  • 震災をめぐる或る日の記憶32名

    阿部海太
    荒い良二
    飯野和好
    石黒亜矢子
    植田真
    及川賢治
    大畑いくの
    加藤休ミ
    軽部武宏
    きくちちき
    坂本千明
    ささめやゆき
    スズキコージ
    高山なおみ
    亀山達矢
    寺門孝之
    中川学
    中野真典
    nakaban
    長谷川善史
    ハダタカヒト
    原マスミ
    樋口佳絵
    種村博
    牧野千穂
    町田尚子
    ミロコマチコ
    村上慧
    本橋成一
    本秀康
    ヨシタケシンスケ
    吉田尚令

    による絵とエッセイ(詩)

  • アトリエで仕事をしていた人、個展会場にいた人、神戸の地震にも遭った人・・・、32人の作家が、3月11日当日のことやその日を経ての今を、絵と言葉で語るアンソロジー。
    震災によって自分の中に生まれた思いや感情を、うまくあらわせずもどかしくても、表現することを生業にする作家さんたちの絵や言葉が、代わりに外に出してくれたような・・・そんな気持ちになる。
    それぞれ、ごく個人的な体験だから共感とはちょっと違う。でも、「あ・・・、そうだな、そういうことだったのかな」と腑に落ちる表現があったり、思いを込めて描かれた絵をながめていると、「そうだ、私の中にも、こういうシーンがあるような気がする」と思えたり。そんな感情の動きはなんの助けにもならないけれど、心がなだめられて整う感じがする。
    多くの作家さんが参加することで、本の主張も個人の主張も薄くなり、「思いの記録」のようになったふしぎなたたずまいの本。

  • 一つだけ気に入らないのがあった。

    「当時」とは断っているものの
    東北の食べ物は不買とか
    水は遠方から取り寄せたとか
    子供には東北からの影響を最大限遠ざけたとか、
    東北の被害に寄りそう姿勢微塵もなく自分の都合だけを並べたのがあった。
    停電時にヘッドライトで執筆したのが「面白かった」とかも、
    そのイベント気分はなんなんだろう。

    まあ、著者それぞれにあの日何があったかを語ったのをまとめた一冊なので仕方ないが、
    あの甚大な被災地住人としては思いきり批判・蔑視された気分で、
    そのたった一人の女性の文章でもやもやイラッ。

    猫のことなんて全然ともいえるくらい関係ないのに、
    本人も文末でそう言ってるとおり、
    本当に要らなかった。

  • あの日(3.11)からの絵と言葉の物語。 震災を受け、絵本作家さんが、絵と言葉により綴った絵本です。 あの日のこと、その後の日々。 いろんな気持ちで過ごした日々の記録。 昨夜(2022.3.16)の東北地方の地震で、あの日のことを思い出し、不安定です。 風化させてはいけない。

  • 忘れないために、なんだろうけど…
    こういう形の本はもっと出版されていいのかもな…

  • ミロコマチコさんの言葉だとヨシタケシンスケさんのイラスト、考えさせられるものがあるなー。(他の方ももちろんですが、私はこのお二方のがグッときたので)

    忘れてはいけない、知る義務がある、しかしその事実に心身が耐えられない人もいる。その通りだな。
    忘れた方が良いこと、忘れたいこと、忘れられないこと、忘れてはならないこと。バランスが大事でその分量は人によって違う。
    自分でその分量をはかることが、生きやすさに繋がるのかな。

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著者プロフィール

阿部海太(あべ・かいた)
画家・絵本作家。1986年生まれ。東京藝術大学デザイン科卒業後、ドイツ、メキシコに渡る。2011年に帰国後、絵本や絵画作品を発表。絵本に『みち』(リトルモア)、『みずのこどもたち』(佼成出版社)、『めざめる』(あかね書房)、『ぼくがふえをふいたら』(岩波書店、第26回日本絵本賞)、共著に『はじまりが見える 世界の神話』(創元社)、『えほん遠野物語 しびと』(原作・柳田國男、文・京極夏彦、汐文社)、『ほっきょくで うしをうつ』(文・角幡唯介、岩崎書店)などがある。

「2023年 『わたしは きめた 日本の憲法 最初の話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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