本にまつわる世界のことば

  • 創元社
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  • Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701219

作品紹介・あらすじ

第一線で活躍する、現代の人気作家、翻訳家たちによる、
本にまつわる言葉を巡る書き下ろしのショートストーリー、
エッセイ、そしてイラストの共演――。
本好きのあなたに贈る、一風変わったアンソロジー!

【著者代表より】(まえがきより抄録)
フランス語では、黄昏どきのことを「犬と狼のあいだ」(entre chien et loup)と言うそうです。その時刻になると犬と狼の見分けがつかなくなるから、と。日の光はまだあるのにちょっと暗くなって、自分のまわりがおぼろげになってしまうあの雰囲気を、見事に言い表したことばです。
 僕はこの表現を知ってから、夕暮れの光のなかで我が家の柴犬を見ると、そこに狼の姿が重なるようになりました。とはいっても、ニホンオオカミは絶滅してしまったので、ぼんやりしたイメージでしかありませんが。



 ふとしたことばが、まわりの世界を見る目や、世界との接し方を変えてくれる。僕が本を読むのは、そんな瞬間を求めているからかもしれません。
 世界のあちこちで、何かを求めて本を手に取り、夢中で読みふける人たち。何百年も、ときには何千年も続けられてきた読書という営みのなかで、多くのことばがこれまでに生み出され、今も使われる日常のことばとして定着しています。
 本や読書とともに育まれてきた人々は、独特のことばを作り出してきました。そのなかには、ことばや本というものをまた違った目で見るきっかけになるようなものが多くあるはずです。言ってみればそれは、「ことばをめぐることば」の豊かさを知る機会でもあります。



 そうした思いから、各国語に詳しい方々に、どんな独特の表現が存在するのかを教えてもらうことにしました。そうした表現を集めて、意味や使われ方を載せるだけでも、じゅうぶんに面白い本になっただろうと思います。でも、日頃から僕が好きな作家や翻訳家の方々が集まってくれたので、ちょっとわがままを言わせてもらい、それぞれの表現の味わいがさらに増すようなエッセイかショートストーリーをつけていただくこともお願いしました。そこに挿画をつけてもらうという贅沢まで叶えてもらい、この本が完成しました。



 単語から慣用句、ことわざまで、出揃ったことばの多彩さ、それをさらに色あざやかにしてくれるエッセイや物語、そしてイラストの共演を、楽しんでいただけたらと思います。もちろんまだまだ数は少ないですし、フランス語では僕がちょっと脱線してしまい、厳密には読書関係ではないものがちょっとだけ紛れ込んでいますが、どうぞご容赦ください。
 おまけとして、それぞれの文章に、文学作品など、何かの本につながる糸を一本だけ盛り込んでもらいました。そうした糸をたどって、さらに多くの本やことばと出会うきっかけにしてもらえれば、これほどうれしいことはありません。

著者代表 藤井光

感想・レビュー・書評

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  • 創元社の「世界を旅するイラストブック」のシリーズ第8作目。
    今回イラストはすべて長崎訓子さん。
    これまで目にした装画や挿絵とは雰囲気が違い、「時空の旅をした」感がよく表わされている。
    シュルツさんの絵を思い起こすようなユーモアと、ぽつねんとした孤独感と愛らしさの混在だ。

    それにしても、本や読書にまつわるコトバたちの、なんと豊かなことだろう。
    意味や使われ方を紹介するだけにとどまらず、それぞれのコトバに添えられたエッセイやショートストーリーが更に味わいを増している。
    7名の作家さんたちのアンソロジーは、読後静かな笑いがこみ上げるものが多く、その想像力には脱帽だ。

    一度見聞きしただけでは理解もつかないような、その表現、その背景。
    たぶん、だからこその異文化なのだろう。

    「本の虫」というコトバは他国にもあるらしく、それが明確に「蛾」を表わしているというのがチェコ語の「クニホモル」。更にフランスでは「ネズミ」であるという。
    チェコでは「蛾」が、フランスではネズミが、本大好きのシンボルなのだろうか。
    日本からは「ツンドク」「ナナメヨミ」「カツジバナレ」が出場。
    このうち「ツンドク」は市民権を得つつあるらしい。
    本好きさんは、世界規模で「積読」が習慣化しているのかもしれない。

    笑ったのはペルシャ語の「ハルハーン」で、直訳では「ロバ読み」ということらしい。
    多読・濫読するひとをからかう表現で、読んだ本の知識や妄想で頭がいっぱいになり、現実生活がおろそかになるひとのこと。
    (ブク友の皆さん、まさか、ですよね?笑)
    ロバ好きな私は、そんな場に登場させられるロバが可哀想で、でもイラストではそのロバが本を読んでいる。
    これが現実だったらなぁと、ちょっと夢見てしまったわ。

    共感したのは「asdfgkl」。
    読書などが盛り上がってきた時に用事などで中断された際、思わず発する英語表現。
    パソコンのキーボードで横一列に並ぶ文字を、左手から右手の順で成立する綴りだ。
    まとまった読書時間が殆どとれないワタクシは、これには頷いてしまった。

    コトバの向うに透けて見える世界の様々な国と、その読書風景。
    いたく想像力を刺激させられる本で、一日イチページずつゆっくり眺めて楽しめそう。
    この本への思いを語る藤井光さんの「まえがき」から、ぜひどうぞ。

    最初に「シリーズ8作目」と載せたが、私自身にとっては4作目。
    ということで、過去記事も載せてみる。

    「翻訳できない世界のことば」←「積読」の世界デビューは、実はこちら。
    https://booklog.jp/users/nejidon/archives/1/4422701045

    「誰も知らない世界のことわざ」←面白さでは、こちら。
    https://booklog.jp/users/nejidon/archives/1/4422701053

    「なくなりそうな世界のことば」←これが一番心に残っている。
    https://booklog.jp/users/nejidon/archives/1/4422701088

    • やまさん
      nejidonさん
      こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      吉原裏同心シリーズは、今回で32作目になります。
      佐伯泰英さんの本は、...
      nejidonさん
      こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      吉原裏同心シリーズは、今回で32作目になります。
      佐伯泰英さんの本は、最初に「居眠り磐音江戸双紙」を読んでから「鎌倉河岸捕物控」を除いて全ての作品を読んでいます。
      佐伯さんには、感謝をしています。
      居眠り磐音が出てからは、他の時代小説も字が大きくなってきましたし、多くの作家が書くようになりました。
      一時は、時代小説ブームが到来したと言われ、書店に行くと一番いい所に時代小説が並んでいました。
      わたしも、大活字本だけでなく文庫本も読めるようになりました。
      本当に感謝しています。

      やま
      2019/12/07
    • nejidonさん
      やまさん、こんにちは(^^♪ はじめまして。
      以前大量の「いいね」を下さった方ですよね・(笑)
      その節は失礼いたしました。
      時代小説を...
      やまさん、こんにちは(^^♪ はじめまして。
      以前大量の「いいね」を下さった方ですよね・(笑)
      その節は失礼いたしました。
      時代小説を主に読まれるのでしょうか?
      私も好きですよ。特に好きなのは峰慶一郎です。
      「居眠り磐音」のシリーズは、その長さで中途挫折しましたが、
      面白かったのはよく覚えています。
      最近は大きな文字の版も出るようになって、ますます身近になってきましたね。
      これからも、楽しい読書をどんどんお楽しみくださいませ。
      どうぞよろしく。
      2019/12/07
    • goya626さん
      うむむむ、そそるシリーズですな。
      うむむむ、そそるシリーズですな。
      2019/12/07
  • <世界のあちこちで、本を手に取り、読みふける人たち>
    世界の本をめぐる言葉、言葉をめぐる言葉を集め、それぞれにショートストーリーやエッセイがついている。
    日本語からは「ななめ読み」「活字離れ」「積ん読」(←積んで置いている、とのダジャレ感が海外でわかるのか?)


    私は「言葉」や「詩」は美しいイメージの言葉が多いかと思いましたが、皮肉的な意味に使われることが多いと思った。
    ❐Bukvoed(ブクヴォエード/ロシア語)
    「本を食べる」⇒本の虫、内容ではなく文字や形式に拘る人を皮肉る。
    ❐Soz(ソズ/トルコ語)
    「言葉」⇒様々な外来語を語源としてなしているトルコ語ですが、歴史において外来語排斥運動もあった。そこでこのSozという言葉が復興された。しかし純粋に言葉を表すだけでなく、噂や口先だけの言葉や侮辱という意味も含まれるようになった。
    ❐翻眼比翻書還快(ファン・リェイン・ビー・ファン・シュ・ハイ・クァイ/中国語)
    「顔つきの変わる速さは本のページを開く速さ」⇒急に怒り出す、突然仲違いする。

    本に使われる動物も国によって色々。
    ❐Knihomol(クニホモル/チェコ語)
    「本の虫」⇒蛾
    ❐Rat de bibliotheque(ラ・ド・ビブリオテーク/フランス語)
    「本の虫」⇒図書館の鼠
    ❐Khar-khan(ハルハーン/ペルシア語)
    「ロバ読み」⇒濫読、ガリ勉
    ❐老鼠肯書ー咬文嚼字(ラオ・シュ・ケン・シュー イヤオ・ウェン・ジャオ・ズー/中国語)
    「鼠が本を咬む」⇒文章の字面ばかりにこだわる。本当の意味を理解しようとしない。
    ❐ Ecrire comme un cochon(エクリール・コム・アン・コション/フランス語)
    「豚のように字を書く」⇒字が汚い。
    ❐La mort du petit cheval(ラ・モール・ドゥ・プティ・シュヴァル/フランス語)
    「小さな馬の死」⇒悲劇、話の終わり、一巻の終わり。
    ❐Dog ear(ドッグ・イヤー/英語)
    「犬の耳」⇒しおり代わりに本のページの端を折り曲げて印をつける行為。

    言葉や本を比喩にしているものもある。
    ❐Jeld-e dovvon(ジェルデ・ドッヴォム/ペルシア語)
    「第二巻」⇒そっくり、生き写しの意味。

    紹介されている言葉が、言葉というものは良くないことに使われたり、その民族が辿ってきた波乱の歴史を含む事が多いような気がするが、
    言葉は人間に必要、言葉は美しいという言葉もある。
    ❐Ad ganga medbok I maganum(アズ・ガウンカ・メズ・ボウク・イー・マガニュム/アイスランド語)
    「誰もが腹の中日本を持っている」⇒誰もが本を書く、という言い回し。
    アイスランドは10人に1人が本を出版するのだそうだ。一人ひとりにはそれぞれ語れる物語がある。
    ❐Masnavi-ya haftad man kaghaz(マスナヴイーイェ・ハフタード・マン・カーガズ/ペルシア語)
    「70万の髪のマスナヴイー(※叙事詩。詩形の一種)」⇒言うべきことが山ほどある。「私の物語を語ったら千巻もの叙事詩になるでしょう。」
    ❐Nazu(ナズム/アラビア語)
    「(真珠などに)糸を通す」⇒詩作すること。
    いろいろな事柄に意図を通して言葉として組み立て、詩や物語ができるのか。そして糸が通されていない言葉たちもたくさんある。

  • 本に纏わる言葉の話なんて、絶対に外せない。。。

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    世界のあちこちで、本を読みふける人たち
    第一線で活躍する、現代の人気作家、翻訳家たちによる、本にまつわる言葉を巡る書き下ろしのショートストーリー、エッセイ、そしてイラストの共演――。本好きのあなたに贈る、一風変わったアンソロジー!
    【著者代表より】(まえがきより抄録)
    フランス語では、黄昏どきのことを「犬と狼のあいだ」(entre chien et loup)と言うそうです。その時刻になると犬と狼の見分けがつかなくなるから、と。日の光はまだあるのにちょっと暗くなって、自分のまわりがおぼろげになってしまうあの雰囲気を、見事に言い表したことばです。
     僕はこの表現を知ってから、夕暮れの光のなかで我が家の柴犬を見ると、そこに狼の姿が重なるようになりました。とはいっても、ニホンオオカミは絶滅してしまったので、ぼんやりしたイメージでしかありませんが。
    *ふとしたことばが、まわりの世界を見る目や、世界との接し方を変えてくれる。僕が本を読むのは、そんな瞬間を求めているからかもしれません。
     世界のあちこちで、何かを求めて本を手に取り、夢中で読みふける人たち。何百年も、ときには何千年も続けられてきた読書という営みのなかで、多くのことばがこれまでに生み出され、今も使われる日常のことばとして定着しています。
     本や読書とともに育まれてきた人々は、独特のことばを作り出してきました。そのなかには、ことばや本というものをまた違った目で見るきっかけになるようなものが多くあるはずです。言ってみればそれは、「ことばをめぐることば」の豊かさを知る機会でもあります。
    *そうした思いから、各国語に詳しい方々に、どんな独特の表現が存在するのかを教えてもらうことにしました。そうした表現を集めて、意味や使われ方を載せるだけでも、じゅうぶんに面白い本になっただろうと思います。でも、日頃から僕が好きな作家や翻訳家の方々が集まってくれたので、ちょっとわがままを言わせてもらい、それぞれの表現の味わいがさらに増すようなエッセイかショートストーリーをつけていただくこともお願いしました。そこに挿画をつけてもらうという贅沢まで叶えてもらい、この本が完成しました。
    *単語から慣用句、ことわざまで、出揃ったことばの多彩さ、それをさらに色あざやかにしてくれるエッセイや物語、そしてイラストの共演を、楽しんでいただけたらと思います。もちろんまだまだ数は少ないですし、フランス語では僕がちょっと脱線してしまい、厳密には読書関係ではないものがちょっとだけ紛れ込んでいますが、どうぞご容赦ください。
     おまけとして、それぞれの文章に、文学作品など、何かの本につながる糸を一本だけ盛り込んでもらいました。そうした糸をたどって、さらに多くの本やことばと出会うきっかけにしてもらえれば、これほどうれしいことはありません。
    著者代表 藤井光
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=3953

  • ことばだけれは語り尽くせない、文字で書かれた世界の本にまつわる文化。
    詩歌には韻があり音があるように、様々な国・部族の人々が紡ぎ出す言葉を、短文で語り継ぐ。

    あらためて、日本語だけの世界に生きていることの不思議を味わうことになった。

    香港のニュースを見ていると、広東語・北京語・英語・日本語など、皆ごく普通に複数言語を操っているように見える。
    私たちは義務教育で英語科目はあるものの、一体毎日何をしてきたのかしら?漢字があるおかげで古文・漢文に親しむ機会はあるものの、それはもうことばではなくなってしまっている。

    これからの世界を生きることばについて、そして書き連ね、記録するという文字についても考えさせられた。

  • 今注目の作家や翻訳家が、世界の本に纏わる言葉に、短い小説やエッセイを付けて紹介。おすすめの本まである。挿絵もたっぷりで、豪華な本。外国語には、それぞれの言語の翻訳者が書いているところもあるし、巻末にある協力者(阿部賢一や沼野恭子なとこちらも超豪華)から察するに、ちゃんと全ての言語の専門家に確認をとっているところも好感が持てる。
    書いているメンバーがいいし、紹介されている本もいい。しかしアンソロジーにはよくあるパターンではあるが、なんだか「これ」という感じがないのよね。どれも悪くないけど、すごく良くもないような。
    著者の方々は、かなり好きな人が多いのでちょっと残念。でも、紹介されていてまだ読んでない本は、読んでみたい。

  • 本に関係のある言葉やショートストーリーが読める一冊。

    「本の虫」は海外にもある概念なのね。
    「積読」は海外にも普及しつつある言葉らしい。
    いつかkawaiiみたいになるのかな。

  • 本屋さんで見かけて気になって購入。
    『翻訳できない世界のことば』に似てるなって思ったら、同じシリーズでした。

    oyalanmak(だらだら過ごす;トルコ語)
    khar-khān(本を濫読する人、ロバ読み;ペルシア語)

    …などなど。ことばにまつわる由来や短編小説?なども書かれていて面白かった。興味深かった。
    日本語だとななめ読みや積読など。

    いろんな場所で本に、言葉に魅了される人がいる証だな。

  • 本にまつわる世界のことば。
    なんて素敵なテーマでしょう。
    国が違えば本に対するイメージも、選ばれる言葉のセンスも違うでしょう。
    わくわくして本を開きました。

    しかし「あれ?なんか違う」。
    違和感のもとはショートストーリー。

    最初の言葉はロシア語のブクヴォエード。
    意味は本の虫。直訳すると「文字を食べる」。
    これだけで、「ああ、なるほどねえ…」とイメージが広がる。

    しかしページの隅に『→アントン・チェーホフ『桜の園』』と書いてあります。
    そして次のページには、食べても食べても痩せていく男の話。
    死を待つのみとなった男が『桜の園』を読んで、息を吹き返す。
    文字に飢えていたことに気づいた男は、次の日に本屋に駆け込む。

    この部分が正直不要。
    広がったイメージが急速に他人に固定化されてしまい、いらんことするなあと思ってしまった。

    なので、最後まで読んだ後、言葉の意味だけをもう一度読み直す。

    「asdfghjkl(英語)
    読書が盛り上がってきた時に用事などで中断された際、苛立ちから発せられる言葉。
    パソコンのキーボードで横一列に並ぶアルファベッドを左手から右手の順で打つことで成立する綴りゆえに、イラっとした感情に任せて打ち込めるのが利点である。」
    わかるわあ。

    「ケタービー・ネシャスタン(ペルシア語)
    直訳では「本のように座る」。
    意味は、省スペースで、隙間を空けずに座ること」
    イラストでは、本と本の間に猫がちんまりと座っていて、猛烈に納得。

    「ハルハーン(ペルシア語)
    本を濫読する人。がり勉。直訳では「ロバ読み」。」
    私はがり勉ではないけれど、ロバ読みって言われちゃうかもなあ。
    濫読っていうより乱読だけど。

    本の虫
    クニホモル(チェコ語)蛾の一種らしい
    ラ・ド・ビブリオテーク(フランス語)直訳では「図書館のネズミ」

    怖かったのは「百部図書(ペップドソ)韓国語」
    「百部図書」は朝鮮民主主義人民共和国で実際に行われている制度。
    日本を含む世界各国の小説を翻訳させて百部だけ印刷し、創作の参考のために作家同盟の作家に回覧させるもの。
    脱北してきた作家たちによってその実態が明らかになりつつある。

    創作すら国の与える参考資料の範囲内で行わなくてはならないなんて、才能のある人ほどつらいだろうなあと思う。
    そして、何も知らされずそんな二番煎じのばったもん作品しか与えられない国民も哀しい。

  • 世界各国の「本にまつわることば」を集め、作家や翻訳家による
    ショートストーリーやエッセイと共に紹介する本。
    ・本にまつわる言葉から創作したショートストーリー・・・18編
    ・本にまつわる言葉にかんするエッセイ、その他の単語
              ・・・エッセイ13編とその他の単語の解説
    言葉と意味、文、イラストの構成。関連書籍名も。
    関連書籍紹介有り。著者紹介有り。イラストは長崎訓子。
    英語・ドイツ語・アラビア語・日本語等、16の言語から選んだ
    「本にまつわることば」を紹介しています。
    紹介の手法は、ショートストーリーとエッセイが主で、
    書籍とも関連付けています。ある意味、贅沢かも。
    ただ、バランスは微妙。
    物語やエッセイが凝り過ぎて、肝心の「本にまつわることば」が
    ぼやけてしまうものもあります。
    後半の、その他の単語の解説の方がわかりやすいかも。
    韓国語の「百部図書」やトルコ語の「ことば」は歴史や政治が
    簡潔に理解できました。ある意味、怖いけど。
    アラビア語の詩に関する言葉は、生活や自然環境に源があるのが
    わかり、長い歴史に培われていたように感じました。
    関連書籍紹介は読みたくなるような文で、良かったです。

  • 紹介されていた本の中で、「スーホの白い馬」しか読んでいなかった…!
    巻末に紹介はあるものの、タイトルも作者名もほぼ聞いたことのない本を踏まえたショートストーリーやエッセイ……文字数は多くないのに情報量が多すぎてさっぱり頭に入ってこなかった。肝心な「本にまつわる世界のことば」でさえも…。私には高尚すぎた。
    長崎訓子さんのラフで迷いのない線のしゃれた絵がたくさん見られたのはよかった。

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著者プロフィール

1980年、台湾・台北市生まれ。3歳より東京在住。2009年、「好去好来歌」で第33回すばる文学賞佳作を受賞。両親はともに台湾人。創作は日本語で行う。著作に『真ん中の子どもたち』(集英社、2017年、芥川賞候補)、『台湾生まれ 日本語育ち』(白水社、2015年、日本エッセイスト・クラブ賞受賞、2018年に増補版刊行)、『空港時光』(河出書房新社、2018年)、『「国語」から旅立って』(新曜社、2019年)、『魯肉飯(ロバプン)のさえずり』(中央公論新社、2020年)など。

「2020年 『私とあなたのあいだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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