大阪ことば学

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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422800356

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  •  「大阪の人間はこのように気持ちが動くのですという、半分は自分の告白みたいなもの」(p.202)ということで、特に方言が専門という訳ではないが、国語学を専門とする著者による、大阪弁の解説と、そのことばに現れる大阪人の心理を読み解いたもの。体系的に何かまとまったものというより、エッセイに近いが、それなりに大阪弁の使われ方について、ポイントを押さえて解説されている。
     おれも一応、生まれも育ちも尼崎、中高は大阪なので、大阪人のつもりだけど、もう東京に出て14年経って、一切関西弁は使わなくなっている。生まれは東の方ですか、と言われるくらいに。けれど、心理の面では結構言い当てられている部分が多いし、やっぱ大阪人でよかった、とか思ってしまう。結構自分は話の流れの細部から適当に引っ張り出してきて新たに話の流れを作って笑いを生むことが多い気がして、なにか話し合っても、まじめな人から「なんでそんな話になるんだ」とか「もうその話はいいから。お前のせいで時間がかかる」とか言われたことがあり、それでも結構楽しく話してたんだからいいじゃないかと思って、あまり反省していない。
     大阪弁の特徴として挙げられているのは、「相手と距離が近い」、「当事者離れ」、「照れ隠し」、「停滞を嫌い変化を好む」、「状況対応の敏捷さ」、「合理性指向」、「複眼性・重層性」、「そのものズバリ」、「饒舌」となっており、こういった特徴がいかに「笑い」を指向しているかということが述べられている。やっぱりおれも、基本的には笑えてナンボやろ、と思っている。他にも、「大阪では、ちょっと引いた形で実はものすごい自信やあつかましい希望をヌケヌケと語る、またそういう言い方をする自分を楽しむということが、結構ある」(p.104)、ことばの「キャッチボール」というのは東京的で、「相手が演じようとしているキャラクター、もって行こうとしている会話の方向をすばやく察知して、先回りしておいでおいでをしてやる」(p.108)とか、今まで思ってたけどなかなかこう表現したくれた本をこれまで読んだことなかった。
     とは言っても、そんな言い方聞いたことないわというのも多く、やっぱりコテコテの大阪人とおれは違うのだろうとも思った。「よう行かん」と「よう行かへん」の差(p.92)は、主語の人称によって1人称なら「よう行かん」2,3人称の場合は「よう行かへん」になるらしいが、別に「おれよう行かへん」と言っても違和感がない。ただし、最近では1人称+行かへんもあるらしく、「この世代的な変化は、私の観察では昭和二十年代後半生まれから三十年代前半生まれまでの間の世代で、比較的短期間に生じたもののようである」(p.93)らしい。
     とにかく、やっぱり教師である上では、この本に書かれた大阪人の心理がプラスに働くことが多い気がする。あとは、島田陽子さんの詩というのが3つ紹介されており、これを生徒に朗読するのとかは面白そうだと思った。
     最後に、「地域のことばというものは、単なる郷愁の対象として思い出されるべきものではなく、おもしろ風俗として語られるべきものでもない。その地域の人の心の在り方を実現し、支えているものが言語であり、方言である。すべての言語、方言の中に、人間としての普遍的な価値の実現があり、その方言らしいそれぞれの実現の仕方があるのである。」(p.200)という部分がとても重要だと思った。(17/10/21)

  • 大阪弁が決して野暮な語りではなく、むしろ都会的で洗練された言葉だということが、国語論としてしっかりと、かつ面白く語られており、なかなか読み応えあり。

  • じゃりン子チエや!

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