- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784422800554
感想・レビュー・書評
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故郷新潟の歴史上の人物と言えば、上杉謙信、河合継之助、山本五十六が挙げられますが、良寛さんも忘れてはいけません。出雲崎の名主の家の長男として生まれながら出家し、岡山で修業を終えた後は、住職にはならず、故郷に戻り小さな庵で暮らした清貧の僧です。本書は良寛さんの歌を紹介しながら彼の生き方を振り返りますが、あらためて気がついたのは、良寛さんは仏教の原点、禅宗の僧の原点に立ち返り、生涯、修行を生業として生きようとしたのだなということでした。
五合庵などゆかりの地には何回も行っていますが、ここしばらくはご無沙汰しています。良寛さんは晩年、三条大地震に遭っています。この疫病の時代を見たらなんと言われるだろう。そんなことを想いながら、コロナ禍が終息したらまた訪れたいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
良寛さま関連の本に触れていると、
後から迫ってくる追手がフイ、といなくなる。
『早くせよ』
『早くせよ』と、私の背中をぐいぐいと押してくるイヤな輩が忽然と消えていなくなってしまう。
私はその瞬間、
辺りも一緒に真っ白になってしまうような感覚に怯える。
今まで
足元にあった矢印が消え、行き先がわからなくなってしまった事に不安を覚えるのだ。
『心月輪』
>心は満月そのものです…
月が出ていた。
暗闇の空に、そういえばいつも月は変らず浮かんでいた。
あの満ちた月を見て
(自分の心の様だな)と、良寛さまは一人思っている。
ちっぽけな五合庵にて一人静かに思っている。
>世の中にまじらぬとにはあらねども
ひとり遊びぞわれはまされる
世間の事に関係しないわけではありませんが、
孤高の精神世界に遊ぶ事が自分には一番の喜びなのです。
月明かりはやがて、不安定な私も足元まで静かに照らし始める。