本の虫の本

  • 創元社
3.95
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本棚登録 : 215
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422930794

作品紹介・あらすじ

本とともに暮らし、本を血肉として生きてきた真性の「本の虫」5人衆がここに集結! ジャーナリズム、古本屋、新刊書店、装幀など、それぞれが活躍する領域で、本の世界にまつわるキーワードを並べ、自由気ままに解説する。本好きの心をくすぐるウンチク満載、次に読みたい本を見つけるブックガイドにもおすすめ。すべての本好きに贈りたい、本の世界を縦横無尽に楽しむための案内書。

感想・レビュー・書評

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  • これはもう、たまらなく面白い。
    編集も見事で、真ん中のページにまとめて「本のイラスト」を何点も配したり、閉じた状態の「天」の部分に10個の黒いポイントをつけてあったりする。この意味は読みだすとすぐ分かる。
    更に、開いたページの左右の端に、縦書きのテキストが一行で載せられていてとてもオシャレ。本文の中の抜粋なのだが、まるで「金言」のような味わいだ。

    巻末の「本の虫の本棚」では、この本に出てくる項目別の本棚があり、次が「ちょっとマニアックな用語集」となっている。
    更に嬉しいのは、登場した書物があいうえお順に掲載されていること。
    本の虫たちの血肉となった本が、全部で400冊だ。
    創元社さんには、ありがとうの気持ちでいっぱい。
    企画だけでも素晴らしいのに、読者目線の親切なつくりに頭が下がりっぱなしだ。

    のっけから褒めまくってしまったが、5人の本の虫たちが集まって、本にまつわる話をエッセイにしてまとめたものが、この本。
    項目ごとにひとつの独立した読み物になっていて、重複する話題はひとつもない。
    似たようなテーマでも、書き手により違うテイストになっている。
    前書きのあと「本の虫の本」のムシ紹介があり、簡単な経歴と共にムシの名前も載っている。ここから面白いので載せてみよう。

    林哲夫さん→ハヤシウンチククサイムシ
    野邨陽子さん→ノムラユニークホンヤムシ
    荻原魚雷さん→オギワラフルホングラシムシ
    田中美穂さん→タナカコケカメムシブンコ
    岡崎武志さん→オカザキフルホンコゾウムシ

    当本棚にないのは「野邨陽子さん」のみで、荻原魚雷さんはリアル本棚にそのお名前が数点。
    田中美穂さんは「わたしの小さな古本屋」を書いた人。

    古本について、書店について、装幀、編集、作家・・本の虫としての習性や苦悩、書物への偏愛と読書の喜び、山のような蘊蓄やら思い出やらが縦横無尽に語られる。
    どこまでも尽きない興味で、つい何度も同じ箇所を読んでしまったり。
    開いたページのどこからでも読めるが、当然ながら飛ばし読みはNG。
    笑ったり感心したりだけじゃない。
    しみじみと胸に沁みるエッセイもあり、学ぶところもたくさんあるからだ。
    そして(これがとても大事なことだが)皮肉も批判も一切書かれていない。
    読後がまことに気持ちが良いのだ。
    時折そういうものがあっても、見事に「本にまつわる話」として消化されていく。

    いつもなら、印象的な箇所をいくつか載せるのだが、今回はハードルが高すぎる。
    素晴らしい本の虫は素晴らしい書き手でもあるのだなと、感心することしきり。
    それでも何とか探して、岡崎さんの文章を載せてみることにした。
    「本の虫名言集」というタイトルのエッセイ中にある、本からの引用。

    「本を選ぶのは人です。しかし本が、その本を読まなければいけない人を選んでいるのではないか、と思える出会いがありました」
    東日本大震災後に立ち上げられた移動図書館プロジェクトの中心人物・鎌倉幸子さんの言葉だ。
    私も、今回この本に選ばれたのであれば、とてつもなく嬉しい。
    「読書の歴史」の著者マングェルの言葉を、今思い出している。
    「書物はまさに、私の望み通りに住むことができる家であった」
    いや、あまりにおこがましいので(それよりも猛烈に恥ずかしいし)この辺でストップ。
    見かけたら、ぜひとも読んでみてね。

    • りまのさん
      りまのです! ラッキーでした。8がすきなの。あと、0 も。
      りまのです! ラッキーでした。8がすきなの。あと、0 も。
      2020/08/05
    • nejidonさん
      りまのさん、おはようございます。
      ふふ、楽しいコメントをありがとうございます。
      お好きな「8」を踏まれたのですね。
      次回からは「8」を...
      りまのさん、おはようございます。
      ふふ、楽しいコメントをありがとうございます。
      お好きな「8」を踏まれたのですね。
      次回からは「8」をラッキーナンバーに指定して、プレゼントを準備しましょうね・笑
      2020/08/05
  • すべてのページの
    最初と最後に
    他のエッセイの一文がのせてあり
    妙に気になって そこのページに
    飛ぶという ついばみ感が味わえる構成
    編集の方の本気度 楽しんで仕事を
    されているのが伝わるだけに
    読んでいても楽しいです
    ヘンシュウムシにもこだわりありですね

  • 本に関わるその道のプロ5匹の本の虫による、本をとりまくあるある話や裏話、逸話、思索を書き下ろしたエッセイ集。

    この方々に比べれば自分なんてほんの幼虫に過ぎない。
    読む本のジャンルも限定的だし、本と向き合う姿勢そのものが違う。

    でもこの本を読んでいて、読書ってほんとに良いなぁ、読書を趣味にしてこれてほんと良かったなぁと感じ、何はともあれ読書の時間、本屋に行く時間を今以上に確保せねばという思いに駆られた。

    普段はエッセイはほぼ読まないけれどnejidonさんのレビューに大変興味を覚え読んでみることに。
    日々のよしなしごと、個人的思索の結晶体に触れ、共感や新発見、自分を見つめなおす機会を与えてくれるエッセイというものもおもしろいものだと感じた。

    読書のジャンルを広げるきっかけになるであろう一冊。

    • nejidonさん
      fukayanegiさん、ありがとうございます!
      読んでくださっただけでも有難いのに、名前まで入れてもらってビックリです・(笑)
      さすが...
      fukayanegiさん、ありがとうございます!
      読んでくださっただけでも有難いのに、名前まで入れてもらってビックリです・(笑)
      さすがにプロと言われる方たちですから、規模が違いますよね。
      でも楽しんで読んでいるのは同じはず。
      これからも興味深い本にたくさん出合えますように。
      2020/10/03
    • fukayanegiさん
      nejidonさん、コメントありがとうございます。
      あまりにも印象深いレビューだったのでつい勝手にお名前借りてしまいました。
      まだまだ偏...
      nejidonさん、コメントありがとうございます。
      あまりにも印象深いレビューだったのでつい勝手にお名前借りてしまいました。
      まだまだ偏りのある読書ですが、少しづつ世界を広げていけたらと思っています。
      2020/10/03
  • 本とともに暮らし、本を血肉として生きてきた真性の「本の虫」5人衆がここに集結! ジャーナリズム、古本屋、新刊書店、装幀など、それぞれが活躍する領域で、本の世界にまつわるキーワードを並べ、自由気ままに解説する。本好きの心をくすぐるウンチク満載、次に読みたい本を見つけるブックガイドにもおすすめ。すべての本好きに贈りたい、本の世界を縦横無尽に楽しむための案内書。ーーー

    創元社「本のリストの本」を読んで、こちらも読んでみた。
    本好きの人のことをシャレで「本の虫」といいますが、そんな虫たちが5匹集まって、本のうんちくや愛情を思いのまま語った企画本。各人が何を書くか調整なしで
    編集しているため、被った話題もチラホラ・・はご愛敬。(私が特に気に入ったのは、荻原氏「理想の住まい」)5名の中には古本屋店主もいますが、みんな生まれ変わっても本に囲まれる職業がいいという言葉には含蓄がある。個人的には古書店にまつわる話、書物を選択する「目利き」や和紙を使った本の修理や消しゴムを使って書き込みを消す苦労話、値付けの話など興味深かった。神田神保町は古書の聖地ですが、電子書籍の普及で経営は厳しさを増す中、紙の本でなきゃあダメという読者も多いのも事実。やはり自分の本なら、書き込みや折込(ドッグイヤー)が気兼ねなくできるというメリットも捨てがたい。
    本書は、ぴあ世代には嬉しくも懐かしい「はみだしぴあ」的な仕掛けも施されていますし、読書の息抜きに最高の肴となることでしょう。

  •  ある編集者は「大工さんは何枚も何枚も設計図を引き直し、材料を入れ、切ったり削ったりして、一軒の家を建てる。編集者はどこか大工さんに似ている」と言い、また『読書の歴史』の著者マングェルさんは自分の少年時代を語って「書物はまさに私の望み通りに住むことができる家であった」と書いています。作家だけでなく、編集者も、そして読者までもが本を家として見立てるというのは、なんとも興味深いことです。(p.23)

     なんらかの事情で蔵書の処分を決心される人の年齢と自分の年齢とはだいぶ近づいてきたんだな、と最近よく思う。(p.71)

     出久根達郎著『隅っこの昭和――モノが語るあの頃』(草思社文庫、2015年)でも「一度読んだ本は保存し、読んでいない本を片付けなさい」と古書店種ではなく、本好きの立場から助言している。読み終えた本は後日その知識をいろいろ活用できるが、未読の本だと中身がわからないので活用できない。(p.77)

    「本好きというのはある種の病気に違いない。もっとも一口に本好きといってもそのなかには本の内容が好きな者と、物としての本自体が好きな者がいる。そしてその各々の側の中にはまた趣味の違いから互いに袂を分かつ者がいるのでその実態は複雑だ」
     雨の日だろうが、台風だろうが、大雪だろうが、行きたくなったら書店に行く。たぶん、この病気は一度かかると治らない。(p.85)

    「わたしの言いたいのは修練ということである。ライターは修練を積まなければ、なにものも書き上げることはできない(書くことは、わたしの恩師のハワード・マンフォード・ジョーンズの指摘どおり、「生物学上の基本的欲求ではない」のだ)。だからこそ、書くことを規則的な習慣にしてしまわなければならないのだ。毎日、同じ時刻に書き始め、同じ時刻に終えるという、決められた日課を喜んでこなすことである」「同じ時刻に終える?ライターは残業すべきではないというのだろうか?わたしはそう考えている。長時間にわたって机にかじりついていれば、大量の原稿は書けるが、かなり疲労することにもなる」(ヘイズ・B・ジェイコブズ、p.96)

     欧陽脩の有名な言葉に「三上」があり、「馬上・枕上・厠上」が、文章を考えるのにもっとも適したシチュエーションだという。つまり、乗馬、寝床、便所の3パターンですね。これは、「読書」の「三上」にも置き換えられる。「馬」は、現代なら「電車」ということになろうか。私はもっぱら、この「三上」では、本を読んでいる。(p.130)

     詩を読むことには、それ以外ではけっして得られない喜び、楽しさがある、小説やエッセイを主食とするならば、詩はビタミン剤だと思う。しょっちゅう出なくても、時に服用すれば、それなりの「効き目」があるのだ。(p.148)

    「誤植はときに詩的発想を飛躍させ、思索を深化させる。消しても消しても現れる誤植ウイルスは、そんなふうに肯定的に捉えておいたほうが得策だろう。言葉の奥深さ、不可解さは、誤って植えられた種から生え出てくるかもしれないのだから」(p.201)

     一冊の本を読んでいるあいだ、書かれている内容から脱線し、いろいろなことを調べることもある。あるいは本を読みながら、思索や妄想にふけることもある。そういう時間も読書の一部だろう。たとえば、一冊の歴史小説を読む。本に出てくる人名や地名を全部調べる。年表や家系図を作りながら読む。そういう読書をしていたら、一冊読むのに何ヶ月もかかる。読書中や読書後に、どれだけのことを考えたか。そういうことはなかなか数値化されにくい。(p.269)

    「読書は私にとって、人生の発見だった。世の中を理解する方法であり、未知の世界と日常生活の両方を通じて自分自身を理解するまたとない手段だった」(p.273)

     犬は人につき、猫は家につくと言われているが、猫は「環境の一部」になり、まわりの風景に溶け込んでしまうところがあるせいかもしれない。それから、本屋ということでいえば、じっとしている時の、どことなく思慮深げな表情のせいもあるだろうか。実際には、あまり何も考えていないようだけれど。(p.292)

  • 2019.9月。
    まだまだ本の虫とは言えないひよっこもひよっこのただの本好きですが、本の虫の大先輩方の本にまつわるお話はとてもおもしろかった。とにかく本について、本屋について目一杯。特にあの本屋については、知ってるだけにわかるわかる。共通しているのは皆本が好きだということ。いいねー。

  • 五匹の虫が寄り集まって、本の世界にまつわるキーワードを自由気ままに解説。本の世界を縦横無尽に楽しむための案内書。

    売る側からの視点が興味深い。

  • 著者が五名いるので、好みはわかれそう。逆に言えば、誰かは刺さりそう。
    個人的には「蟲文庫」田中美保さんと「古本小僧」岡崎武志さんの各項目が良かった。

  • 本好きの饗宴。創元社ありがとう。この編集者もまた、索引、用語集見ると、相当な方。本に登場した作品を読みたい願望が出てきてしまいます。読書の輪廻に入り込みます。有難や、有難や。

  • 6人居る!

    創元社のPR(版元ドットコム)
    本とともに暮らし、本を血肉として生きてきた真性の「本の虫」5人衆がここに集結! ジャーナリズム、古本屋、新刊書店、装幀など、それぞれが活躍する領域で、本の世界にまつわるキーワードを並べ、自由気ままに解説する。本好きの心をくすぐるウンチク満載、次に読みたい本を見つけるブックガイドにもおすすめ。すべての本好きに贈りたい、本の世界を縦横無尽に楽しむための案内書。
    https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784422930794

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著者プロフィール

林哲夫(はやし・てつお)
1955年、香川県生まれ。画家。武蔵野美術大学卒業。書物雑誌『sumus』を編集。著書に『喫茶店の時代』(ちくま文庫)、『古本屋を怒らせる方法』(白水社)ほか。装幀の仕事として『書影でたどる関西の出版100』(創元社)、『書影の森――筑摩書房の装幀1940-2014』『花森安治装釘集成』(みずのわ出版)ほかを手がける。

「2020年 『本のリストの本』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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