本のリストの本

  • 創元社
3.11
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本棚登録 : 491
感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422930862

作品紹介・あらすじ

本好きの人は、誰でもみんな「本のリスト」が好きである。本書では、本を愛してやまない5人の著者が、さまざまな時代、さまざま場所に存在した「本のリスト」を見つけて、歴史や雑学や個人的な体験と共に紹介する。本棚を見ればその持ち主の人となりが分かるというように、本書で紹介するリストは多様な物語を内包している。それぞれのリストを眺めて、タイトルの行間に物語を想像しながら読み、一冊の本が持つ意味の広がりとドラマ性を楽しんで下さい。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館に新刊リクエストをして大変楽しみに待っていた本です。
    まず私が見たのはどんな本がリストに入っているかです。
    本文を読まずにリストを見ました。
    二周くらい眺めてから本文を読みました。
    でも、この本は、読んでいくうちにちゃんと本文から読んでいった方が面白い本だとわかりました。
    というか、本のタイトルを眺めるのも悪くないですが、本文と合わせて読むのが面白い本でした。

    「ミステリに描かれたブックフェアのリスト」は若竹七海さんの「葉村晶」シリーズに出てくるミステリー本のリストでは、「倒叙ミステリ・フェア」「骨ミステリ・フェア」「風邪ミステリ・フェア」の三つが紹介されています。
    若竹さんの作品は未読なので、読んでみたくなりました。

    「獄中で読む本のリスト」は以前に読んだ記憶のある堀江貴文氏の『ネットがつながらなかったので仕方なく本を1000冊読んで考えた そしたら意外に役に立った』からのリストです。やっぱり時代を読みたいという氏の空気感が伝わってくるリストでした。

    「向田邦子が選んだ食の本リスト」は向田邦子さんが選んだ「食いしん坊に贈る100冊の本」からのリスト。

    「タイトルで読みたくなる本のリスト」は正木香子さんが、思わず「ジャケ買い」してしまう作家のひとりの串田孫一さんの本のリスト。タイトルを読んでいるだけで私も幸せな気持ちになれました。

    著者筆頭に名を連ねられている南陀楼綾繁さんの「大学一年生の時の読書ノートのリスト」なども本好きな方が好みそうなタイトルが並び面白かったです。

    他にもまだまだ色々なリストがあり楽しめました。
    この本はどちらかというと、自分の読みたい本を探すブックガイド的な本ではなく、リストの書名とそれを作った人の関係性を楽しむ本だと思いました。

  • 南陀楼綾繁さんの文章、初めて読んだが、程よいかたさでとても好み!
    そして出身が島根とは嬉しい。もっと読みたいという良い出会いができた本だった。
    何冊か読んでみたい!と思える本も出会ったが(「じょうずなワニのつかまえ方」など)なかなか古い本で手に入れにくいものが多いかも…
    こういった本を探しに古本屋に潜るのも楽しいんだろうなぁ

  • 本を愛してやまない5人の著者が「本のリスト」をめぐってそれぞれに文章を寄せたエッセイ集。
    リストのラインナップを早く知りたいという方は、巻末の水色のページ「全リスト」からどうぞ。
    いえ、それよりもゆっくり逍遙したいという方は最初からどうぞ。
    凝った構成を楽しみながら読むも良し。
    パラパラと好きなところをめくって読むも良し。
    「本の虫の本」の兄弟分である本書。
    熱量はだいぶ抑え気味だが、大人の鑑賞に堪えるより美しい一冊となっている。

    表紙にズラリと並ぶ横書きの文字。これが全リストだ。
    量に圧倒されそうだが怯むことはない。
    見返しには著者5人の紹介。いやもう、これもまた圧倒される。
    でもまだ負けるわけにはいかない・笑
    目次をじっくり眺め、「私を作った十冊の本たち」をまず読む。
    自分だったら自己紹介代わりの十冊を何にしようかなどと考えながら。
    本書を読んだ後、何故かここに帰りたくなるから覚えておいてね。

    中表紙のあといよいよ本文。
    ナンバーをふった扉は黒のバックに白文字。
    この部屋に誘う縦書きの文章が殊に巧い。
    黒の扉は全部で8つ。それぞれの部屋に更に細かいリストを抱えている。
    各項目の末尾にはリストの出典が記され、出典がない場合は書誌情報が小さく載っているという親切さ。大船に乗ったつもりで本の旅に出られる。

    画家が収集した本のリスト、雑誌に掲載されたお勧め絵本のリスト、古書目録に掲載された架空の探究書とか、戦没学生の手記に残された書名や、受刑者が刑務所で読んだ本のリストとか。「出版年鑑」の兄弟分のリストもある。これを編纂したひとがいたんだ。。。
    現実に存在するリストだけでなく、刊行しなかった本のリストもある。
    発想のなんという豊かさだろう。
    大型の書店や図書館を、特に目的を持たずに眺めて歩くぜいたくな時間のようだ。

    ランボーがアフリカで母親にせがんだ本のリストがある。
    買って送ってくれるようにと、何度も何度も手紙で書いたらしいが、建築や土木などの実用書ばかりだ。詩人はエチオピアでどんな夢を見ていたのだろう。
    ロンドンの「チャリング・クロス街84番地」の本屋に、ニューヨークに住む女性が手紙で本の注文をする。そのリストもある。届くまで何か月も、時に何年もかかったりする。
    念願の本が届いたときが喜びがどれほどのものか、ぜひ想像してみて。
    「版で書体が違う本のリスト」には、三冊の「君たちはどう生きるか」が登場する。書体の選択には、どんな秘密があったのか。
    日中戦争がはじまった頃の経済統制によって、国に価格を決められた古本のリストもある。
    5人の著者の中には古書のオーソリティもいるのだ。
    しみじみと心洗われるようなエッセイを書く絵本の専門家も。

    新しい本にばかり気を取られていないで、今一度周りにある本に目を向けてみよう。
    世界中には、一生かかっても読み切れないほどの本があって、いつでもあなたを待っているのだ。
    本のリストの本は、そうささやいている。皆様、どうぞお読みあれ。これは楽しいですよ。

    • まことさん
      nejidonさん。こんにちは!

      久しぶりに、nejidonさんと同じ本をブクログの本棚に載せました。
      nejidonさんは、発売後...
      nejidonさん。こんにちは!

      久しぶりに、nejidonさんと同じ本をブクログの本棚に載せました。
      nejidonさんは、発売後すぐにレビューされたのですね(*^^*)

      私は、最近現代小説を読むことが一番多いですが、nejidonさんのレビューにあるような『チャリング・クロス街84番地』のようなちょっとだけ昔の、ああいいった本をゆっくり読みたいな~と思いつつも、なかなか読めません。(途中まで読んで未読です)
      私には、レビューも難しそうな本ですが、いつかちゃんと読みたいと思っています。
      2020/10/10
    • nejidonさん
      まことさん、こんばんは(^^♪
      コメントありがとうございます!
      この本を読まれたようで、「おめでとうございます!」(*'▽')
      本書の...
      まことさん、こんばんは(^^♪
      コメントありがとうございます!
      この本を読まれたようで、「おめでとうございます!」(*'▽')
      本書の前に「本の虫の本」を読了していましたので、その兄弟分を早く見たかったのですよね。
      ソフトカバーのブルーが美しくて、とても素敵な装幀だと思います。
      他にも読んでみたい本がおありなのですか?
      でもでも、急ぐことは全然ありませんよ。本は待っていますから・(笑)
      レビューはあまり考えないことです。読んでいるとき楽しいのが一番。
      無理してまですることではありません。ワタクシ、そういうのいっぱいあります。
      ではでは、また楽しい読書タイムをお過ごしください♪
      2020/10/10
  • いやぁ、図書館で予約して手に入れたけど、
    世界は本で満ち溢れている、
    わたくしごときですが、一昨日ブクログ記念すべき一年を迎えました。
    本日367日。お世話になりました。またこれからも。
    ですから一年で180冊.
    10年でも1800
    とてもとても読めない。
    リストのタイトルだけでも魅力的。
    南陁桜綾繁
    書物蔵
    鈴木潤、
    林哲夫
    正木香子
    これら五人の方々が言葉をよせてる。
    そりゃ垂涎物ですね。
    パッと見ても
    向田邦子が選んだ食の本のリスト
    漱石が英語を学び、教えた教科書のリスト
    大人になってから読んで良かったと思う本のリスト
    ハリーポッターの次に読みたい本のリスト

    なかなか興味深い本ばかりで
    あーどうしましょう。

  • ブクログで登録されている方を見かけて何となく気になり、図書館で予約待ちして読んだ。「これはマニアックな世界を覗いてしまった〜!!」というのが率直な感想。
    5人の著者が、代わるがわる様々な観点での「本のリスト」を掲載している。

    本を読むのが好きだけど過去刊行された本の数々に詳しくない私からすると、難しいような項目も多かったけど、そういう頁はさらっと流し見。それでも十分楽しめる内容だった。タイトルからわかるけど、図書館で借りるより買って手元に置きたい本。
    「タイトルが同じ書体の本のリスト」や「獄中で読む本のリスト」まであり面白かった。鈴木潤さんの色々なリストや本文を読んで、絵本や児童文学をもっと読みたいと思った。「よく売れる本がいい本とは限らない」とは確かに、実感を持ってそうだよなーと言える。評判に流されずに、自分で自分だけのお気に入りの本を探していきたい、もっと本を読みたい!と思わせてくれる本。

  • 寝ても覚めても本を手放せない好事家が編んだ〝本のリスト〟を披露したエッセイ集です。例えば「大人になってから読んでよかったと思う本のリスト」は、子どもの頃に読んで好きだった物語を、大人になって読むと感じ方が違う。本は何も変わってない、変わったのは自分だと気づかせてくれる、そんな本が沢山あればリストアップしてみたらどうかな。ということで出来上がった本のリストのメニュ-は48本、リストに挙がった本の総数は1000冊を越えています。なかには「刊行しなかった本のリスト」や「失われた本のリスト」なんてのもあります。

  • 積読が増えるよね!

    日本の古本屋 自著を語る / 本の本『本のリストの本』に参加して――アイデアが広がる書誌エッセー
    https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_post.php?postid=6000

    創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4128

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      もう出てましたか、猫も未だなんですよねぇ、、、早く購入したい。でも直ぐには読めないかなぁ

      ホント洒落たペンネームですよ...
      nejidonさん
      もう出てましたか、猫も未だなんですよねぇ、、、早く購入したい。でも直ぐには読めないかなぁ

      ホント洒落たペンネームですよね。
      猫は「チェコのマッチラベル」で初遭遇しました。今は日本の古本屋のメルマガ等で、、、

      日本の古本屋 / シリーズ古本マニア採集帖
      https://www.kosho.or.jp/wppost/plg_WpPost_category.php?catid=34
      2020/08/27
    • nejidonさん
      猫丸さん、そうそう、そのチェコのマッチラベルのひとでした!
      今大急ぎで引っ張り出しました。
      古本屋さんのサイト、ありがとうございます。
      ...
      猫丸さん、そうそう、そのチェコのマッチラベルのひとでした!
      今大急ぎで引っ張り出しました。
      古本屋さんのサイト、ありがとうございます。
      読んでいると次々に興味深いことが出てきますね。
      2020/08/27
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      nejidonさん
      > 次々に興味深いことが
      はい。猫は分不相応に欲張りなので泥沼から抜け出せそうにありません、、、
      nejidonさん
      > 次々に興味深いことが
      はい。猫は分不相応に欲張りなので泥沼から抜け出せそうにありません、、、
      2020/08/27
  •  一定レベル以上の本好きであれば、読んでみたい、棚に並べたい、集めてみたい、といった気持ちを持って、本のリストを眺めたり、読んだり、さらには自分で作ってみたりと思うのではないだろうか。

     本書は、五人の著者が本のリストを巡って寄せたエッセイ集である。

     まずは、「私を作った10冊の本のリスト」として、各人がお気に入り本とか、血肉になった本といった体の、前置き的な紹介から始まるが、そこからは、
     「名曲喫茶に積まれていた本のリスト」
     「マンガの中の本棚に描かれた本のリスト」
     「獄中で読む本のリスト」
     「版で書体が違う本のリスト」 
     「昭和二十年代のガリ版雑誌に掲載されたリスト」
     「ランボーがアフリカで母親にせがんだ本のリスト」
     「戦没学生たちの手記に残された本のリスト」
    等々、50近いテーマが取り上げられている。

     掲載されている一冊一冊の書名の内容についての興味ももちろんあるが、リストのタイトルと併せて見ていくと、そのコンテキストとの関わりで、さらに想像が膨らんでいく。

     こうしたリストの常として、読んだ本が有れば嬉しいし、知らない本であれば、どんな本なのか知りたく思う。また、5人の書き手なので、かなり専門的なものから絵本まで、バリエーションに富んでいて、大変楽しい気分になれる。

     いわゆる必読本、ベスト本は多々あるが、ありそうでなかった類の本で、読書家、愛書家には、いいプレゼントである。

  • 「本のリスト」がテーマの、五人の著者によるエッセイ集。
    ・私を作った十冊の本のリスト・・・南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木潤、
      林哲夫、正木香子の五人の著者の自己紹介を兼ねたリスト。
    1 所蔵された本たち   2 実在しなかった本たち
    3 活用された本たち   4 設計された本たち
    5 薦められた本たち   6 記録された本たち
    7 出版された雑誌たち  8 探し求められた本たち
    『本のリストの本』の全リスト
    本のリストとエッセイでの、構成。
    書誌情報や出典が入ることもある。
    カラーとモノクロの本関係の画像が要所を引き締める。
    「本のリスト」がテーマの、エッセイ集だが、著者は名うての
    本の虫五人。ブックイベントに関わるライター、
    元・図書館出納手の古書コレクター、子どもの本専門店店長、
    装幀も手掛ける画家、活字や写植の書体に魅せられた文筆家。
    彼らの専門や特性、趣味により選ばれた本のリストは全48!
    自分のためのリスト、“誰か”のための本のリスト、
    坂本龍一の本本堂の未刊行図書目録、架空図書目録、
    様々な雑誌のリスト、フォントや手書き文字が魅力の本たち等。
    版で書体が違う本のリストなんてのもあります。
    エッセイは謎解きのようで面白いし、リストを見れば納得。
    合間にある本関係の画像で、ちょっとした休憩モードに。
    自分の読んだ本や蔵書があったりすると、嬉しかったです。
    お腹いっぱいに堪能させていただきました。ごちそうさま(^^♪
    そういえば、かつて司書だった頃、いろいろリストを作成した
    ものでした。卒業する子たちにお勧めする本のリスト等。
    栄養士さんとコラボした、給食で味わうメニューのある本の
    リストは、選ぶのが楽しかったなぁ。

  • 実にたくさんのリストを一気に見て、少々混乱した。
    著者らは、無類の本好きということもあり、また商いの途上でそのようなリストに頻繁に出会う機会があるらしい。私たちが目にするのは非常に限られた本のリストなのだと思う。出会いたいリストを見つけるには?そのあたりのツボをもう少し知りたいなぁ。

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著者プロフィール

1967年、島根県出雲市生まれ。ライター・編集者。早稲田大学第一文学部卒業。明治大学大学院修士課程修了。出版、古本、ミニコミ、図書館など、本に関することならなんでも追いかける。2005年から谷中・根津・千駄木で活動している「不忍ブックストリート」の代表。各地で開催される多くのブックイベントにも関わる。「一箱本送り隊」呼びかけ人として、石巻市で本のコミュニティ・スペース「石巻まちの本棚」の運営にも携わる。
著書に『ナンダロウアヤシゲな日々』(無明舎出版)、『一箱古本市の歩きかた』(光文社新書)、『町を歩いて本のなかへ』(原書房)、『編む人』(ビレッジプレス)、『本好き女子のお悩み相談室』(ちくま文庫)、『蒐める人』(皓星社)、共著『本のリストの本』(創元社)などがある。

「2021年 『古本マニア採集帖』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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