本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (160ページ) / ISBN・EAN: 9784422930985
作品紹介・あらすじ
シリーズ「あいだで考える」創刊!
不確かな時代を共に生きていくために必要な
「自ら考える力」
「他者と対話する力」
「遠い世界を想像する力」
を養う多様な視点を提供する、
10代以上すべての人のための人文書のシリーズ。
*
『自分疲れ――ココロとカラダのあいだ』
自分を好きとか嫌いとかに関係なく、
「自分がしっくりこない」「自分でいることになじめない」
というような違和感を覚えたことはないだろうか?
なぜ、自分に疲れてしまうのか。
「自分」とは何なのか?
難病のカラダを持つ著者の
ココロとカラダの探究ガイド。
難病の実体験に基づいたユニークな文学紹介活動を展開している著者が、「自分自身でいることに疲れを感じる」「自分自身なのになぜかなじめない」といった「違和感」を出発点にして、文学や漫画、映画など多彩なジャンルの作品を取り上げながら、心と体の関係性について考察していく。読者が「私だけの心と体」への理解を深める一助となる一冊。(装画:香山哲)
感想・レビュー・書評
-
タイトルに惹かれて。もういい大人だけどそんな気分の今、頭木さんのことだからきっと弱さや迷いを否定しないと期待。ぼんやりしたイメージをわかりやすく説明。語りかける感じのこのシリーズ好き。巻末のブックガイドも寸評着きで良い。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
激しく同意しました。
カフカの人生論の著者。他の作品もと手にした本書。
心と体の話し。
20歳の時に難病にかかり13年間にわたる闘病生活を送った経験を持つ著者。なかなかヘビーな経験です。
その間に読み、体感して感じた個人的経験を文学、哲学、生物学等のフィルターを通して、見事なまでにアイデア提起をしてくれた。(特に文学)
論理的でもあり、感覚的でもあり。
生きるための柔軟性を得ることができる名著でした。
はじめに から引用(こんな人にオススメ)
自分でいることに、疲れを感じたことはないだろうか?
たとえば、自分の性格が好きではないとか。
自分の体に不満があるとか。
「どうして自分はこうなのだろう・・••・・」と悩んでしまう。
それなのに、その性格や体でずつと生きていかなければならない。
気に入らないなあと思いながら、24時間365日、なんとか折り合いをつけながらやっていくのだから、これは疲れないほうがおかしい。
別人になってみたいと願ったことのない人は、少ないのでは?
自分が好きな場合でも、ずっと同じ自分でいるというのは、退屈と言えば退屈だ。
いつも自分の目線で世の中を見て、自分に起きることだけを体験して、自分の人生を生きていく。
ずっと同じ主人公の映画を見続けているようなもので、うんざりしてきてもおかしくない。
中略
では、「自分」とは何なのか?
そう問われると、よくわからない。哲学的な問題に聞こえる。
自分とは、よくわかっているものであると同時に、よくわからないものだ。
とりあえず、この体、これは自分だ。
そして、この心、これも自分だ。
では、心と体が自分なのか。
自分とは、心と体なのか?
後略
本書の前半では、心と体を分離して、どちらが自分なのかを考察していきます。分けたほうが考えやすいからです。
この命題は、未だ発展途上。難題です。
自分とは心なのか
自分とは体なのか
分けて考えたほうが考えやすいから分けたが、最後の章では、まとめて考えていく。
そこで重要なのが
「あいだ」
である。
物事には、「あいだ」、「グラデーション」がある。
ここをうまく受け入れたいが一番の著者の主張。
心と体をひとつと捉え、一連のものとする。
消化器官も、一連で、どこかに問題があると食べたものをうまく排泄できない。
繋がっている。
全てのものは、繋がっている。
そして、グラデーションで繋がっている。
「曖昧さ耐性」と言う言葉があるらしい。
本書で初めて知り学んだ言葉でした。
これは相当重要だと思いました。
「曖昧さ耐性」が低い人は生きづらい。
白黒つけたがる人。生きづらい。
やっぱり「あいだ」があるのです。
「自分」の中にも
あいだがあり、グラデーションであり、行ったり来たりの曖昧な存在だ。
自分ですら曖昧なのだ。
この考え方は、とても、楽にしてくれる。
とても自由だ。
グラデーションで繋がっていく自分。
グラデーションで繋がっていく世界。
今までの自分。
幼少期の、小学校、中学校、高校、大学、20代、30代、40代……その先も
いろんな自分がいて、今の自分は、その全てを含んでいる。
経てきた時代の自分、いろんな自分を、たくさんいる自分を含んでいる、今の自分。
生きてきた自分は、みんなえらい。
この、今までが繋がった自分という感覚。
大切にしたいと感じました。
この人の作品は、勇気をくれる。 -
自分とは何なのか。
その問いから、心と体について考えていく。
私たちの心と体どちらが私なのかという問いに、白黒はっきりつけることはできない。
だからこの曖昧な状態の自分を、あいだで考える。
優しい文章で、文学作品などを取り上げながら著者は道を示していく。
肩肘張って疲れて、ちょっとホッとしたいときに、読んでほしい本です。 -
すべての世代の自分が生き続けている、という考え方がとても良い。過去を振り返るといろんな自分がいて、どれも自分ではあるけれど、その中でもどのときの自分が一番自分らしい自分なのかをわかっていないとだめだと思っていた。自分とは何かを一言で説明できないとだめだと思っていた。でもそんなことはなくて、どのときの自分も自分の中で生き続けている。こういうときがあった、のではなく、今の自分にもそれが生き続けている。そう考えると全てのことに意味がある。結局自分のことを考えて疲れるけど私は自分のことをぐるぐる考えるのが好きだったりする。もう少し若いときに読みたかった!
-
自身の難病経験や文学からの引用で解きほぐす身体論。自分を支えるこころとからだを様々な観点から分かりやすく語ります。頭木弘樹さんの著作は過去に読んでおりどれもおすすめですがこれもとてもよかった。巻末の作品案内だけ読んでも十分楽しめます。
-
心と体について語るのに、色々な話が引用されていて、とても面白かったです。特に首から上と首から下が入れ替わるインドの伝記が印象に残りました。
頭木さんは本や漫画、映画といった幅広い作品に触れていて本当にすごいなと思いました。
あとがきに、「自分の考えを一方通行で提示するのではなく、読者にも一緒に考えてもらって良い一冊にしたい」という主旨が書いてあり、とても好感を持ちました。
「自分」というものを考える時、僕は思わず「体」ではなく「心」の方ばかりに目がいっていました。でも、体が感情を作っているという文章をみたとき、体あってこその心なんだと思えました。例えば、ある男性を目の前にして胸がドキドキしている…その後で、そうか!私は彼のことがスキなんだ!と解釈する。
体も心もとても大切なのだと改めて感じることができ、また自分とはなんなのかを考えられる素晴らしい作品でした。
-
何回か読んで、自分なりの答えを出したい。
-
自分の心と体を社会がどう評価するか、これが、自分の疲れの原因なのだろう。人の評価なんて関係ない、俺は俺と言いながら、やっぱり、気になる。
そういう、心の考え方が現実と理想の違いが疲れさせるのだろう。 -
自分疲れというメインタイトルより、ココロとカラダの間というサブタイトルの方が実態に近い気がする。全てはグラデーションではという問いかけ、古典から現代までの数々の例示が面白い。語り口調の文章が読みやすく、一気読みしてしまった。
-
-
どこまでが心でどこまでが体か、自分とはどういう人間なのか。
分からないし、分けられない、ということがさくさく書いてある。
引用してあるたくさんの本も、ぜんぶ面白そう。 -
“生きづらさを感じない者は、何も気づかず、何も考えずにすむ。”(p.108)
“白と黒のあいだには、白に近いグレーから黒に近いグレーまで、たくさんのグレーがある。コーヒーと牛乳のあいだには、さまざまな割合のカフェオレがある。サンドイッチの上のパンと下のパンのあいだには、さまざまな具がはさまっている。これをまるごと無視しては、もったいないだろう。”(p.139) -
年と共に次第に自由になってきた気がします。
-
もっと著者の主張が強いタイプの自己啓発系の本かと思ったけど、色んな本やコンテンツを引用しながら読者の思考整理を手助けしてくれるような本だった。
ずっと自分から逃げられないならどう付き合ってく?
心と体の関係って?
心と脳はどう違う?みたいな問い。
劇的な主張やエポックメイキングな言葉が散りばめられてるわけではないのだけど、そこが心地よかった。
夏目漱石や寄生獣を読みたくなった。
自分疲れの処方箋にはならないのだけど
少し自分疲れの正体に近づいた気がした。 -
あいだで考えるシリーズ第1弾として、これ以上ない良書。
自分とは何か?
心?体?
グラデーションだ、という答えに辿り着いた時、途端に楽になった。 -
サブタイトルが主題だった。
からだとこころ、どこが私なんだろう? -
この春創刊した人文書の新シリーズ「あいだで考える」の一冊目。文庫よりひと回り大きい判型で手触りよく軽く、「10代以上すべての人に」と銘打って、ふりがなたっぷり、二色刷り150ページ。「岩波ジュニスタ」「ちくまQブックス」と同じような狙い(読みやすい仕様での本格読書へのスモールステップ)を感じる。
「自分」というものほどじつはよくわからないものはなく、それはいったい心にあるのか体にあるのか、ひとつしかないのか、心と体はどういう関係なのか、心にしろ体にしろ思い通りにできないことも多いけど一生つき合い続けなければならない「自分」とはなんなのか、古今東西の本やアニメ・映画などからのエピソードや台詞を引きながら、自らの経験もまじえて考えさせてくれる。
そして、白か黒か、AかBかのような両極端ではなく、なにごともグラデーションのあるものなのではないか、そして(心と体の件に限らず)無理に白黒はっきりさせたり分類して名前をつけて「わかろう」とするのではなく、あいまいでよくわからないままよく観察したり受け入れるということも大事だということをおしえてくれる。
本文で引用/紹介した作品+その他のおすすめ作品のリストが巻末についている。
頭木弘樹さんの本はこれまでに何冊か読んできていてどれもおすすめだけれど、これからは、最初にこれをおすすめするとよさそう。 -
心と体のあいだだけではなく、いろんなものについて、自分はその間にいるものと捉えてはどうだろうか、という主張に共感した。自分はこんな人間と固定的に考えるより、ゆらゆらグラデーションを行き来している、その方が自分疲れもましになる、という。たしかにそうだなと思う。固定化してしまうことからの苦しさはあると感じているので、何かにつけてあいだにいる、ということを意識したい。
-
自分でいることに疲れたことはありますか? 一体自分とは何なのか。心なのか体なのか…?
(文学を読んでいて)「ここに書かれているのは自分の気持ちだ」と感じること…ありますよね!
色々な作品が紹介され自分とは何かを考えさせる本。Interesting! -
曖昧さに耐えていきたい。
著者プロフィール
頭木弘樹の作品
本棚登録 :
感想 :
