『内藤忍の資産設計塾』シリーズの最新刊。
長引く不況・大震災の影響・円高等、企業にとっては「6重苦」とも言われる苦しい時代。私たち1市民が自分たちの資産をどう守るか、を考えると国内の貯蓄・投資だけではリスクは高すぎる。
グローバルな時代に合わせて個人の資産も国内にとどまらず外貨に目を向けるべきと著者は訴える。
「でも、外貨運用はちょっとこわいな」という声に対して、分散投資の目的と効果をデータや論理的な説明によって恐怖感を和らげてくれる。
ただし、リスクは当然あるので、しっかりと頭で理解し、自分で考えて読み込まないといけない。
基本的な考え方であるドルコスト平均法による長期分散投資で総合的なリターンを目指す手法は、シリーズを通して貫かれており、単なる「金儲け」のためではなく、将来自分はどうなりたいのか、そのためにはどういう資産を形成していく必要があるか、という自己啓発にもつながっていくと思う。
成熟期に入った日本の国民は総じて、考えることをないがしろにしがち。考えなくても何とか普通に生きていけるから。特にTVやメディア、政治は、人気取りを意識しすぎ。きれいごとばかり・楽しいことばかりで、痛みを伴うような改善・厳しい現実に対しては、反対意見を並べて変化を嫌う。
思考停止国家だからこそ、国内に関しては何事にも頭一つ抜き出るのりしろがあるが、国外に出れば熾烈な競争が待っている。
何事も、なぜなぜを繰り返して考え、行動することが大事。