世界のリーダーは歴史をどう学ぶか 英国名門校(パブリック・スクール)で出会った最強のリベラルアーツ
- 自由国民社 (2023年10月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784426129224
作品紹介・あらすじ
◆英国名門校(パブリック・スクール)の教壇に立った著者が見たのは、
日本とはまったく異なる「歴史の授業」だった──。
世界で通用する知性を身につけたいと願う、すべての人へ。
◇歴史の学びは「問題解決」「レジリエンス」を鍛える思考実験だ
前例がない事態に、どうすれば先陣を切って対応できるのか。
失敗しても、それを認め、巻き返せるのか。
行動を支える強い精神力や先を見通して考えられる力は、どうすれば育つのか。
イギリスの私立中高一貫校で選択科目の日本語を教えていた著者は、
考える力の育成に「教育」が大きくかかわっていることに気づきます。
いろいろな科目の中でも、著者はまず「歴史」に注目しました。
その学び方は、日本とはまったく違うと言っても過言ではないものでした。
一言で言うと、歴史は史実という材料をもとに「考える訓練」をする科目だったのです。
本書はそのカリキュラムの概要を紹介し、日本人の多くがまだ知らない、世界に通用する力強い知性をつくるメソッドを提唱します。
とくに、
①リサーチスキル
②コミュニケーションスキル
③自己管理スキル
④問題解決スキル
に関心のあるすべての方に、ぜひご一読いただければと思います。
感想・レビュー・書評
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イギリスと日本の歴史の試験問題を比較しながら、日本の歴史教育における欠陥を指摘し、歴史を学ぶ意義や本当の魅力を論じている。
「歴史は暗記科目で、受験が終われば真っ先に忘れる科目」
そうやって、一夜漬けで暗記をして、クイズ問題のようなテストをこなす。
日本における歴史科目の試験問題と、イギリスにおける問題を比較解説があり、ショックを受けた。日本の歴史教育は、つまらない暗記だけであり、学習者に考えさせる要素が欠落しているのだ。一部の難関大学入試では記述問題もあるが、結局は教科書の本文をそのまま書かせるだけである。
一方でイギリスの歴史の試験問題は、関連するヒントをもとに少し捻った出題をしておいて、調査したり考えをまとめる時間を与え、自身の考えを長文で記述させる形式である。思考力、リサーチ力、文章作成能力など、複数の能力を同時に鍛えることができる。採点評価する側はとても大変だが、長い目で見れば素晴らしい教育手法だと思う。
私の高校の同級生で、高校1年の時は全く授業について行けなかったにも関わらず、高校2年になって「世界史」の授業が始まってから、急に成績が伸びた者がいる。彼は世界史が大好きで、いつも独自の見解を口に出して楽しそうに語っていた。ちなみに理系でありながら、世界史の試験は学年トップだった。世界史を通して「自分流で学ぶ」という楽しさが、いつの間にか他の科目に乗り移り、彼は最終的に超難関大学に現役合格した。
そんな高校時代のエピソードを思い出し、歴史学習が人生に与える影響と魅力を再認識した。
11月に入り、大河ドラマが佳境を迎えている。ドラマに付随するネット記事を読んだり、関係する土地を訪れたり、意外なエピソードを調べてみるだけでも、毎回新たな発見や気づきが得られるもの。単なる暗記ではなく、「興味を持ったことを調べる、学んだことを他人に話す」という繰り返しの中で、見知らぬうちに成長できるわけである。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
摂南大学図書館OPACへ⇒
https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50337415 -
簡単に言うと「海外の学校ではこのように歴史を学んでいるのですよ、日本は暗記重視でダメですね。で、海外の学校の歴史の試験はこのようなものです」みたいな本。
海外の学校の試験の内容を知ることができるという点では有用ですが、それ以外は特によいところはありません。
本書の有効な利用法は、全体を1時間ほどでざーっと流し読みし、2度目に海外の試験がどのようなものか、その構造を分析し、自分で試験問題を作ってみる、といった方法でしょうか。
この本を薦める対象として、学校の先生、海外の学校への進学を考慮している方(およびその親)、小学生〜中学生のお子さんがおられる方あたりでしょうか。一般の方が読むならもっと面白い歴史の本はありますし、この本をあえて選ぶ必要はありません。