シャーマンズボディ―心身の健康・人間関係・コミュニティを変容させる新しいシャーマニズム

制作 : Arnold Mindell  青木 聡  藤見 幸雄 
  • コスモスライブラリー
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レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434012822

感想・レビュー・書評

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  • プロセス指向心理学を打ち立てたミンデルの本はどれも素晴らしい。『うしろ向きに馬に乗る―「プロセスワーク」の理論と実践』は、分かりやすい実践的な視点からの論述で、『24時間の明晰夢―夢見と覚醒の心理学』 は、その理論展開の包括性で、『昏睡状態の人と対話する―プロセス指向心理学の新たな試み (NHKブックス)』は、コーマワークを中 心とした探求の深さで、それぞれが魅力を放っている。そして『シャーマンズボディ』もまた、他にない独自な魅力を発散する濃密な本だ。訳者あとがきに「プロセ ス指向心理学の基本的な考え方をカルロス・カスタネダの著作やミンデル自身のシャ ーマニズム体験から語り直すスタイルをとっている」とあるが、むしろシャーマニ ズムに引っ張られるような形で「心理学」という枠をはるかに超え出るような深さ の次元を、他にない大胆さで率直に語っている。

    ミンデルを読んでいつも思うのは、タオ、ブラブマン、「大きな自己」、つまり ドリーミングが、私たちの夢や身体や病気や日常生活に働きかけてくる、その接点 がつねに語られているということだ。日常のあらゆるところにドリーミングからの 働きかけが潜在している。いかにしてその働きかけを感じ取り、いかにしてその大 いなる流れに従っていくかがつねにテーマとされる。ミンデルを読むたびに魅了さ れるのは、まさにこの点だ。『シャーマンズボディ』は、その魅力がシャーマニズ ムを触媒に、さらに際立つ。

    シャーマンは、自分自身や周囲の世界に起こる思いがけない出来事やプロセスに 注意を払う。それは「第二の注意力」と呼ばれる。それに対し「第一の注意力」は、 日常的な現実にたいする注意力である。日々の仕事をこなし、定めた目標を達成し、 自分のアイデンティティを保つのに必要な自覚である。第二の注意力は、無意識的 (で夢のような)動作、偶然の出来事、うっかりした言い間違いといった、自発的 なプロセスへ向けられる。

    「第一の注意力」「第二の注意力」という区別はドン・ファンによるものだが、これはミンデルのいう「一次プロセス」と「二次プロセス」の区別に対応する。つまり、第一の注意力ばかりを使い、一次プロセスである通常のアイデンティティやそ れに対応する日常的現実ばかりに焦点を当てていると、二次プロセス、すなわち偶 然の出来事やうっかりした言い間違いといった夢のような出来事への焦点付けは衰 える。第二の注意力が弱まるのだ。

    戦士としてのシャーマンは、第二の注意力によって思いがけないプロセスへの自 覚を育み、それに従う。ドリーミングボディをより深く生きることによって、全体 性や創造性を取り戻す。その自然な展開に従い、根源的な何かものかとの結びつき を感じ取る。そうした経験に開かれていき、時空間や世界から独立した自己の全体 性を体験する。

    シャーマニズムもプロセスワークも、自我を強化することに重点を置くのではなく、身体や身体を含むプロセス、その変化に対する自覚を育むことを重視する。た とえば、「あなたが自分のエネルギーを支配しようとしたり、操作しようとすると、 結局のところ、病いや死に直面することになる。一方、あなたが自分の身体感覚に 従うならば、今ここにいることを十分に感じ、真に人生を生きて創造している感覚 が得られる。たとえば、痛みやめまいといった感覚を大切にするということが、ド リーミングボディを生きるということなのである。」 ドリームボディ・ワークをシャ ーマニズムの観点から見れば、身体に従うことは失われた魂のかけらを探すことに 相当するという。

    ほとんど全ページに散りばめられた、印象的な言葉、胸を打つ言葉、心に留めたい言葉の数々、その一頁一頁の密度の濃さ。そして、シャーマニズムに導かれつつ 信じられないような精神世界の不思議を語る大胆さも、ミンデルの他の本にはない 魅力だ。

    最後に印象的な言葉をひとつ。

    「運命によって急性あるいは慢性の疾患、学問あるいはビジネスの失敗、性的な悩み、狂気、自殺願望、あるいは不倫などの問題を抱えたとしても、そうした苦悩を反転させる『ドリーミングボディを生きる』という新しいパターンが背景に潜んでいる。私たちは直面する難問によって日常生活を中断せざるを得ないが、そのときこそ、潜在的な可能性、戦士の精神、そして死に目覚めることができる。それまで 身につけていたパーソナリティに別れを告げ、心のある道を見いだすことができる のである。」

  • プロセスワークの入門セミナーを受けて、刺激を受けたので、少しずつミンデルも読んで行く事とする。

    というわけで、ぶっとんでいるミンデルの本でも、かなりぶっとび度が高いらしい「シャーマンズボディ」を読んでみる。

    が、これまで何冊かよんで、免疫力が高まったせいか、あるいは、セミナーを受けて、ミンデルの理論的なフレームが分かったせいか、わりとふんふんという感じで、読めてしまう。

    これは、良い事だろうか?

    普通に考えると、アフリカやインドにいって、土地の祈祷師に身を任せて、わけの分からない祈祷をうけたり、薬を飲んだり、かなり行っちゃってる。また、かなりシンクロシティというか、超常的なことがさらさらと書いてあるわけで。。。。

    だけど、これはたんなるスピリチュアル本ではない。

    完全にトランス状態に行ってしまうことを否定しているわけですね。

    現実を見つめ、それを超えた世界を見つめる。心を見つめ、体を見つめる。自己を見つめ、社会を見つめる。

    そうしたなかから、自己を変革し、社会を変革する。

    つまり、いわゆる心の平和を目指すものではない。戦いの書なのだ。

    シャーマンは、ヒーラータイプと戦士タイプがあるそうだが、著者は、かなり戦士タイプによっていそう。

    生は、戦いである。

    他者が、幸せになるまで、本当に自分が幸せになるということはない。なぜなら、他者も自己の一部として、関係性のなかに組み込まれているからだ。

    そして、本当の幸せ、人生の意味に到達できるのは、死の直前のラストダンス、というわけであろうか。

    人は死んでも、自己が関係性であるとすれば、その精神は死に絶える事はない。

    という感じの本だったのかな???

  • 著者が世界各地で出会ったシャーマンの考え方を基に、現代の都市に生きる人々の葛藤をどう解決していくかについて語った本。
    後に書かれる「24時間の明晰夢」の方が実践的なワークを大いに含んでおり完成度が高いが、入門書としては読みやすい。

  • この本はミンデルの本のなかでも傑作の部類に入ると思います 。ミンデルがいわゆる心理療法家のペルソナを乗り越えて、コミュニティへと自覚を移す時に書いた本なのでしょうか。
    「デスウォーク」の章は冷静に読み流すことができません。

  • 本書より前に書かれた著作を読んでから再読したい。

  • カスタネダやその他シャーマンの技法を引用しつつ、自身の心理療法の経験やシャーマニズムの体験を基に、シャーマンの道を解説。
    夢見の行を行う人は、「盟友」の章はかなり参考になると思います。

  • プロセスワークをご存じの方には面白い本だと思います。

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著者プロフィール

1940年生まれ。マサチューセッツ工科大学大学院修士課程修了(論理物理学)、ユニオン大学院Ph.D.(臨床心理学)。ユング派分析家、プロセスワーク(プロセス指向心理学)の創始者。近年は個人臨床からワールドワーク、タウンミーティング等、組織・社会での葛藤・紛争解決へと活動を展開。著作多数。『うしろ向きに馬にのる』『24時間の明晰夢』(春秋社)『紛争の心理学』(講談社現代新書)他、邦訳書が継続的に刊行。本年5月に来日。

「2013年 『ディープ・デモクラシー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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