意味論的転回: デザインの新しい基礎理論

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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434130335

感想・レビュー・書評

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  • すべてのソフトウェア, 「IT」関係者の必読書である.

    この本のすべては次の言葉に集約されている.
    「すべての人工物の運命は言語の中で決定される」(p.137)

    書名のデザインは工業デザインだけを指しているのではない. ソフトウエアを含むあらゆる「デザイン」を指している. いや, むしろ「ソフトウェア」こそが「意味論的転回した工業デザイン」でなければならないのである. にも拘らず, それを自覚している「IT」, ソフトウェア関係者はきわめて少ない.

    ソフトウェア開発の90%はモデリングであり, モデリングとはそれ自身言語行為なのである. 我々はこれから認知言語学の森に入っていくことになる.

  • 「〈デザイン〉の定義が間違ってる社会を俺は許さない」という激しいメッセージを受け取った。

    翻訳が読みづらかった。原著The Semantic Turn: A New Foundation for Designで読み直した。原文も分かりづらかった。
    http://booklog.jp/users/zerobase/archives/0415322200

    # キーワード

    ## 製品意味論

    - どのように人々は人工物に意味を与えるのか、また、それに続いて、どのように人々が人工物と関わるかについての体系的な探求。
    - 人工物がユーザーやステイクホルダーのコミュニティーに対して獲得する意味の視点で、人工物をデザインする、その用語と方法論。

    ## 人工物の軌道

    - 製品:普遍的な美学
    - 商品、サービス、コミュニティー:民俗的で地域的な美学
    - インタフェース:相互作用性、理解可能性、設定可能性 → パーソナル
    - マルチユーザーシステム/ネットワーク:情報の利用性(infomaticity)、アクセシビリティ、コネクティビティー → コミュニティー
    - プロジェクト:コミュニケーション、ナラティブ、目的、要点、方針、方向付け、開放性、参加
    - ディスコース:連帯(保守性)、生成(開放性)、再分節化

    ## 意味論的転回

    - デザインがデザイン自身のディスコースによって自らをリ・デザインするための種子
    - 「技術的進展に適応しなければならない人間」「適応する苦労をより軽くしようとするデザイナー」から「技術的発展の方向に影響を与えることのできるような人間」「生活の多様な実践、コミュニティー、そして個々人がくつろぎを覚えるのに必要な感覚を支えるための方法を見つけるデザイナーのイメージ」への移行。人間中心性、すなわち意味が重要であるという認識に向けての移行。

    # メモ

    サリバンの機能主義(形態は機能に従う)。 → デザイン原理 → 製品意味論による乗りこえ


    ブログで紹介した。
    http://ja.ishibashihideto.net/blog/2013/12/03/semantic-turn.html

  • とても読みにくいけど名著。
    工業化、大量生産時代の「機械の外観を整える」デザインから脱却して、ユーザーにとってなんらかの「意味」を持つ人工物のデザインへの「セマンティック・ターン(意味論的転回)」の必要を説く。

    対象となる人工物は、物質から社会、環境まで拡張されていて現在の感覚に近い。ユーザーだけでなくさまざまな「ステークホルダー」を巻き込んだ「ディスコース」を重視するなど、サービスデザインやサービス・ドミナント・ロジック(S-Dロジック)に通ずるものもあって先見の明すぎる。

    本書の冒頭にある「デザインとは物の意味を与えることである」という一文がすべてといえばすべて。ベルガンティーの「意味のイノベーション」で注目された「意味」の源流はたぶんここ。(引用されてたはず)

    本の出版は原書が2006年この日本語版が2009年。ノーマンの「誰のためのデザイン(日本語版初版)」は1990年という時代感。
    3章のインタフェースデザインをめぐる議論の中で、D.A.ノーマンを引用し(時に批判し)、J.J.ギブソンの本家「アフォーダンス」もたびたび引用されている。「認知的な」インタフェース論と、この「意味の観点から見た」インタフェース論の両方の視点があるとバランスが良さそう。ただ、前者が一般向けにわかりやすく書かれた「誰のためのデザイン」で広がったのに比べて、後者のこの「意味論的転回」があまりにも読みにくく難易度が高いのはどうにかならんですかね?

    読みにくいのは日本語訳の問題だけではなさそうですが、いい本なので(版権ほか事情はわからないけれど)、願わくば、新訳か増補改訂版など、もう少し読みやすいかたちで「セマンティック・ターン」の意図が広まるといいなと思う次第。

  • 2019年、秋の研修で紹介され買った本。技術中心から人間中心。アフォーダンス、ヴィトゲンシュタイン、マトゥナラ、バレラ、エーコ。

  • デザイン2.0の起点となった本.ただし,文章はとても読みづらい.

  • 歯ごたえのある書籍で、正直読みづらい。ただし全体を貫くテーマや各トピックについては、大変刺激的で興味深い内容。集合知の時代におけるデザイン哲学の書であり、これからの実践の書でもある。

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