猟奇歌

著者 :
制作 : 赤澤 ムック 
  • 創英社
3.81
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本棚登録 : 155
感想 : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434141645

作品紹介・あらすじ

格差、貧困、差別、抑圧の時代に夢野久作の"怨嗟の言葉"が、よみがえる!独特の美学で注目を集める気鋭の作・演出家、赤澤ムックの手により掬いとられた数々の言葉。

感想・レビュー・書評

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  • ◆探偵誌『猟奇』に掲載された夢野久作の二百五十首余りの短歌の中から、演出家・赤澤ムックが選んだ百十五首。挿画:重野克明 ◆猟奇な歌にふさわしい陰鬱な挿画。初読は青空文庫だったけれど、紙の本で邪魔にならない(挿画として最高の褒め言葉のつもり)挿画と読むのはやはり世界に入りやすい。◆前後に置かれた編者の言葉もナビゲーターとして悪くない。「使わずにしまい続けた毒薬のよう」「その境界線を越えない節度こそ甘美」「猟奇は常にポケットへ…善人の笑顔で愉快に日常を」…… なるほど。
    ◆気になった歌: ◆ある名をば 叮嚀に書き ていねいに 抹殺をして 焼きすてる心 ◆誰か一人 殺してみたいと思ふ時 君一人かい………… ………と友達が来る ◆古着屋に 女の着物が並んでゐる 売つた女の心が並んでゐる ◆それから、青空文庫で読んだときから気になっていた、一連のタンポヽをヒキチギル歌。
    ◆図書館で借りた本だったけれど、最も嫌悪する〈前に借りた誰かの抜いた髭が挟まっている本〉だった(>_<) こういう本に出会うのは初めてではない。そういう人っているんだな。この本に限っては、無聊を弄んでいるエセ久作のダイイングメッセージならぬリビングメッセージのような気がして一層気持ち悪かった。
    ◆はぁ。クリーニングして、これでやっと図書館に帰ってもらえる(笑)

  • 夢野久作の短歌『猟奇歌』250首余りの中から約100首を「黒色綺譚カナリア派」主宰の赤澤ムックが選び出した本。「すれちがった今の女が眼の前で血まみれになる白昼の幻想」、これが一番好み。せっかくならば全ての歌を纏めて欲しかった。ハァーチャカポコチャカポコ。

  • 猟奇をテーマにした詩集。

    どの詩からも、映像がまざまざと浮かんでくるんです。
    刑務所から見た青空とか、真黒な煙を吐き出す汽車とか、“なめくぢのやうな”雲とか。

    どれもこれも時代を超えて心にグサグサ突き刺さる。
    夢野さんの猟奇って、アルコールみたいで、たまらなく気持ちがいいんですよね。
    何回読んでもぞくぞくします。

  • 何度も読んだ本。艶やかで紅い、そして黒い。まえがき、あとがきの編集コメントや挿絵が少し鬱陶しい。夢Qの作品集は、夢Qの味で楽しみたい。

  • 選者が独自に章立てしてあるという意味で面白い詩集になってました。挿絵が良い。

    911.1

  • なぜか二冊家にあります。

  • ―使わずにしまい続けた毒薬のよう。― (引用)

    大人の嗜好品。
    取扱注意!!

  • 友人からの贈り物。
    何べんも読み返してはその都度うきうきにやにやしてしまう。わたしの薄っぺらな胸にも邪悪の森がある。


    君の眼はあまりに可愛ゆしそんな眼の小鳥を思わずしめしことあり

  • 人の持つ憎しみや邪念が咲かせる悪の華。
    好きな句をいくつか。
    「白塗りのトラックが街をヒタ走る 何処までも何処までも 真赤になるまで」
    「病死した友の代りに返事した 先生は知らずに 出席簿を閉ぢた」
    「誰か一人 殺してみたいと思ふ時 君一人かい……と友達が来る」

  • 夢野久作は、今から75年前の1936年(昭和11年)3月11日に、わずか47歳で亡くなった小説家。

    ミステリ・ファンのみならず小説好きなら死ぬまでに一度は読んでおかなければ死に切れないといわれる、日本探偵小説の三大奇書・異端文学の金字塔とは、小栗虫太郎の『黒死舘殺人事件』それに中井英夫の『虚無への供物』、そして夢野久作の『ドグラ・マグラ』だというのはあまりにも有名な話ですので、すでに多くの方がお読みだと思います。

    このうち『黒死館・・』だけは映像化されていませんが、『虚無へ・・』は1997年にNHKで深津絵里・仲村トオル他でドラマ化され、『ドグラ・・』は映像の魔術師といわれた松本俊夫の監督によって、桂枝雀・江波杏子他の出演で1988年に公開された映画になっています。

    怪奇・幻想・異端が嫌いではない私は、一方でいわゆる正統派・王道と呼ばれるあまたの推理小説をコツコツ真面目に読むと同時に、他方で、コソコソと高校生の頃、それは澁澤龍彦や逢坂剛や荒俣宏の圧倒的影響のもとに、ハワード・フィリップ・ラヴクラフト(通称H・P・ラヴクラフト)の一連のクトゥルフ神話ものや、エルンスト・テオドール・ヴィルヘルム・ホフマン(通称E・T・A・ホフマン)の『悪魔の霊酒』から、『神州纐纈城』の国枝史郎、『魔都』の久生十蘭、『青白き裸女群像』の橘外男、『髑髏銭』の角田喜久雄、『天狗』の大坪砂男、『息を止める男』の蘭郁二郎、『家畜人ヤプー』の沼正三、そして夢野久作にも、それに勝るとも劣らない情熱を注いで読みまくったのでした。

    そして彼への関心は、何も小説ばかりからではなく、平岡正明の『西郷隆盛における永久革命・・あねさんまちまちルサンチマン』や鶴見俊輔の『夢野久作・・迷宮の住人』に触発されて、幻冬舎じゃなかった、あの頭山満が核となって結成された玄洋社という、アジア主義を信奉する結社にかかわった国家主義者の大物という父親・杉山茂丸を持つ側面からの右翼思想への解明という課題からも読まれたのでした。

    それともうひとつ。1971年の連合赤軍事件の、同志殺しという手痛い凄惨な事実を前にして、多くの識者・論客が口をつぐむという、これまた無様で悲惨なリアクションが繰り広げられたわけですが、その中にあって、ただひとり竹中労だけが夢野久作のこの『猟奇歌』の一首

    「春の夜の電柱に / 身を寄せて思ふ / 人を殺した人のまごゝろ」

    を引きつつ、市民社会と国家権力の二重の包囲網によって、しだいに孤絶せざるを得なくなり、しかも公安のスパイが潜り込んだ結果、隔離された閉鎖的な内部でついに疑心暗鬼という闇の底に突入した末の無念の自爆にも等しい、あるいはどんな援護射撃も成し得なかった我々の手も血に染まっているのだ、などというふうなことを言ってのけたそうで、それは遥か後年に知り得た私をまさに震撼せしめたのでした。

    それにしても、全部で259首あるこの猟奇歌と名付けられた歌を読むたびに、なんとまがまがしい奇っ怪な世界を構築したものかと舌を巻くことしきりですが、それをこともあろうかあの出来事と結びつけて、読むたびに何度でも1971年のあの時の煉獄を垣間見ることが出来るように導いた、竹中労という元祖トップ屋(ルポライター)を自任するこの男、やはりただ者ではありません。

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著者プロフィール

1889年、福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇味と幻想性の色濃い作風で名高い。1936年歿。

「2022年 『人間腸詰』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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