ゲ-ト: 自衛隊彼の地にて、斯く戦えり (1(接触編))

著者 :
  • アルファポリス
4.17
  • (67)
  • (66)
  • (22)
  • (6)
  • (2)
本棚登録 : 548
感想 : 44
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (522ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434142352

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 異世界×自衛隊である種の最強モノ。
    そういうと戦国自衛隊を思わせますが、あちらが一方通行で補給ナシ! 行き着く先は現地に呑みこまれる悲劇でしかなかったのに比較すると、こちらはとてもライトです。
    分量は割とヘビィですが、同社アルファポリスが発刊している同レーベルの中では屈指のお得感。

    さて、こちらは制約ありとは言えちゃんと補給あり、行き来可能です。そこが何度もポイントになるのですが。
    コテコテの属性てんこ盛りのヒロインたちとか、カリカチュアされた各国の政治家たちとか、徹底的に娯楽作に徹しているのが清々しくあります。
    作者は元自衛官の方だそうで、地球側の政治劇については一貫しており、人は選びますが痛快。
    ただしあまり深くはありません。基本的にこのシリーズは”特地”なるファンタジー世界が主舞台なのでそこを細々とやられても論点がズレるというのもあります。

    基本的にその辺の要素は地球側にファンタジーの住人が来訪する一巻と、あとは各巻に細々と喧しい政治事情が挟まれる程度と考えてください。
    主人公は自衛官であり、自身の意見はあるもののいわゆる昼行燈のやる気ないタイプの中年、加えてオタクということもあってあまり嫌味を感じさせないので中和されているというのもあります。

    ただし一方で人の生き死に含めて茶化すような雰囲気が含まれているのが弱点と言えば弱点でしょうか。
    最強モノの宿命と言えば、そうかもしれませんが。
    いきなり日本人・異世界人双方の虐殺から始まるなど、割と情勢は緊迫しているはずなのに主人公はのほほんとしてるわ、とりあえず軍人相手とはいえ十万単位での鏖殺を自衛隊は耐えられるのか、とか。
    その辺は主題とは関係ないのか特に説明なく流されるのでその辺が苦手な方は回れ右です。
    目を瞑らないといけない点は多いことはご承知ください。

    話の流れとしては王道。
    毎回、現場と上層部の認識のズレや悪辣な敵に悩まされるストレス、そこから自衛隊の圧倒的な力によって解放されるカタルシス、思わずやっちまえと言いたくなるその構成は特に三巻で顕著です。
    設定上も狭い門〈ゲート〉を通してしか異世界との間を往来できないという事情があるため納得です。
    読めばわかりますが、この制約によって話が出来ていると言っていいほど重要なのです。

    一巻ではその辺りの分量が前半に回され、後半はよく考えると「ん?」なポリティカル・アクション的な解法なので萌えとか小ネタとかに誤魔化されない人は導入編と割り切ってください。

    導入と言えば、作品はそうですが門〈ゲート〉と言うタイトルに象徴されるような双方の行き来、異文化交流の幕開けについてです。
    言葉の問題はさっさと流し、ファンタジー世界と現代日本が出会ったらどうなるか? 
    読者は自衛隊と言う力の担保が背後にいる安心感を感じつつ、萌えと猟奇に彩られた世界を探索できます。

    自衛隊と言う職自体がある種の異文化であると言えるのでその辺の説明もしつつの、異世界へのワンクッションなのかもしれません。
    こちらで言うゴスロリ服があちらの神官服など、あざといと見せた要素が案外理に適っていると言えば、わかったようでわからない話ですが。
    コテコテな萌え的なパーツを散りばめられた読みやすさは人を弾く一方、ハイ・ファンタジーへの入り口となりました。

    ひとつの前提として現実の国際情勢と中韓に辟易している悩める愛国者にはおすすめの一冊です。
    異世界を通じて日本と言う国が好きになれます。
    よくよく見なくても作品中での総理の交代が小泉→安倍→福田→麻生のそれと一致していると言えば、勘のいい人は先を察せるかもしれません。

    web小説から商業化されたものとしてはこの手のジャンルの嚆矢であるとともに、後続への手本と言うべきこの作品でした。

  • 図書館でちらっと見て興味をもって借りて読み始めた。

    宣伝文句では「累計600万部突破」と書いてあり、そんな大ヒットを知らないとはと興味を持った。また設定が実にばかばかしくて逆に気にもなった。
    その設定とは、突然異世界の門が銀座に開いて、異世界からの攻撃があったので、自衛隊が対処し、防衛出動と称してい異世界の門を逆に進出、そして・・・、といった内容。戦国自衛隊の異世界バージョン。また主人公が単なるアニメオタクで仕事はついでという、不真面目自衛官である事もきょうみをもった。
    さらに異世界には、エルフや魔法少女、異世界の神に仕える使徒といった、オタク趣味その物の世界である事、そして主人公がその世界にのめり込む・・・といった感じにも、ばかばかしさに拍車をかけていると感じて、妙に読みたくなった。

    当初のバカバカしさへの興味が逆に良い意味で裏切られて、非常に面白かった。

    オタク趣味の主人公が異世界で大冒険するぶっ飛び自衛隊戦記などでは全くなく、今の日本の政治文化外交なども風刺し揶揄するような部分もある設定であった。

    感動もし、主人公のドタバタで笑いもあり、人助け自衛隊といった部分もありついつい読み続け、あっという間に読み終えてしまった。然も図書館でのジャンルが、ヤングアダルトになるほどに中身が健全で、少年少女にも私のようなおじさんにもおすすめである。

    続編も期待して読みたい。

    星五つ。

  • オタクネタがちょいちょいあるからラノベなのかなぁ・・・
    でも、文章も内容もすごいしっかりしてるし、おもしろい!
    web小説の書籍化って、まぁ新しいジャンルの掘り出しだと思うんですけど、これだけしっかりしてるのはすごいなと・・・
    想定でラノベと思って敬遠している普段ラノベ読まない人も読んでみたらおもしろいんではないでしょうか~!?

  • なんか突然銀座に異界からのゲートが開いたぜ!
    なんか異世界からファンタジーな軍勢が攻めてきたぜ!
    自衛隊が反撃したぜ!異世界軍勢ヨワス!ヨワスー!
    なお話。

    異世界軍はドラゴンやらオーク兵やらで日本を攻めてきたんだけど、その技術力は中世ファンタジーレベル。
    近代科学戦力を持つ自衛隊にはまったく相手にならない。
    あっさり撃退された上に、逆に自衛隊がゲートをくぐって異世界へ攻め込むことになる。
    異世界、チョー弱い。(笑)

    現代から異世界へ、と言う物語は多いが、この作品のように国ごと、自衛隊丸ごと異世界に関わっていく作品は珍しい。
    文章的には地の文が非常に多く、ライトノベルというよりも普通の小説に近い。
    文章力的にはまったく問題なく、非常に読みやすい。
    確かな文章力を感じる。

    ただ、しょっぱなから異常に風呂敷が広がってるので、どうまとめるのか、どこに集約するのかはもうちょっと読んでみないとわからないかな。
    異世界勢力、自衛隊、日本政府、アメリカ政府、中露の思惑などなど、いきなり展開する規模が広い。
    主人公が率いる異世界偵察小隊も12人と多く、異世界ヒロインもエルフ娘、ロリ賢者、ロリ女神、お姫様といっぺんに出てくる。
    場面転換も激しいので、なかなか主人公の立ち位置、物語の焦点がどこにあるのか見えてこないが、文章的には読みやすいのでじっくり読めればと思う。
    まだまだ序盤なんだろうし。

    読了。
    予想以上に面白かった。想定外の面白さだった。
    この小説も元々はwebに投稿された作品だったみたいね。
    才能ってのはあちこちに転がってるもんだなぁ。拾ったり見つけたりするのが大変なだけで。

    この小説は、いわゆる現在主流のライトノベルではなかった。
    主人公とヒロインを中心とした狭い世界で綴られる主流なライトノベルとは違い、もっと広いスケールで、さまざまな視点から描かれた「小説」だった。
    その大風呂敷を十分に描ききるセンスと高い文章力も問題なく装備されていた。
    たいしたものだと思う。

    正直、主人公とヒロインを中心とした普通のライトノベルを想定して読み始めたので、途中までは話がとっちらかっていて主人公の活躍が見えてこない!と不満に思っていたが、広い視野、高い視点からの世界が過不足なく描ききられていた。

    この作品は一般的な萌えライトノベル群よりも、銀河英雄伝説のような小説に近いと感じた。
    極めて個人的な表現になるが、銀英伝のスケールを10分の1に圧縮し、ちょっと可愛いオタク的なキャラクターを配置した娯楽小説、と言うイメージ。
    敵対する双方の思惑、キャラクターたちの個性、国の政策や軍事力、貴族社会や政治の腐敗、権謀術数、そうしたもろもろの要素がそれぞれわかりやすく綴られ、十分に面白い。
    そこに、現代的な萌えオタ要素やミリオタ要素が加わる。
    要所での盛り上げ方もうまい。いや、予想以上に面白かった。
    1巻時点では主人公がほとんど活躍しないのでそこは大いに不満なんだけど、十分面白かったと思う。

  • ロードス島戦記とかのラノベ好きだったので設定だけでも引き込まれたが、所々に織り込まれる田中芳樹ばりの社会風刺とかもうける。早く次の巻読みたい!

  • Web小説からアルファポリスで書籍化という流れで
    「レイン」を以前読んでいて、あれがイマイチだったので
    あまり期待していなかったのだけど、
    これは面白いですね。

    世界観や設定が比較的しっかりしているので
    本の世界に入り込みやすい。

    いろいろとパロディ的なところもあって、
    それもまた楽しいかも。

  • ネット発の小説ということで、普通の編集者がいれば切るであろう細かい設定とか端役の説明とかが残っているのが特徴的。このせいだけじゃありませんが、分厚いのも納得w しかし面白い小説が長くなるのは望むところ。
    自衛隊が異世界(過去含む)にいくものはいくつかありますが、補給があるってすごいですね、ここまで活躍してくれるとは。そういう目線でも楽しめます。
    当初はこの作品に萌えとかいらなないと思ってたのに、レレイ可愛いよレレイ(^q^)
    戦闘描写が結構マニアックなので、自衛隊の装備について少しでも知識があると読みやすいですね。

  • 弟お薦めの小説ロード・オブ・ザ・リングの自衛隊版ヾ(≧▽≦)ノ 
    この本は弟が薦めるだけあって面白かった(〃∇〃)
    作者は元自衛官なので結構自衛官のやりとりがリアルっぽい!!
    うちにも身内に自衛官がいるので何となくこのノリは判る(≧m≦)ぷっ!

    ゲートの向こうの異世界は魔法とかドラゴンが普通にいる世界なんだけど
    自衛隊は民間人を守るのも仕事なので
    例え異世界の住人でもドラゴンに襲われたりしたら
    『民間人を守れ!!』ってなります(-ω-ゞラジャ⌒☆

    異世界の住人が魔法を唱えるのに時間が掛かるんだけど
    その間に自衛官が銃を撃てば
    弾が目も留まらぬ速さでドラゴンに当たり
    異世界の住人は『なんて凄い魔道の杖だ!!』\(◎o◎)/状態!!

    主人公の幹部自衛官=伊丹耀司が同人誌即売会、命のオタクでいい味出してます!(b^ー°)

    銀座に出来た異世界との門"ゲート"を巡って他の諸外国も色々目論んでて
    結構やり口の汚い某国(サイバーテロその他)
    弱腰の日本政府(特に総理)
    他の国に特別に配慮した映像しか流さないマスコミなど
    "特地"に派遣された自衛隊に困難な局面も(*0*;)☆

    頑張れ自衛隊!!日本国民だけでなく異世界の住民の平和を守るんだ!!

  • 自衛隊・ミーツ・ファンタジー。
    自衛隊関係だけでなく政治の話、サブカルチャーの話なども面白い。
    人物がいきいきしてて話しに引き込まれる。

  • 緑丸さんに勧められて購入。
    何やら元Web小説らしい。

    現代の銀座に突如として現れた門と、そこから現れたオーク等の化け物達と、剣と鎧で武装された中世風の兵士。
    調べてみると門の先には別の世界が広がっており、そこは竜が飛び交い、魔法と剣が跋扈するファンタジーな異世界だった。
    調査と国土防衛のため自衛隊が乗り込むが、アメリカや中国等の大国はその異世界の資源的価値を認め、自国の利益を挙げようとする。
    また、異世界では強大な帝国が門を奪還しようと軍勢を集めており―――


    というお話だったのサ。

    ヒロインが、金髪碧眼エルフ少女・ロリ無表情賢者・ゴスロリ殺戮系長命少女(ハルバート持ち)という、なんだか凄まじく偏った編成。

    さらに、舞台は現代日本。現代日本。現代日本なのですよ大事な事なので3回言ったっ!!
    あらすじの通り、異世界だけの話ではなく、現代日本で諸外国との外交等もあるのですよ。
    某国は友好を通じて様々なネタを使いプレッシャーをかけており、某国は常の如く日本を非難し、某国は秘密裏に特殊部隊を日本に派遣していたり…と。
    また、日本内部でも、いつもの如く反戦感情を煽る某新聞や某新聞とか、何処ぞの市民団体による代案のない反対とか。

    しかし味方側も有能で、昼行燈なオタク主人公や、某元総理大臣に似た政治家や、日本の自衛隊そのものが大体有能。
    異世界からの攻撃や、外交的な嫌がらせを現代日本ならではの方法で上手く排除・回避するのが面白い。味方側が上手いとストレス無く読めるのがとても気が楽。

    また、異世界側の視点から自衛隊の行動倫理・火力・技術力を見るのも楽しい。
    銃火器の威力に驚く事から始まり、日本の慎重さ・低姿勢に驚かれたり、空挺部隊のノリの良さと火力に荘厳な物を感じてたり。
    …ワーグナーのワルキューレの紀行を流しながら突撃していくんだぜこの自衛隊の空挺部隊…。

    ネットやってるとクスりとくる小ネタもあちこちに。
    元Web小説だけあって、ずいぶんはっちゃけてます。
    早く3巻出れ。

著者プロフィール

東京都在住。自衛官を経験した後、2006年に自営業を開業。本業に従事する傍ら、インターネット上で精力的に執筆活動を展開し、2010年4月、「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 1.接触編」で出版デビュー。シリーズ累計490万部のミリオンセラーとなる。他に「氷風のクルッカ 雪の妖精と白い死神」(アルファポリス文庫)、「Walhalla《ワルハラ》-e戦場の戦争芸術-」(ブレイブ文庫)などがある。

「2020年 『ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり17』 で使われていた紹介文から引用しています。」

柳内たくみの作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
有川 浩
有川 浩
和田 竜
吉野 匠
有川 浩
有川 浩
有川 浩
森見 登美彦
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×