タイピー 南海の愛すべき食人族たち (柏艪舎文芸シリーズ シリーズ世界の文豪)
- 柏艪舎 (2012年3月20日発売)
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感想 : 4件
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- Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
- / ISBN・EAN: 9784434160585
作品紹介・あらすじ
マルケサス諸島で捕鯨船から脱出した船乗り二人がたどりついたのは、
食人族「タイピー」の村だった。そして――。
南海の楽園を瑞々しい筆致で描く、『白鯨』の文豪メルヴィルの処女作。
感想・レビュー・書評
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面白い。
友と二人で捕鯨船を脱走し、辿り着いたタイピーの村。もてなしを受けながらも軟禁状態で過ごした約4ヶ月。メルヴィル若き日のすごい体験。
恐ろしい食人族といわれるタイピーの人々は、実際は人懐こく陽気で、豊かな自然を享受し平和に暮している。他部族との諍いや食人族ゆえの血生臭いところもあるにはありハラハラもしたが、軽快な語り口で素晴らしい青春冒険譚になっている。
文明社会と切り離された怠惰で純朴で美しい人々の村はまさに別世界であり、植民地支配などへの批判も頷ける。タイピー族の言葉や食べ物や風習どれもが興味深い。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
メルヴィルの処女作にして実体験を綴ったとても珍しい紀行文。19世紀の植民地主義への批判や、西洋文明視点の偏ったものの見方への批判など、著者の、現在でも新しい考え方や、広い視野を感じる。タイピーに残してきた彼女はその後どんな生き方をしたのだろう。
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