暗黒学校 (上) (アルファポリス文庫)

著者 :
  • アルファポリス
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本棚登録 : 207
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434173431

作品紹介・あらすじ

ある日、高校のトイレで気絶していたユウタが目を覚ますと、平凡だったはずの日常が一変、校舎全体が硬い岩で覆われていた。原因不明の状況下で、生きていた仲間は10人。脱出する方法は見当たらない。太陽の光はなく、携帯電話の電波も通じないこの場所で、クラスメイトたちの極限生活が始まった——。不条理ホラーの天才作家の長編、待望の文庫化!

感想・レビュー・書評

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  • 上下巻読み通しての感想

    読み始めてすぐに「あれ?デジャブ?」。
    この設定、この状況、確かに読んだことがある。
    山下貴光作「ガレキノシタ」だ。
    ある日突然、地下に埋没してしまった校舎。
    中に取り残された生徒たち。
    そこで起きる生き抜くための戦い。
    ちなみに、この「暗黒学校」のほうが先に出版されている。
    極限状態の中で徐々に疑心暗鬼になっていく生徒たち。
    誰かのせいにして、誰かが悪者だと決めつけて、ただ安心したいだけだったのでは?と思う。
    結局は、先の見えない状況で不安に駆られた生徒たちが、互いを信じられなくなった結果の争いだ。
    普通なら誰もが元の世界に戻りたいと思うだろう。
    けれど、極わずかだが戻りたくない人間もいる。
    混乱の中ではリーダーの役割がいかに大きなものか、物語の中に登場するリーダーはその難しさをよく表している。
    「リーダーは平等で、公正でなくてはならない」
    確かにそうだ。
    リーダーが自分の我を押し通そうとしたら、それはもうリーダーではなく独裁者だ。
    たとえ自分がどうしても守りたい人がいたとしても、他の人間から賛同を得ることはできない。
    独裁者に懲りた生徒たちは、明文化したルールにのっとって生活しようとする。

    「一応、罰則のようなものも設けようと思うんだ」
    「一応設けておかないと、ルールがちゃんと機能しないかと思って。ノルマ未達成だったら、例えばちょっときつい仕事を割り当てさせてもらう。
    意図的にサボタージュを繰り返すような悪質な場合は、禁固刑も考えている」
    罰則を設ける・・・この時点で、ルールを決めた委員長自身が他の生徒たちを信用していないことがわかる。
    守らない人間が必ず出る。
    そう思っているから罰則まで作ろうとしたんだと思う。
    一応・・・とは断っていても、一度明文化したらそれは絶対になってしまう。
    非常時では最低限の共通認識さえあれば、あとは臨機応変に動いたほうがいいのかもしれない。
    ルールを作ればそれに縛られる人がでてくる。
    ルールを楯に、理不尽と思えるようなことでも押しつける人がでてくる。
    後半に進むにつれて生徒たちの心の動きが激しくなる。
    誰かを黒だと叫ぶやつ。
    先に誰かを疑って、先に誰かを黒だと決めつけてしまえば、自分は白でいられるから。
    その時々の状況で、常に一番力のある人間に擦り寄るやつ。
    力のある人間に自分は特別な人間だと思い込ませたい。
    何があっても自分だけは助かる確立を高めておきたいから。
    究極の状況で、やがて生徒たちは自滅していく。
    彼らが悲惨な最期を迎えなければならなかったのは、たぶん自分の弱い心に負けてしまったから。
    でも、人間なんてそんなに強いものじゃない。
    小気味いいほどに最悪な性格のアサミが、一番正直な人間に見えたのは何故だろう。

    唐突に、あっけなく物語は終わる。
    救いのないこの物語の最後にふさわしい気がした。

  • いきなり学校に閉じ込められてしまった生徒たち。
    周囲を岩に囲まれ外に出ることができない。
    彼等の運命は…。
    大好きなシチュエーション。
    わくわくしながら読んだ。
    お互い疑心暗鬼になるのもわかる。
    でももうちょっと協力できないもんかね?
    あんなものかなぁ。
    上巻ではなぜこうなったかとかは判明しません。

    感想こちらでも書いてます↓
    https://ameblo.jp/harayou1223/entry-12824684979.html

  • どうなるかだよね・・・

    全員死ぬのか、夢オチか

    この人、じわじわ怖くなるからなぁ

  • 読みやすい。けど、上巻だけではまだまだ何も分からない。下巻に続く。

  • よくわからない、だけど読む手が止まらない、そんな本でした。
    この先どうなるのか、続きが楽しみです。

  • ある日、高校のトイレで気絶していたユウタが目を覚ますと、平凡だったはずの日常が一変、校舎全体が硬い岩で覆われていた。原因不明の状況下で、生きていた仲間は10人。脱出する方法は見当たらない。太陽の光はなく、携帯電話の電波も通じないこの場所で、クラスメイトたちの極限生活が始まった

  • 最初のあたりを想像しながら読んだら、すごくグロかった。題名で少し怖そうだったけれど思った以上だった。ずっとこんな感じなのかと不安で読んでいたけれど、そんなことはなかった。読むにつれて引き込まれていってすらすらと読めた。途中からは学生たちの日常(全然日常ではないけれど)の話みたいだった。気になるところで終わったので早く下巻が読みたい。どうなるか楽しみ。

  • 冒頭から、内容に引き込まれて行く感じがした。
    いろんな登場人物からの視点で書かれるので、飽きることがなく面白かった。

  • 文化祭の出し物について話し合うため土曜日に集まった十数名のクラスメイト。
    主人公のユウタは学校のトイレで目覚める。どうやら気絶してしまったらしい。目覚めた彼は学校に起きた異変に気がついた。時計を確認し、昼間であるはずなのに窓の向こうが真っ暗なのである。手を伸ばして触れてみれば大きな岩に触れているよう。どうやら学校はこの岩のようなもので包まれてしまったようだ。
    地盤沈下で学校が沈んでしまったのだと言う者、新世界にたどり着いたと言う者、『黄色さま』のたたりだと言う者。
    外にも出られない、助けも呼べない。十数名のクラスメイトは助けが来ると信じ、生き残るために尽力する。

    登場人物の不安や猜疑心、そして十数名という少ない人数で新しい国が成立していく様がとても面白かった。(読みながら楳図かずおの「漂流教室」を何度も想起してしまったのは私だけではないはず)
    するすると読めてわかりやすい構成。
    最後まで読んだとき、このお話は脱出できたときの爽快感を味わうものではなく人間模様と心変わりを楽しむものだと感じた。
    まさかの〆に少し驚いたのは確かで、ある意味期待を裏切られた。

    これだけの人数がいて、棒立ちになるキャラクターがいるのではないかと思ったりもしたがその心配はなくしっかりそれぞれが生きていた。
    ヒョロはとにかく不憫なやつだなと…。

    かたくもなく軟すぎることもないため誰にでもおすすめできる一冊ではないだろうか。

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著者プロフィール

1985年、東京生誕。一橋大学経済学部卒。著書は他に「!」「!!」「!!!」「!!!!」「暗黒学校」「最悪彼氏」(ここまですべてアルファポリス)、「占い処・陽仙堂の統計科学」(角川書店)、「一番線に謎が到着します 若き鉄道員・夏目壮太の日常」(幻冬舎)などがある。

「2016年 『殺人鬼狩り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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