落ちてぞ滾つ (柏艪舎文芸シリーズ)

著者 :
  • 柏艪舎
3.89
  • (3)
  • (3)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 21
感想 : 4
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784434177460

作品紹介・あらすじ

箱館戦争の爪痕が残る維新後の函館。
朝敵となった東雲藩士の娘は亡夫の仇を討つべく、この地へやって来た。
ここ函館には、様々な事情を抱えた人々が流れ着いていた。
東雲藩の首席家老を務めた男、京都上七軒で売れっ子芸妓だった女、
江戸で火消しとして名を馳せた男、それぞれが新天地を求め、激動の時代を生き抜いていく―。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この本を手にする読者は概ね会津藩の話だと判ると思われるのに敢えて「東雲藩」という架空ほ藩を設定したのはこの物語がフィクションである旨の意思表示か。
    未だ戦火の記憶を残す明治初めの函館。函館山の中腹にある碧血碑に参る草野霖平を夫の仇と狙う女がいた。
    戊辰戦争の末、流れ着いた函館の地に新天地を求めた男女の抱え込んでしまった物語。
    中編三編からなる本書には「舞燈籠」で登場した京都祇園の芸妓の行末も語られ、三編の狂言回しとなるナギの来歴だけが描かれなかったので、他作品でナギが語られるのが楽しみ。

  • 新婚一日目で別れ別れに成りそして切腹して死んだ夫の敵を討つために函館にやってきたが邪魔が入って打ち損じてしまうたづは邪魔をした 料亭の京女主人にに救われ 仲居として敵の来るのを待つ そして結末は意外な真実が明らかになる 会津藩らしき朝敵にされた架空の藩の悲劇である  

  •  「落ちてぞ滾(たぎ)つ」「いとど遥けし」「雁にあらねど」、蜂谷涼さんの3部作だそうです。「落ちてぞ滾つ」、2013.3発行。幕府軍と官軍が戦った時代、東雲藩(会津藩)武士の妻、川原由津の夫の仇討ちをかけた生き様を描いた作品。「血の涙落ちてぞ滾つ白川は 君が世までの名にこそありけれ」(古今和歌集) 当時の死生観、価値観、人の生き方、世の渡り方、会津人の心などに思いを馳せながら、じっくり読み終えました。この作品は函館が舞台でしたが、北海道開拓という観点から、北海道についてもいろいろ考えさせられた作品です。

全4件中 1 - 4件を表示

著者プロフィール

1961年小樽市生まれ。北海道を拠点に執筆活動を行なう。
2008年『てけれっつのぱ』(柏艪舎刊)が劇団文化座により舞台化され、同舞台は2008年文化庁芸術祭大賞受賞。
主な著書に『落ちてぞ滾つ』、『いとど遙けし』、『雁にあらねど』(各 柏艪舎)、『雪えくぼ』、『舞灯籠』(各 新潮社)、『夢の浮橋』(文藝春秋)、『蛍火』(講談社)などがある。

「2018年 『曙に咲く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

蜂谷涼の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×