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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784434206764
感想・レビュー・書評
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吉野弘さんの詩集ですね。
吉野弘さん(1926ー2014、山形県生まれ)詩人、随筆家、評論家。
アンソロジーで『何気ない日常の一コマからひとのの繊細さをすくい上げた詩や、生きるということを見つめ直した詩、家族への思いを綴った詩など、多くの作品で今も人々の心を打ち続けています。』と、編者はじめにしょいかいされています。四十四篇の詩が収められています。
「一枚の写真」
壇飾りの雛人形を背に
晴着姿の幼い姉妹が並んで坐っている
姉は姉らしく分別ある顔で
妹も妹らしくいとけない顔で
姉は両掌の指をぴったりつけて膝の上
妹も姉を見習ったつもりだが
右掌の指は少し離れて膝の上
この写真のシャッターを押したのは
多分、お父さまだが
同時にシャッターを押したものがいる
その名は「幸福」
幸福が一枚加わった
一枚の写真
「真昼の星」
ひかえめな 素朴な星は
真昼の空の 遥かな奥に
きらめいている
目立たぬようにーー。
はにかみがちな 綺麗な心が
ほのかな光を見せまいとして
明るい日向を
歩むようにーー。
かがやきを包もうとする星たちは
真昼の空の 遥かな奥に
きらめいている
ひそやかに 静かにーー。
「素朴な疑問符」
小鳥に声をかけてみた
小鳥は不思議そうに首をかしげた。
わからないから
わからないと
素直にかしげた
あれは
自然な、首のひねり
てらわない美しい疑問符のかたち。
時に
風の如く
耳もとで鳴る
意味不明な訪れに
私もまた
素直にかしぐ、小鳥の首でありたい。
「自分自身に」
他人を励ますことはできても
自分を励ますことは難しい
だからーーというべきか
しかしーーというべきか
自分がまだひらく花だと
思える間はそう思うがいい
すこしの気難しさに耐え
すこしの無理をしてでも
淡い賑やかさのなかに
自分を遊ばせておくがいい
瑞々しい心情を、暖かな言葉で語りかけるように謳われています。
優しく包み込むような詩情が、生命の豊かさや自然を謳歌して、生きる喜びを教えてくださいますね♪
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詩集です。代表作「祝婚歌」に詠われた「正しいことをいう時は、少し控えめにする方がいい。正しいことをいう時は、相手を傷つけやすいものだと気づいている方がいい」というフレーズをいつも心にとめています。
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異動してしまった職場の先輩から貰った。詩って国語の授業以来始めて。
どう楽しんでいいかわからず、とりあえずページをめくっていくけど、こんなに短い文章なんだけど、言葉ひとつひとつが丁寧で心がスッキリほっこりした。なんか先輩の暖かさを感じた -
新しいセンスで編まれた吉野弘の詩集。
素敵ですね!!
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